豊胸した元男性「認めてほしいわけじゃなく自分らしくいたい」、LGBTQというカテゴライズへの違和感

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2024年06月19日 08:30  ORICON NEWS

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昨年から始めた女性ホルモン注射によって、「女性らしいと言われる機会が増えた」と喜ぶ杉本凛。
 可愛すぎる “女装男子”として話題を集めていたYouTuberの杉本陣が、昨年夏、豊胸手術を行った。かつてのインタビューで「見た目と心は女性、身体は男。今はそんな“女装”で納得している」と明かしていた“男の娘”は、『杉本凛』へと改名し、新たなスタートを切った。女性ホルモン注射の開始から、豊胸、改名まですべてを『杉本凛ちゃんねる』で配信する彼女だが、一方で、「決して自分のような存在を世間に認めてほしいと言いたいわけではない」と心情を吐露する。交錯する複雑な感情と葛藤。“自分らしさ”を求め今を生きるLGBTQ当事者に、女性化する前後の自身に訪れた変化について話を聞いた。

【写真】杉本凛、美しすぎるすっぴんと”女性ボディ”

■自身の中で変化していく“自分らしさ” 「生まれ持った性がアイデンティティと思い込んでいた」

 彼女のタレントとしての活動は、芸能事務所にスカウトされて男性アイドルグループとしてデビューしたのが始まり(当時は杉本陣)。女性と見紛うような可愛らしさで、YouTubeチャンネルでもメイクや女装をネタにした動画を配信していた。本格的に女装を始めたのは2019年のコロナ自粛がきっかけだ。

 2022年のORICON NEWSのインタビューでは、【コロナ禍で自粛していた時期に、「家で何かできることないかな」と思って、試しに女装をしてみたんです。その姿をTikTokに上げたら評判が良くて】と明かし、当時は【見た目と心は女性、身体は男。そんな女装で納得している】と自身のジャンダーについて語っている。

 今は、身体の女性化を強く希望している。昨年2月頃から女性ホルモン注射をはじめ、その年の夏に豊胸手術へと進んだ。

「前回のインタビューのあと、将来について深く考える時間が増えたんです。そのときに自分はどうなりたいんだろう、と。“女装男子”というままでも楽しく生活はできる。だけどもっと“自分らしく”いられるあり方があるんじゃないかと思って、心だけでなく、身体も女性になることを決めました」

 幼少期から常に“可愛くなりたい”という想いはあったという。高校生頃から、“可愛い系男子”を目指し、その後、“美少年”としてアイドルデビュー。ところが、メイクや女装の努力だけでは、理想とする“可愛い”にたどり着けないというある種の限界を感じていた、と打ち明ける。ところが、ジレンマを抱えながらも、女装時にはウイッグを着用し、地毛は短髪のままだった。ロングヘアには踏み切れなかった。

「長い間、勝手に自分の中で“そこまで行ってはいけないんじゃないか”と、決めつけていたんだと思います。生まれ持った性こそがアイデンティティだと思い込んでいたと言うか…。女装から、身体の女性化までの気持ちの移り変わりを言葉にするのは難しいですが、多分ですが、より生きやすい道を歩んでいった結果、いつの間にか“自分らしく”という部分が変化していったんじゃないかと思います」

 生まれ持った性別は男性。“自分らしさ”はその上にあるものだと思い込んでいたと述懐する。

■「生きている価値ないじゃん…」存在を否定された飲み会

 昨年、24歳になった彼女がより“自分らしく”いるために選択したのが、女性ホルモン注射だ。決して安易な決意ではなかった。

「実は、その後に行った豊胸手術よりも女性ホルモン注射を始める時の方が、悩んで眠れない日々を過ごしていました。何カ月も悩んで悩んで。ネットで調べると、色んなリスクが書いてあって…。しかも、女性らしい見た目を望むなら、生涯にわたって打ち続けないといけないんです。数週間に一度の注射を、コストもかかりますし精神的にも生涯続けられるのか…。本当に悩みましたね」

 不安と恐怖の中で女性ホルモン注射を打ち続け、数ヵ月後に自身の肉体に女性化が見られた時は、安堵と嬉しさでいっぱいだったと話す。

「全体に肉付きが良くなり、特に腰まわりは柔らかいラインになりました。胸も少しふっくらして。何より、周囲から『優しい印象になった』『女性らしい』と言われることが格段に多くなりました」

 女性ホルモン注射による見た目の変化は、自信につながったとも明かす。ホルモン療法以前から、その美貌は知られていたが、心無い言葉をかけられることも少なくなかった。友人に誘われて出かけた飲み会では、友人が男性から責められた。

「男性が『なんだ。この子、男じゃん。女の子呼んでよ』って。その時に、誘ってくれた友人にも、ごめんねって思いました。もちろん、出会いを求めていた男性からしたら、女性がくると思っていて、自分がきたらびっくりするとは思うけど…。目の前ではっきり言われると衝撃が大きかった。“自分は人に迷惑をかける存在なんだ、生きている価値ないじゃん”と、落ち込みました」

 それまでも、好きな男性ができても“どうせ自分なんて対象外”と消極的だったが、この一件から、ますます恋愛は苦手になった。そんな中、女性ホルモン注射によって、身体が自分の理想に近づき、容姿を褒められることは自己肯定感につながっていったと振り返る。

■LGBTQというカテゴライズより重要なのは「自分」という“個”

 LGBTQへの理解が深まる昨今、当事者たちが生きやすい社会へと整備が進む一方で、意図しない“差別”が生まれている可能性も捨て切れない。そもそもLGBTQや“男の娘”というジャンルで語られることもある種の“差別”という声もある。

「確かに。そうくくられてしまうことは、YouTubeで発信している側じゃなかったら嫌だったと思います。発信する場合はそのくくりは分かりやすく視聴者に伝えられる。でも世の中にはさまざまな性自認の方がいる。それぞれ悩み、こうなりたいけどできない、という方もいます。でも、どこかのきっかけで“自分らしく”なれる瞬間は誰にもあると思っていて。自分は自分。誰も同じ人はいない。それを無理にLGBTQにくくらなくてもいいんじゃないかって思います」

 もちろん、その差別撤廃のために過去に多くの人が血の滲むような苦労をしてきたのはわかっている。その上にあぐらをかいているわけでなく、“自分らしさ”という“個”の発想も今後は大切にしていきたいということだ。

 ちなみに彼女が凛という名に改名したのは、「凛」という漢字にはクールさと格好良さが内包されているから。生物学上は男性であり、徐々に少しずつ女性へと変化していった、その「二面性」を表す言葉として最適だと考えたからだと話す。

 さらに「きっと私は先天的ではなく、後天的なんですよ」と明かす。女性と交際した時期もあった。女性、男性と関係なく人を好きになった時期もあった。これまで彼女がたどってきた人生、体験したこと、感じてきたこと、そして「後天的に」女性となったこと。そのどれをとっても「杉本凛」でしかなく、LGBTQと単にくくるのはためらわれる。

「世の中にはいろんな人がいて、自分のような人を認められない方もいらっしゃると思います。でもそれは仕方がない。だから全員に『LGBTQを認めて』『男の娘の人権を認めて』とは言わないし思いません。ただ理解してくれる人、わかってくれる人もいて、そんな大事で大切な人たちと過ごしていきたい。それで、いいんです」

(取材・文/衣輪晋一)

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  • そのレベルの発言なら反感買わないだろうけど、自己顕示欲や過剰なまでの承認欲求を満たしたいだけのクズ当事者やその支援者の存在は虫酸が走る。
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