ワークマンが夏向けの新作アイテムとして発売した「高機能Tシャツ」が売れている。機能やデザインが異なる全6種類を展開しており、いずれも低価格(780円〜)で販売している。
1982年に誕生したワークマンは、創業当時から作業現場で求められてきた高機能Tシャツを開発してきた。同カテゴリーの過去最高のヒット商品「放熱冷感半袖Tシャツ」(499円)は、そのコスパの良さが支持され、2021年6月の発売から180万枚以上を売り上げている。
近年は技術が発達してきて、汗を吸うたびに涼感がアップしたり、汗によるニオイを抑えたり、さまざまな悩みへのアプローチが可能になっているという。
ワークマンが展開する「高機能Tシャツ」シリーズはどんな特徴があり、どんな点が支持されているのか。同社の広報部 松重尚志氏に取材した。
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●手頃ながら機能性とデザイン性を両立
ワークマンが2024年夏の新作として発売した「高機能Tシャツ」は全6種類で、それぞれに機能の違いやこだわりのポイントがあるという。
「ふんわりワッフルサーマル半袖クルーネック」(全5色、各980円)の特徴は、吸汗速乾性と形態安定機能を備えるワッフル生地を使用していること。1月に発売し、約5万枚を販売している(6月中旬時点、以下同)。
汗をかいても乾きやすく、ベタつきにくい。また、洗濯してもシワになりにくく、仕事着だけでなく普段着としても着回しやすいのが支持されているポイントではないかと松重氏は説明した。
●作業着というより「普段着」として購入
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トレンドとなっているワイドシルエットでカジュアルさを際立たせた「ワイドラゲッジ半袖Tシャツ」(全5色、各1500円)は、デザイン性と利便性を両立。裾のドローコードによりシルエットを調整でき、サイドのポケットはチャック付きの目立ちづらい仕様にしている。
2月に発売し、約2万枚を販売している。松重氏の印象では、作業着というより「普段着」として購入する人が目立つという。
「シャリテックR梨地半袖Tシャツ」(全5色、各780円)は、さらさらとした肌ざわりの梨地素材を採用し、裏地は触れた部分がひんやり感じる接触冷感機能を持つ。シーンを選ばずに着用できるシンプルなデザインに仕上げた。5月に発売し、約2万5000枚を販売している。
コットン生地にキシリトールを練り込んだ「キシリトールコットン半袖Tシャツ」(全6色、各1280円)は、水分と反応して汗を吸うたびに涼感がアップする。4月に発売し、約3万枚を販売している。
汗をかいても生地が肌にまとわりつきにくく、サラッとした着心地を維持できる。松重氏いわく、「生地にキシリトールを練り込んでいるので、洗濯しても冷感を維持しやすい」そうだ。
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●ワークマン独自の「加工技術」や「生地」も
ワークマン独自の加工技術や生地を採用したアイテムは、コスパの良さが際立っており、特に売れ行きがいいという。
「ゼロクリアRコットンタッチ半袖Tシャツ」(全6色、各780円)は、コットンタッチ素材にワークマン独自の抗菌・消臭加工「ZERO CLEAR(R)」を施している。4月に発売し、約3万8000枚を販売している。
野外などの現場で働く人にとって夏のニオイは悩みの種であり、そういった課題への対策として製造しており好評だと松重氏は話した。
「スムースアイスコットン半袖Tシャツ」(全6色・各980円)は、ひんやりとした冷感が持続するワークマン独自の生地「スムースアイス」を使っている。「通常時よりマイナス1度の体感温度が続くイメージ」だという。2月に発売し、約10万枚を販売している。
高機能Tシャツのシリーズは、30代以上をメインターゲットとしているが、幅広い層に売れているという。中でも、「スムースアイスコットン半袖Tシャツ」は若年層に人気が高く、シンプルなカラーとシルエットで普段使いしやすいことが支持を得ている理由のようだ。
「コスパの良さ」から複数の種類や色をまとめ買いする人も一定数おり、売り上げアップにつながっていると松重氏は説明した。
●高機能ウェアを安く提供できる3つの理由
なぜワークマンでは高機能ウェアを低価格で販売できるのか。この質問に、「3つのポイントがある」と松重氏は答えた。
「1つめは、1000店舗以上で販売することから1回のオーダー量が多いこと。ロット数が増えると単純に1点当たりのコストが下がります。2つめが、1年単位で工場に発注していること。工場の閑散期に製造できるのでコストを抑えられます。そして3つめは、作業服で培ったノウハウを生かしていること。新作の生地や加工技術も、創業時から積み重ねた経験がもとになっています」
高機能Tシャツはメンズサイズで展開しつつ、男女兼用として全店で販売している。ワークマンの女性向けブランド「ワークマン女子」でも、高機能Tシャツの売り上げは好調だという。
開発では「先に価格を決定してから機能を付加していく」方針を取っており、機能性をとことん追求するよりも、「顧客が買いたくなる価格」を優先して企画しているそうだ。Tシャツであれば780〜980円がボリュームゾーンとなる。
今後の高機能ウェアの展望を尋ねると、「作業中だけでなく日常的に着用できるデザイン性に注力するとともに、夏の悩みをすべて解決できる高機能ウェアを製作したいです。『Tシャツといえばワークマン』と思っていただけるよう、引き続き商品開発を行っていきます」と回答した。
近年、「作業着」と「普段着」の垣根がなくなりつつあり、作業着として販売されている洋服を普段着として着る人が増えているのだという。そうした傾向を踏まえ、よりシーンを選ばないデザイン性と機能性の両立を図っていく方針だ。
(小林香織)
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