「余命1週間」といわれた金魚、病気を乗り越えて…10カ月生き延び虹の橋を渡る「いろんな縁や出会いを繋いでくれた」飼い主は感謝しかない

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2024年06月13日 14:50  まいどなニュース

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「余命1週間」といわれたSNSで話題の金魚、10カ月生き延び虹の橋を渡る(えみこさん提供、YouTubeよりキャプチャ撮影)

「余命1週間だから」といわれ、病気を乗り越えていく様子がYouTubeで話題を集めた金魚の雪ちゃん。一時は回復したのですが、再び病気に襲われ4月下旬に虹の橋を渡りました。10カ月生き続け、その最期の様子をYouTubeチャンネル「えみこのおうち」に飼い主のえみこさんがこのほど投稿。

【写真】愛され金魚・雪ちゃんの火葬の様子

3週間で再生回数100万回を超え、見守り続けてきたファンの人たちから「悲しくて涙が止まりません」「雪ちゃんのおかげで、金魚という存在の魅力をたくさん教えてもらいました」「ありがとう。ゆっくりと休んでね」などと涙と感謝のコメントが殺到しています。

投稿したえみこさんは、韓国に住む日本人女性。自宅で飼育している熱帯魚や金魚などをYouTubeで紹介しています。昨年6月、「余命1週間だから」と観賞魚ショップでホワイトローズテイルという高級魚を無料で譲ってもらい、雪のように白かったことからその金魚を雪ちゃんと名付けました。

当時病気で弱っていて砂利の上に泳ぐことなく沈んでいたという、雪ちゃん。えみこさんはおうちにお迎えして、雪ちゃんの病気を治そうと懸命にお世話をしました。そして、余命1週間を超えて10日間生きた雪ちゃんの様子をYouTubeで紹介したところ、再生回数600万回を超えるなど大きな話題に。しかし、今回雪ちゃんの“訃報”を伝える動画が公開されました。余命1週間といわれ、10カ月生きた雪ちゃん。どんな“魚生”だったのか…えみこさんにお話を伺いました。

うろこが逆立つ「松かさ病」を完治し、元気を取り戻していた金魚

――雪ちゃんは、松ぼっくりのようにうろこが逆立つ「松かさ病」にかかっていましたね。症状が進行すると治すことのできない不治の病としても知られる金魚にとって怖い病気と聞いていましたが。

「前回の松かさ病の発症は11月11日、そこから必死の治療で完治したのが12月の末でした。1カ月以上も危険な状態が続いた末に、奇跡的に回復できまして。あの状態で生き延びたというのは本当にすごいことだったと思います。その後はやはり、疲れやすく水槽の下に沈んでいることは多いけれど、病気に関しては全く再発の気配はなく過ごしてくれていました。

病気が完治してから2カ月後に、雪ちゃんの隣に同じ種類の新しい”弟”金魚をお迎えして水槽を並べてみました。すると、その金魚を仲間と認識したらしく、今までにないくらい活発になり、餌もよく食べて、水槽の中を上下しながら楽しく泳いでいる様子までも見かけるようになったんです。雪ちゃんには体力もついてきて、これからもっと元気になるのだと、微笑ましく思っていました」

――松かさ病を乗り越えて、また新しい”弟”金魚もお迎えして…雪ちゃんが元気に回復していたところだったのですね。

「ただ担当獣医師さんからは『季節の変わり目は金魚にとってとても厳しい。改良が進み過ぎた丸い金魚や白い金魚は特に」と言われていました。それを聞いてまず、先生のお勧めする観賞魚の教科書を買いまして。アメリカの水産科学者たちが出版した本で、韓国の水産生命医学を研究している教授が翻訳したものです。私はもちろん、日本語訳の本が読みやすいので日本語訳でその教科書が売られていないか探したのですが、残念ながら日本語訳はされていないようです。

でも金魚を病気から守るために何が必要か、教科書を読んで勉強しました。そこから得た情報と、以前先生に聞いた助言から、水質チェックを頻繁にするようになったんです。それからふんをしたらすぐにスポイトで吸い取ってあげること。水換えは週に2回、温度差がないように細心の注意を。それに餌をやや少なくしてたんぱく質を抑え、替わりにゆでた野菜を多めにあげていました」

懸命のお世話をしたが、今年4月に金魚の体に異変

――それでも、今年4月に入り雪ちゃんの体に異変が起きたとのこと。

「はい。前回11月に体調を崩した時と全く同じ病気にかかりました。うろこが逆立つ松かさ病と、体が赤く充血する赤班病、お腹に水が溜まる腹水病といわれる病気を併発した状態です。これらの症状はみな、水中に存在する常在菌への細菌感染によって引き起こされるといわれています。元気そうに見えていた雪ちゃんでしたが、やっぱり変わらず免疫が弱く、何らかの細菌感染を起こしたのだと思います。

