『千と千尋の神隠し』で抜擢「どこに行ってもハクについて聞かれるのが嫌だった」入野自由明かす

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2024年06月02日 16:00  女子SPA!

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スタジオジブリ『千と千尋の神隠し』より
YOASOBIのボーカル・ikuraとしても活動する幾田りらさんと、タレント、モデルとマルチに活躍するあのさんがW主演を務めたことでも話題の『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(以下、『デデデデ』)。

浅野いにおさんの原作コミックを劇場アニメ化した2部作の青春譚の後章『デデデデ 後章』が公開になりました。宇宙からの“侵略者”に脅かされる東京を舞台に、非日常と日常が入り乱れる物語で、後章の鍵を握る少年・大葉圭太の声をあてた入野自由さん(36歳)にインタビュー。

一緒にアフレコしたあのさんの印象や、子役時代から活動している入野さんに、ハク役を務めて最初の代表作となった『千と千尋の神隠し』への思いも聞きました。

◆役を勝ち取り、喜びで「信じられない!」と

――もともと浅野先生のファンだそうですね。

入野自由さん(以下、入野)「『おやすみぷんぷん』や『ソラニン』、浅野先生の作品はもともと大好きで、『デデデデ』も発売当初から読んでたんですが、完結してから一気に読みたくて待ってたんです。そしたら先にアニメ化が発表になって“これは、まずい!”と。“とにかく参加したい!”と、マネージャーに、手当たり次第にオーディションの話を探してもらったんです。そこから直談判に近い感じで受けさせてもらって決まりました」

――嬉しかったでしょうね。

入野「信じられませんでした。僕は作品に参加することが決まった瞬間が一番嬉しいんです。ワクワクしかないですから。実際にやるとなるといろいろ考えることも大変だったりするんですけど、決まった瞬間はとにかくただ嬉しい。『デデデデ』については、より、“信じられない!”という感覚でした」

――重要キャラクターに声をあてましたが、本編には中国語を話すシーンもありました。

入野「3ワードくらいでしたが、事前に音声が送られてきて、それをひたすら聞いて練習しました。3ワードですけど、その3ワードが命取りというか、なんとなくではダメで、ちゃんと自然に、ネイティブに話しているようにしないといけなかったので、現場に行ってからも正しいかどうか、すり合わせてやりました。

僕、耳はいいって言われる方なんです。それで韓国語、フランス語、スペイン語も本当に少しだけですが話せて、“発音がいいね”って誉められることがありまして。だから今回、自分のそういうスキルを生かせたなと思います」

◆あのちゃんがあてたのは、声優でも難しい役

――主人公の門出を幾多りらさん、凰蘭をあのさんが務めました。おふたりの印象を教えてください。

入野「その人の持つ声って、変えることのできないものですよね。それが個性としてものすごく前に出ているというのは、とても羨ましいし、ステキだなと思います。あの声でやるというだけで、ふたりにしかできないキャラクターとして完成しています。声の芝居という点でいうと、声優とはまた違うニュアンスや味が出て来て、それがこのキャラクターに、絶妙な塩梅でいい合い方をしていると感じました。

特に僕が絡みの多かった凰蘭は、声優でも難しい役なんです。それを、あのちゃんはものすごく大胆に、繊細にやられていたと思います」

――あのさんとは、一緒にアフレコされたんですか?

入野「凰蘭との掛け合いはほとんど一緒でした。もちろん慣れていない部分もあったと思うんですけど、すごく勘のいい方なので、回を重ねるごとにどんどん慣れていってました。要求が高くなっているところに対して、苦戦しながらも、よりあのちゃんにしかできない方法と声を使って表現されていたと思います。すごくステキだなと思っていました」

◆当時は、どこに行ってもハクについて聞かれるのが嫌だった

――入野さんご自身は、子役から活動されてきて、2001年公開の『千と千尋の神隠し』でハクを務めました。アニメファンでなくても知っている作品です。

入野「20年以上前の作品で、僕が中学生のころのことなので、覚えていることは少ないんです。それに当時はそんなに反響を感じていませんでした。いろんな人に観てもらったという感覚はあったんですけど、その反響の大きさが、ものすごいものだったんだというのは、大人になって改めて認識した感じでした。

当時はどちらかというと、嬉しさもありましたけど、正直、何をやってもハクのことを言われてしまうのが嫌だった時期もありました」

――そうなんですね。

入野「でも大人になっていくと、こうして取り上げていただけることが自分の名刺代わりになる。どこに行っても分かってもらえるものがあるというのは、すごく大きなことだなと。でもそういうことを感じるようになったのも、ここ数年になってからですね」

――名刺になると感じられるようになったのは、キャリアや年齢、時間が大きいですか?

入野「海外に行ったときにも分かってもらえるというのは、大きいと思いました。あとはいろんな作品をやらせてもらうことで、『千と千尋の神隠し』に囚われるのではなく、キャリアとして、いい作品に出来たことを、自分の自信につなげられるようになりました」

◆市村正親ら、一流の先輩との仕事は貴重

――俳優としてもご活躍されています。舞台にも立たれていますが、たとえば『屋根の上のヴァイオリン弾き』(2013、2017〜2018)のように、同じ作品に数年を経て立ったりすると、特に自身の変化を感じやすかったりしますか?

入野「『屋根の〜』で主演の市村正親さんとご一緒できたことは、僕の中で大きなことです。1回目と2回目でご一緒したときには、全く違うやりとりができました。自分の中でも、市村さんとしても変化があったと思いますが、ちゃんとより良い方向に変化していっていると思います。自分を信じて前に進んできたいですね」

――先輩の姿は刺激になりますか。

入野「もちろん。舞台もそうですが、どの現場でも、一流の方たちと一緒にお仕事させていただけることは貴重です。

基本的に僕たちは、お客さんとして観る場合、目の前にあるのは完成したものですよね。それで“すごいな”となるけれど、そこに至るまでに、どんな歩みがあったのか、どんなことに悩んだり、どんなふうに捉えたりしてきているのかは、普通は見えない。ご一緒することで、そうしたことに少しでも触れられるのは大きいです。

◆後章から観ても大丈夫。世界に対する優しさを感じて

――ありがとうございます。さて、公開中の『デデデデ 後章』で入野さんの演じる大葉は、キーパーソンです。最後にひと言お願いします。

入野「この作品は、時代とか世界線も行ったり来たりします。でもだからこそ、どこから観ても大丈夫でもあると思うんです。前章を観ていない人でも後章から観ればいいと思うし。

どうしても前後章で順番に観たくて、前章を観ていない人は、原作を読んで映画に入るのもいいと思います。

浅野先生の描いている、世界に対する優しさを感じてもらえたら嬉しいなと思います」

<取材・文・撮影/望月ふみ>
(C) 浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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  • 確か、小早川瀬那だよね?
    • イイネ!2
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