保護施設から譲渡センターへ 警戒心強めの保護犬と接し方3箇条を厳守したスタッフ また心を開いてくれてありがとう

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2024年06月10日 15:40  まいどなニュース

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元野犬のオス・コネリー。保護当初は警戒心強めのワンコでした

行き場を失い動物愛護センターに収容されるワンコのうち、元野犬は人間と暮らした経験がないことから強い警戒心を抱くワンコが多いものです。

【写真】保護当初のコネリー。こちらを警戒していました

2022年の春先に広島県福山市動物愛護センターに収容された推定生後2カ月ほどの元野犬のオスの子犬・コネリーも元野犬特有の警戒心が強いワンコで、人間と目を合わさず人間が近寄れば唸ったり、ときに歯を剥くことがありました。

コネリーを引き出すことにしたのが保護団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。多くの元野犬を保護し、幸せをつないできたスタッフですが、引き出し時にコネリーを抱き上げるとやはり控えめに噛みついてきました。

心を開いてくれたのに環境が変わって逆戻り

保護施設に連れ帰り、他のワンコたちと一緒にたっぷりの愛情を注ぎ、世話を続けた結果、コネリーはやがてスタッフに信頼を寄せてくれるようになりました。

保護当初の印象とはまるで違う、本来の明るく元気な性格も見せてくれるように。施設内で元気いっぱいで遊びまわり、そしていっぱい食べてくれるようになりました。

「これなら安心」とコネリーは保護施設から里親さんとのマッチングを目指す譲渡センターに移動しました。ところが、譲渡センターに来てからのコネリーは、また保護当初のような表情を浮かべ、犬舎の隅で固まり小さく唸るワンコに逆戻りしてしまいました。

「警戒心が強いワンコの接し方3箇条」

スタッフは「触れ合いたい」という気持ちを抑えて、「警戒心が強いワンコの接し方3箇条」を貫くことにしました。

・必要以上に「見ない」
・必要以上に「触らない」
・必要以上に「声を掛けない」

まずは怖がるワンコに対し、新しい環境を観察してもらい認識してもらうことが最優先。その上で、少し心を開いてくれ始めても必要以上に触れ合うことは避け、多くても1回10分ずつから始めていくのが良いとスタッフは言います。

この3箇条を貫き、あえて構わないように接し続けた結果、コネリーはやがて心を開いてくれました。大好きなおやつもスタッフに催促するようにもなり、そして笑顔を見せてくれるようにもなりました。

散歩では「ワンコ目線の観察」をさせてあげる

散歩トレーニングも警戒心が強いコネリーのペースに合わせ、最初はゆっくり歩き始めるように努めました。まだ馴れない環境を前にコネリーにじっくり観察してもらうためです。

これを繰り返した結果、コネリーは次第に環境に馴れ、散歩中に地面を嗅ぎ始めるようになり、さらにはうれしそうに尻尾を振ってくれるようにもなりました。

警戒心の強いワンコには長期戦を意識すること

コネリーにとっての「ずっとのお家」はまだ見つかっていません。仮にぴったりの里親さんと出会えても、当初はおそらく警戒心を抱き、この譲渡センターに来たときと同じような態度になるかもしれません。

それでもコネリーのペースを最優先に接し続ければ、いつか環境に馴れ、そして本来の明るく元気な性格を見せてくれることでしょう。

スタッフは「『なかなか心を開いてくれない』『なかなか笑顔を見せてくれない』といったワンコには長期戦を意識すること」だとし、ワンコの警戒心が解けるまでは前述の3箇条を死守し、待ち続けることが大切だと教えてくれました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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