まもなく英国競馬の華「ロイヤルアスコット」開催 最終日のQE2世ジュビリーSは混戦模様

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2024年06月12日 21:00  netkeiba

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▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆キプリオスが2年ぶりのゴールドC制覇へ

 英国競馬の華と称される、王室主催の「ロイヤルアスコット」が、6月18日から22日にかけて開催される。今回は開催期間中に施行されるG1競走の見どころをご紹介したい。

 3日目(20日)のメイン競走として行われるのが、1807年の創設以来200年以上の歴史を誇るG1ゴールドC(芝19F210y)である。

 ブックメーカー各社がいずれも2倍を切るオッズを掲げ、圧倒的1番人気に推しているのが、2022年のこのレースの勝ち馬キプリオス(牡6、父ガリレオ)だ。4歳だった22年、このレースのみならず、G1グッドウッドC(芝16F)、G1愛セントレジャー(芝14F)、G1カドラン賞(芝4000m)と、欧州各国の主要長距離戦を総なめにした同馬。春先に一頓挫あり、シーズン緒戦が9月にズレ込んだ23年は、2戦して未勝利に終わっていた。しかし、6歳となった今季は本来の動きを取り戻し、緒戦となったナヴァン競馬場のLRヴィンテージクロップS(芝14F)、続くレパーズタウン競馬場のG3レヴモスS(芝14F)を連勝。2年ぶり2度目のゴールドC制覇に王手をかけている。

 6倍〜7倍のオッズで2番人気に推されているのが、J&T.ゴスデン厩舎のグレゴリー(牡4、父ゴールデンホーン)だ。昨年のロイヤルアスコットで、G2クイーンズヴァーズ(芝14F34y)を制している同馬。秋の大目標だったG1セントレジャー(芝14F115y)は5着に敗れたが、長距離路線の新興勢力として台頭することが期待されている。今季初戦となったのが、5月17日にヨーク競馬場で行われたG2ヨークシャーC(芝13F188y)で、ここで3着となっての参戦となる。

 続いてオッズ8〜10倍の3番人気が、W.マリンズ厩舎のヴォーバン(セン6、父ガリウェイ)だ。ハードルのG1・2勝馬が、昨年6月から平地に回帰。ネース競馬場のG3バリーローンS(芝12F)を制し、平地でも重賞制覇を果した。その後に挑んだG1メルボルンC(芝3200m)は14着に敗れたが、今季初戦のG2ヨークシャーCは2着に善戦している。

 ロイヤルアスコット4日目(21日)には、3歳限定G1が2つ組まれている。

 まずは距離6FのG1コモンウェルスC(芝6F)。2歳だった昨年、G1モルニー賞(芝1200m)、G1ミドルパークS(芝6F)という2つのG1を含む無敗の4連勝をマークしたヴァンディーク(牡3、父ハヴァナグレー)が、シーズンオフを通じて前売り戦線をリードしていたのだが、そのヴァンディークが今季初戦となったヘイドックパークのG2サンディレーンS(芝6F)でよもやの3着に敗退。同馬は前売り1番人気の座から陥落し、俄然混戦ムードとなっている。

 かわってブックメーカー各社が5倍前後のオッズを掲げ、新たな1番人気としたのが、G2サンディレーンSの勝ち馬イニシェリン(牡3、父シャマルダル)だ。今年3月にニューキャッスル競馬場で行われたノーヴィス(AW8F5y)を制し、デビュー2戦目で初勝利をあげた同馬。次走はG1英二千ギニー(芝8F)に挑み、6着と悪くない競馬をしたが、その後、陣営が決断したのが短距離路線への転身で、これが図に当たってG2サンディレーンSを制し重賞初制覇を果した。ただし、ロイヤルアスコットではG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)の登録はあるものの、G1コモンウェルスCは未登録で、ここに出走するには15日に設けられた登録ステージで4万6千ポンド(約935万円)を支払い追加登録を行う必要がある。

