山梨県知事、富士山登山規制の裏に“発想の転換”「まさにコロンブスの卵」 新たな登山鉄道構想も明かす

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2024年06月17日 15:45  ORICON NEWS

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富士山登山規制の裏側を明かした長崎幸太郎(C)ORICON NewS inc.
 山梨県知事・長崎幸太郎氏が17日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を行い、7月1日より開始される富士山五合目登山道(吉田ルート)における登山者に対する通行料の徴収、1日あたりの登山者数や通行時間による制限について説明した。

【写真】富士山登山規制の裏側を明かした長崎幸太郎山梨県知事

 同県では、世界遺産富士山の保全と価値向上を目的として新たな条例を制定し、吉田ルート五合目の登山道入口にゲートを設け、午後4時から午前3時まで登下山を封鎖することを決めた(山小屋の宿泊予約がある人などを除く)。さらに、登山者が1日あたり4000人を超える場合も、同様に封鎖する。

 また、登下山道の使用料としてゲート通過者1人(1回)につき2000円の通行料を徴収。以前から実施している任意の寄付金「富士山保全協力金」と合わせ、1人あたり最大3000円の負担となる。同県では、5月20日からオンラインの新予約システムを稼働させ、取り組みは開山日の7月1日から実施される。

 長崎知事ははじめに、富士山をめぐる課題として「山頂付近の過度な混雑」「過密日程で一気に登頂を目指す“弾丸登山”の増加」「外国人登山者の増加によるマナーの悪化」を挙げ、「昨年8月、この日本外国特派員協会で富士山の現状と課題について会見を開いた際に、『なぜ登山料を徴収しないのか?』というご意見をいただいた」と振り返った。

 続けて「当時は『自由通行を原則とする道路にゲートを設置することは不可能』と回答したのですが、それから研究を進めていきました」とし、「ゲートが設置できなかったのは、登山道が県道という位置づけだったことが理由。そこで国とも相談をしながら、県道ではなく“県管理の施設”として分離することで、ゲートの設置が可能となりました」と説明。「まさにコロンブスの卵、発想の転換だった」と誇りながら、「今回の規制は登山者の命に関する課題に対応する施策である」と理解を求めた。

 会見ではこのほか、世界遺産登録時からユネスコ世界遺産委員会から「人が多い」「人工的景観が目立つ」「環境負荷が大きい」という課題が指摘されてきたと言い、今回の登山規制によって「五合目より“上”の来訪者コントロールが可能となった」としつつ、「五合目より“下”に関してはいまだ手つかずであり、早急な対応が求められる」と危機感もにじませた。

 そして、ニューコンセプトモビリティによる新たな登山鉄道開発の構想も明かし、麓から五合目までをつなぐ「スバルライン」の開通以前まで利用されてきた伝統的な登山道の利用を働きかけることで、登山者の分散化を図ることも伝えた。

 すでに「オーバーツーリズム問題を中心として議論は着々と進んでおり、アイデアも多く寄せられている」と言い、「これらの構想は現状の課題解決にとどまらず、富士山を中心とした地域を世界レベルの観光エリアとして形成するところまで射程に入れている」と宣言。「富士山の周辺地域、山梨県全体をどのようなエリアにしていくのかと、引き続き様々な意見を結集し、100年後から見ても誇れる地域へと進化させていく」と目標を掲げた。

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