「犬だと思っていた」近所の動物、実はライオンの赤ちゃんだった(南ア)

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2024年06月05日 13:30  Techinsight Japan

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南アフリカ・ダーバンのある民家の庭で遊んでいた2頭。見かけた女性は当初、2頭の犬が遊んでいると思ったそうだ(『IOL 「Domestic worker who spotted Westville lion cubs thought they were dogs」』より)
野生動物の宝庫である南アフリカ。なかでも「ビッグファイブ」と呼ばれる大型野生動物のライオン、サイ、ゾウ、バッファロー、ヒョウとはサファリツアーなどで巡り合うことができる。一方で、当然ながら彼らが暮らすエリアと人間が暮らすエリアは全く別であり、これら大型野生動物が普通の住宅街に「住む」ことはない。しかしこのほど、民家の庭で飼われていた犬が、実はライオンだったという事件が発覚した。南アフリカのニュースメディア『IOL』などが伝えている。

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最初に“異常事態”に気づいたのは、南アフリカ・ダーバンのウェストヴィル(Westville)というエリアでお手伝いさんとして働いている女性だった。この女性は当初、近所の民家の庭で2頭の犬が遊んでいると思っていた。しかし、その様子をよくよく見るとライオンの子供のようだと気づき、雇い主に報告、警備会社に連絡した。5月21日午後1時半ごろ、連絡を受けた警備会社「フィデリティ(Fidelity Services Group)」が庭に入ると、確かにそこで遊んでいたのは2頭のライオンの子供だった。警備会社はすぐに警察と動物保護団体「SPCA」に通報し、2頭はSPCA監視下のもと保護された。

2頭のライオンは生後6か月、メスは“ナラ”、オスは“シンバ”と名付けられていた。動物福祉団体「Four Paws」の責任者であるフィオナ・マイルズさん(Fiona Miles)は、「子供ライオンは大型肉食動物に成長するため、特別な食事、種に適した飼育、そして可能な限りの自然な環境が必要です」と述べた。また、同団体マネージャーのバーバラ・パトリックさん(Barbara Patrick)も、2頭にストレスをできるだけ与えないようにSPCAの保護先に移動させ、生のチキンを食べさせ、きれいな水をたくさん与えたとコメントし、「掃除のために移動させる時は、2頭同時に連れていかなければならないほど仲良しです。朝はベッドの隅で寄り添い、用意した大きなクッションでも常に寄り添っています」と2頭の健康状態が良好であること、その絆がとても深いものであることを明かしている。


クワズール・ナタール州政府の野生生物保護団体「エゼムベロKZNワイルドライフ(Ezemvelo KZN Wildlife)」のムサ・ムンタンボ報道官(Musa Mntambo)がメディアに語ったところによると、今回のように庭でライオンを飼育することは1974年の自然保護条例第15号と、国家環境管理生物多様性法の「絶滅危惧種または保護種の規制」に違反するという。子供のライオンはまだ危険ではないが、こういった動物を家で飼おうとする人々は、彼らが肉食動物であることを忘れていると述べ、「問題なのは、ひとたび肉食動物が血の味を知ったら、大変なことになるかもしれないということだ」と警鐘を鳴らした。

一方、地元ラジオ局『イーストコースト・ラジオ(East Coast Radio)』は、ライオンが発見された民家に住む女性にインタビューを試みた。その女性はサビーハ・パルク(Sabeehah Paruk)と名乗り、本件で彼女の兄が逮捕されたと答えた。サビーハさんによると、ボツワナの農家から「面倒を見ることができなくなった」というライオンの子供を一時的に預かり、4週間前から1200坪以上もある広大な自宅の庭で飼っていたという。子供ライオンは、あと数日でボツワナに戻される予定だったそうだ。サビーハさんは、「娘を学校に迎えにいって家に戻ると、警察などの車両がたくさんあって驚いた」「兄は動物保護に関するライセンスを持ってはいるが、住宅街で保護することが問題だった」とコメント、警察の捜査にも協力していると主張した。

ウェストヴィル警察は国家環境管理法(National Environmental Management Act)に基づき、許可なく絶滅危惧種および保護種を飼育したとして、サビーハさんの兄を刑事告訴したという。

今回の件で「2頭が無事でよかった」「保護してくれてありがとう」など2頭が無事保護されたことに安堵する声とともに、「大切な野生動物を庭で飼うのは明らかに違法、自然に返すべき」「2頭の親はどうなったのか」「一時的に預かっているなんて信じられない。商業目的に違いない」といった怒りのコメントも多く見られた。

本件でライオンを飼育していた民家の住人はあくまで保護のために庭に置いていたと主張したが、「Four Paws」によると南アフリカでは監視も規制もされないままライオンの繁殖産業が増長し続けているという現状があり、商業目的で飼育されているライオンは推定1万頭にも上る。フリーステイト州ベツレヘム(Bethlehem)にある「ライオンズロック・ビッグ・キャット・サンクチュアリ」では、ライオンやチーター、外来種であるトラなど、繁殖産業の犠牲となった100頭以上の大型猫科動物を保護している。

画像は『IOL 「Domestic worker who spotted Westville lion cubs thought they were dogs」「Big cats are not pets」』『TimesLIVE 「Crèche children ‘terrified’ of tigers next door, but it seems no laws broken」』『New York Post 「Hilarious false alarm revealed after stray lion reported in Kenya」(Instagram/@kenyawildlifeservice)』『David De Beer Facebook「So we arrive at my Father’s house (that’s for sale) on Leadwood Estate today only to find someone has already moved in....」』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

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  • 清水さんの漫画かっ!?(フツーのおうちでライオン飼ってる設定あったよね)
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