 ロイヤルアスコット4日目に組まれた2つめのG1が、3歳牝馬によるG1コロネーションS(芝7F213y)だ。

 主要国の千ギニー勝ち馬が顔を合わせる一戦だが、ブックメーカー各社が3.5倍前後のオッズを掲げて1番人気に推すのは、5月26日にカラ競馬場で行われたG1愛千ギニー(芝8F)で3着に敗れているオペラシンガー(牝3、父ジャスティファイ)だ。2歳だった昨年の秋、ロンシャンのG1マルセルブーサック賞(芝1600m)を5馬身差で制し、今年の牝馬クラシックを狙う最有力馬と位置付けられた同馬。しかし、今年3月に一頓挫あって、2週間ほど調教を中断。その影響で、5月5日にニューマーケット競馬場で行われたG1英千ギニー(芝8F)には、出走することが出来なかった。同馬の今季初戦となったのがG1愛千ギニーで、勝ち馬には4.3/4馬身離されたものの、3着を確保。使われての上積みが期待できるここでは、人気の中心となっている。

 2歳秋にカラのG1モイグレアスタッドS(芝7F)を制し、こちらも牝馬クラシックに向けた前売りで上位人気に推されたのがフォールンエンジェル(牝3、父トゥーダーンホット)だ。ところが、オペラシンガー不在で1番人気に推されたG1英千ギニーは、8着に大敗。しかし、3週間後のG1愛千ギニーでは一変した動きを見せ、2.3/4馬身差で快勝した同馬が、4.5〜5.0倍のオッズで2番人気。

 続いて、5.0〜6.0倍の3番人気に推されているのが、5月5日のG1英千ギニーを、オッズ29倍の10番人気という低評価を覆して制したエルマルカ(牝3、父キングマン)だ。

 最後に、ロイヤルアスコット最終日(22日)のメイン競走として行われるのが、G1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)である。

 混戦模様の中、ブックメーカー各社が6.0〜7.0倍のオッズを掲げて1番人気に推すのが、R.ベケット厩舎のキンロス(セン7、父キングマン)だ。22年にG1ブリティッシュチャンピオンズスプリント(芝6F)、G1フォレ賞(芝1400m)という2つのG1を含む4重賞を制した同馬。23年は2つのG2を制したものの、G1ジュライC3着、G1フォレ賞2着、G1ブリティッシュチャンピオンズスプリント2着と、G1は取り逃した。G1クイーンエリザベス2世ジュビリーSが、24年の緒戦となる。

 ブックメーカーによってはキンロスと横並びの1番人気、そうでない社も差のない2番人気としているのが、女性調教師J.チャップルハイアムが手掛ける新興勢力のミルストリーム(牡4、父グレンイーグルス)だ。3歳8月にドーヴィル競馬場のG3モートリー賞(芝1200m)を制し、重賞初制覇を果した同馬。その後は、ヘイドックのG1スプリントC(芝6F)6着、アスコットのG1ブリティッシュチャンピオンズスプリント8着と、G1では足りない競馬を繰り返した。だが、今季緒戦となったニューマーケット競馬場のG3アバーナントS(芝6F)で2着となると、続くヨーク競馬場のG2デュークオブヨークS(芝6F)を制し、2度目の重賞制覇を達成。4歳を迎えてさらに力を付けたところを見せている。

 5月11日にヘイドックパークで行われたLRスプリングトロフィーS(芝6F212y)を制しての参戦となるシャータッシュ(セン4、父インヴィンシブルスピリット)、5月25日にカラ競馬場で行われたG2グリーンランズS(芝6F)の1.2着馬ミットバーヒー(牡5、父プロフィタブル)とリージョナル(セン6、父テリトリーズ)らが、9.0〜11倍のオッズで3番手グループを形成している。

 ロイヤルアスコットのG1競走の模様は、グリーンチャンネルで6月28日に放送される「All In Line〜世界の競馬(夜10時30分から11時30分)」で紹介されるので、ぜひお楽しみいただきたい。

(文=合田直弘)

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