4月14日の朝から雪ちゃんのうろこがわずかに開き始めました。2日目の夜あたりから少し両側のお腹が赤いような気がして、3日目にははっきりと赤くなって。4日目にはお腹が大きく膨らんできて腹水が溜まってきたことが分かりました」

――急激な悪化ですね…。

「金魚の感染症は敗血症まで進んでしまう前に何とかしなくてはいけません。敗血症になるとそれは死に直結するからです。そこで冷蔵庫の中に保管してあった注射薬を取り出し、緊急で注射しました。急激に悪化している場合は、薬浴や薬餌でのんびり治療している場合ではなく、即効性のある注射による治療が必要でした。

5日目にも注射をしました。ところが、この日の夜になって、昨日注射を刺した部位が真っ赤にはれてきました。その後、この日の午前中に刺した注射部位も後を追うように真っ赤になりました。6日目、本来は3日続けて注射を打たなければならないのですが、打つことができませんでした。注射の部位も、お腹も真っ赤にはれ上がり、うろこも驚くほど逆立っていました。えさに薬を混ぜて内服させて、ゆっくりでもいいから効果が出てくるのを待つことにしました」

――息を引き取ったのは、異変が起きてから7日目。最期は。

「この日、雪ちゃんは朝からぼーっとして動きが非常に鈍い状態でした。通常金魚は死期が近づくと呼吸が乱れます。姿勢が崩れて横になって浮くか沈みます。雪ちゃんは姿勢をしっかり保っていたし、呼吸の乱れもなかったので、夫とも、水さえきれいに換えていれば治るだろうと話して雪ちゃんを眺めていました。でも午後3時に雪ちゃんが水槽カーテンの向こうに隠れて出てこなくなったので、見に行くと呼吸が止まっていました。少しだけ、体が斜めになって浮いていました」

金魚のために葬儀、火葬も行った 6月には書籍を発売予定

――雪ちゃんが息を引き取った21日の翌日には雪ちゃんの葬儀や火葬をされたとのこと。この模様もYouTubeに公開されました。

「生き物の死を扱う動画なので、そういったものを公に公開してもいいものか悩みました。でもおそらく、金魚に火葬が適応できるという事例になると思ったことが一つ。YouTubeを通して金魚だって犬や猫と同じように家族として大切に飼ってきたという方がたくさんいたので、そういった方への最後の供養の仕方として参考になるのではないかと思いました。

それから雪ちゃんが最期まで本当に手厚く大切に扱われて天国に旅立てたことを報告したかったことが2つ目。そして3つ目に、雪ちゃんのために使ってくださいと、雪ちゃんファンの方からYouTubeを通してたくさんの支援金をいただいていたので、その用途として最後は葬儀に使わせていただいたという報告がしたかったことです。

葬儀は本当に丁寧に、雪ちゃんへの敬意を示してくださるようなとてもありがたい対応をしていただきました。家族の悲しみを癒すために、言葉の一つ一つにも優しさを込めて声をかけてくださっているのがわかりました。丸くかわいらしい骨壺に入って、きれいなスカーフで包んでもらった雪ちゃんの遺骨が、生前の愛らしい雪ちゃんのフォルムにそっくりで、心が和やかになりました。葬儀をして、良かったと思いました」

――10カ月間一緒に過ごした雪ちゃんとの日々について、どう思う?

「雪ちゃんは本当にかわいらしくて、そして賢くて、素直で、時にはわがままも言って困らせてくれたり、そのすべてが愛らしかったです。雪ちゃんは病弱で、日々のケアが大変でしたが、そんなもの気にならないくらい一緒にいれた毎日が楽しかったです。雪ちゃんに出会って、そこから志の強い素晴らしい先生に出会うことができましたし、観賞魚ショップの店長さんがどんな思いで日々魚たちと接しているのかも知ることができました。

それから、たった1匹の金魚の命を応援してくださる驚くほどたくさんの視聴者さんと出会うことができました。中には絵を描いてメールで送ってくださった方もいましたし、治療法について獣医さんに聞いたことをお伝えしたいとメッセージをくれた方もいました。ガラス細工で雪ちゃんを作ってくれた人が現れた時には驚きと嬉しさで発狂しました(笑)。

自分には縁がないと思っていたニュース関係の記者のかたとも出会うことができましたし、実は出版社の方からも声をかけていただき6月には雪ちゃんの本も販売されます。本当にビックリするどころではない、たくさんの人との縁ができました。あらためて、自分の人生は一人で歩いているものではないのだと。いろんな偶然や出会いや縁が重なって、今の自分があるのだと雪ちゃんが気づかせてくれました。ありがとう雪ちゃん!」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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