「連絡先を渡しただけなのに…」店員をナンパしたら出禁に 男性の不満「撤回求めたい」

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2024年06月16日 09:50  弁護士ドットコム

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ナンパしただけで店を「出入禁止(出禁)」になったのは納得がいかない──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。


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相談者はスーパーマーケットで働く女性に「不要なら捨ててください」と伝えて連絡先が書かれた紙を渡したそうだ。ところが、すぐに同店の責任者とみられる男性従業員から「うちの店員に連絡先を渡しましたよね」と指摘され、同チェーンの全店舗への「出禁」を言い渡されたという。



連絡先を伝えただけで、ストーカー行為などもしていないとし、「全店舗出禁はやり過ぎ」と憤る相談者。頻繁に利用する店舗へ入れなくなると生活上困ってしまうのかもしれないが、今回の“一発レッドカード”は本当にやり過ぎなのだろうか。 田村ゆかり弁護士に聞いた。



●出禁は「原則として店の裁量」

──店側には特定の客を出禁にする権利があるのでしょうか。



参考になる裁判例があります。温泉旅館が実施した出入り禁止に対し、禁止された客側が損害賠償請求をしたケースです(静岡地裁沼津支部平成29年1月12日判決)。



出入り禁止は不法行為とはいえないとして、その理由として「公共の建物ではない建物については、その所有者ないし管理者は、法令等に反しない限り、その所有ないし管理する建物内に、誰を立ち入らせて誰を立ち入らせないかを自由に決定することができるのが原則である」と判示しています。



店側には原則として、その裁量で特定の客に対し出入り禁止にする権利があるといえますが、他方で、店側による出禁が不法行為に当たり、客側からの損害賠償請求が認められるケースも想定されます。



たとえば、店側が「外国人お断り」「●●出身者は出入り禁止」などと掲示し実際に入店を断ったケースを考えると、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定める憲法14条1項に反するとして不法行為に当たり得ます。



上記判決が「法令等に反しない限り」と示すように、店側の裁量にも限界はあります。



──無期限の「永久出禁」のような対応も可能なのでしょうか。



店側の裁量が大きいため、永久出禁や全店舗出禁といった措置を課すことも原則可能で、客が店側の出禁措置が不法行為だと損害賠償請求をしても認められないケースが多いかと思います。



ただ、たとえば、離島で生活用品を購入する店舗はそこしかないにも関わらず永久出禁とされたなど、客の生存権を侵害しかねないようなケースであれば、出禁行為が不法行為に当たると判断されることも考えられるのではないでしょうか。



●“全店舗”出禁については「交渉の余地ある」

──今回のケースでは、連絡先が書かれた紙を渡しただけで「全店舗出禁」とされたようです。



留意すべきだと思うのは、「連絡先が書かれた紙を渡しただけ」というのは相談者の主観によるものではないかという点です。



女性店員に紙を渡してすぐに店の責任者と思われる男性従業員から指摘をされたということですので、これまでの来店時に、その店員に話しかける、他のレジが空いていてもその店員がいるレジに並ぶ、その店員のシフトを聞くなどして、その店員が不安や恐怖を覚え店長に相談していたため、紙を渡してすぐ対応されたのではないか、とも考えられます。



また、他の店舗において女性店員に声をかけたり連絡先を渡したことがないかも確認したいところです。



──出禁の撤回は難しいでしょうか。



本当に撤回を求めようとするなら、相談者本人と店側とのやり取りは感情的になり難しいと思いますので、できれば代理人を通して、まずは全店舗出禁の根拠を確認します。



全国に店舗があるスーパーマーケットを想定すると、店長が出禁にできるのは当該店舗のみのはずです。店長の判断により「全店舗」出禁を告げたということであれば、店長には他店舗の出禁を判断する権限はないことを指摘して、当該店舗以外の店舗を利用することが考えられます。



当該店舗ではなく、スーパーマーケットを運営する会社として全店舗出禁としたのであれば、どのような根拠で判断したのかを確認した上で、当該店舗については今後一切立ち入らないことを誓約するとともに、他の店舗についての出禁は撤回する旨の合意をすることも考えられます。



全店舗出禁にした店の行為を違法と認めさせることが難しくても、交渉により全店舗出禁を撤回させる余地はあるかと思います。




【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
経営革新等支援機関。沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:https://deigo-law.jp


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