香港競馬のシーズン閉幕間近 注目の調教師リーディングは師弟対決の様相に

1

2024年06月19日 21:00  netkeiba

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

netkeiba

▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆注目は気鋭の若手ピエール・ン調教師!

 香港における2023・2024年シーズンは、7月14日の閉幕まで1カ月を切ったが、ここへきて大接戦になっているのが、リーディングトレーナー争いだ。

 開幕から8週間が経過した11月5日にトップに躍り出て以来、リーディング争いを牽引してきたのは、今季が開業2年目という気鋭の若手ピエール・ン調教師(40歳)だった。

 デイビッド・ヘイズ調教師、クリス・ウォーラー調教師、ミック・プライス調教師といったオーストラリアのトップステーブルで研鑽を積んだ後、2007年に父ピーター・ン調教師が営む厩舎のトラックライダーとして、香港におけるホースマン人生をスタートさせたのがピエール・ン調教師だ。2013年にポール・オサリバン厩舎に移籍するとともに、アシスタント・トレーナーに昇格。2015年にはGI高松宮記念(芝1200m)に出走したオサリヴァン厩舎のエアロヴェロシティに帯同。同競走における香港調教馬初優勝に立ち会っている。

 その後、ジョン・サイズ調教師、フランシス・ルイ調教師といったビッグネームのもとでもアシスタントとして研鑽を積んだ後、38歳となった2023・2024年シーズンから自らの厩舎を開業した。父の足跡を辿ることになったことについて、ン師は「夢がかなった」と、初々しい表情で語っていたことを思い出す。

 開業初年度に41勝をあげ、リーディング10位と上々の滑り出しを見せた後、それ以上に着々と勝ち星を積み上げてきたのが今季だ。そんな中、今年1月1日にはタージドラゴン(セン5、父ミーマス)でG3チャイニーズクラブCC(芝1400m)を制し重賞初制覇。さらに、管理馬ギャラクシーパッチ(セン4)が、G1クイーンズシルバージュビリーC(芝1400m)と香港ダービー(芝2000m)でいずれも2着になった後、6月2日のG3ライオンロックトロフィー(芝1600m)を制し、ン厩舎に2度目の重賞制覇をもたらしている。

 そのン厩舎を猛然と追いかけ、6月15日のシャティン開催でついに追い抜いたのが、フランシス・ルイ調教師(65歳)だ。

 前述したように、ピエール・ン師はフランシス・ルイ師のもとでアシスタントを務めたことがある。ルイ厩舎のゴールデンシックスティが、19年9月から21年12月にかけて16連勝をマークした時、アシスタントとしてこれを支えたのがン師だった。

 かつての師弟が、リーディングの座を目指してガチンコの対決をしているわけである。

 6月8日のシャティン開催の、第7Rに組まれたクラス2のハンデ戦で、ルイ厩舎のコパートナープラーンス(セン4、父エポーレット)が、ン厩舎のデュークワイ(セン8、父パーインカント)にアタマ差先着して優勝した段階で、両厩舎の勝ち星は61でピタリと並んだ。

 6月12日のハッピーバレー開催は、両厩舎とも未勝利に終わった後、6月15日のシャティン開催で、まさに追いつ追われつの展開が見られた。第1Rに組まれたグリフィンクラスの一般戦(芝1000m)をルイ厩舎のカラテエクスプレス(セン2、父アラバマエクスプレス)が制し、ルイ師が一歩リード。

 すると、第5Rに組まれたクラス4のハンデ戦(芝1200m)をン厩舎のキャプテンウィン(セン6、父トロナード)が制し、両者は62勝で再び併走することになった。

 しかし、続く第6Rに組まれたクラス3のハンデ戦をルイ厩舎のコールミーグロリアス(セン3、父ノーネイネヴァー)が制し、63勝目をあげたルイ厩舎が単独トップに躍り出ている。

 2023/2024年シーズンが終了する7月14日まで、残る開催は7日間ある。両者によるリーディングトレーナー争いから、最後まで目の離せない展開になりそうだ。

 なおリーディングジョッキー争いは、6月15日の開催が終了した時点で、ザカリー・パートン騎手が116勝で首位に立っている。こちらは、2位のカリス・ティータン騎手に38勝もの差をつけて独走しており、リーディング獲得は確実な情勢になってる。

(文=合田直弘)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定