「野球が観られるフードコート」 西武の球場飯はなぜ12球団で“人気断トツ”? 行って分かった「納得の理由」

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2024年06月20日 08:19  ねとらぼ

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西武の「球場飯」なぜ断トツ人気

 バラエティー番組でも特集が組まれるなど、近年注目を集めるプロ野球本拠地のスタジアムグルメ(スタグル)。中でも埼玉西武ライオンズは、全12球団のうち最も「球場飯」が美味しいと評判だ。人気の秘密はどこにあるのか。実際にスタジアムを訪れ、その理由を探った。


【画像】ベルーナドームで食べられるグルメ


●複数調査で「人気1位」の結果


 「野球が観られる巨大フードコート」「野球が観られる食堂」――。西武の本拠地・ベルーナドーム(埼玉県所沢市)に対する、SNS上のプロ野球ファンによる論評だ。


 西武のスタグル人気の高さは、複数の調査が裏付けている。ねとらぼ調査隊が2021年から実施している「【プロ野球】『球場飯がおいしいと思う球団』ランキングTOP12!」では、2023年にかけて3年連続で12球団トップの票を獲得。いずれの年も、2位に大差をつけた“断トツ1位”だ。


 また、慶應義塾大学理工学部の鈴木研究室が行った「プロ野球のサービスの満足度調査」でも、西武の「スタジアムフードへの評価」は2023年、2024年の2年連続で12球団トップの数値となった。


 なぜ、西武のスタグルはこれほどまでに支持を集めているのだろうか。ねとらぼ編集部は5月下旬、実際にベルーナドームに足を運び、その秘密を探った。


 球場最寄りの西武球場前駅に降り立つと真っ先に目に入るのは、ずらりと並んだキッチンカーだ。ローストチキン、バインミー、スパイスカレーなど、味にこだわった店が10店舗前後出店している。


 しかし、これはまだ序の口。球場正面のゲートをくぐると、さらにたくさんの店が球場外周を囲むように出店しており、いよいよ12球団一の「グルメスタジアム」の本領発揮となる。


 球団広報によると、ベルーナドームに出店している飲食店の数は約70店舗で、メニューは1000種類以上。これは「12球団最大級」の数字だという。出店する飲食店のジャンルは和食、中華、イタリアン、韓国料理、エスニック、メキシコ料理……と数えきれないほど多様で、まさに「野球が観られる巨大フードコート」との表現がしっくりくる。


●味で勝負の「ガチな店」がたくさん


 球場を歩いていて目に留まるのは、おしゃれな街に出店していても不思議ではないような「ガチな店」の数々だ。


 3塁側にある「エルズクラフト supported by BREWDOG」は、スコットランド発のクラフトビールメーカー「BREWDOG」とコラボした飲食店。本格的なクラフトビールはもちろん、なんと店内の窯で焼き上げたクラフトピザを食べることができる。記者が行列に並び、20分程度待って手に入れたピザはどれも濃厚な味わいが絶品で、これが球場で食べられるのかと驚くほどのクオリティーだった。


 1塁側では、今季からオープンしたメキシコ料理店「L's MEXICO(エルズメキシコ)」の黄色い看板が目を惹く。タコスやブリトーといった定番のメキシコ料理に加え、肉やエビを挟んだファストフード「ケサディーヤ」、ビールとトマトジュースを合わせたメキシコのカクテル「ミチェラーダ」など、普段目にする機会が少ないメニューに好奇心をそそられる。


 他にも豚肉料理専門店の「日本豚園」、てんぷら専門店の「天婦羅 なかむら」、「麻婆豆腐専門店 SCRAMBLE」など、1つの分野に特化した個性的な飲食店がたくさん出店している。これだけのバリエーションがあれば、球場に来るたびに違う店の商品を食べられるという楽しみ、まだ食べていないグルメを食べるために球場を再訪するという動機も生まれそうだ。


 なお、ヴィーガン料理専門店「BACKYARD BUTCHERS」と、ポテトとチュロスを売っている「& Butchers」は西武などで活躍した米野智人氏が店舗運営を手がける店。運が良ければ、店に立つ米野氏に会えるかもしれない。


 この日は球場のいたるところでグルメ待ちの行列ができており、特に「エルズクラフト」「エルズメキシコ」の行列は際立っていた。ただ、一部座席ではモバイルオーダーでの注文も可能で、料理が出来上がったらスタッフが座席まで届けてくれるため、行列に並ぶことなく美味しい料理を食べることができる。


 ベルーナドームの球場飯には、球団名にちなみ「獅子まんま」の愛称がつけられている。2023年にはファンによる人気投票「KING OF 獅子まんま 2023」が行われ、エルズクラフトの「クラフトピザ」(2位)を差し置いて総合1位に輝いたのは、狭山茶処 新井園本店のスイーツ「ライオンズ焼き」(350円)だった。


 また、球場で販売されているメニューの一部は冷凍食品「おうちでライオンズグルメ」としてオンラインストアで販売。その中には中村剛也選手や栗山巧選手、高橋光成投手(※高ははしご高)プロデュースのメニューも含まれている。スタジアムグルメに自信があるからこその「横展開」と言えそうだ。


●15年以上前から力を入れていた「球場グルメ」


 なぜ、これほどまでにベルーナドームの飲食店は充実しているのだろうか。そのルーツは、今から15年以上前にさかのぼる。


 球団広報によると、スタジアムグルメに力を入れ出したのは2000年代後半〜2010年代中盤。当時日本の野球場では、試合観戦だけでなくグルメや野球以外の娯楽も楽しめる「ボールパーク」の考え方が浸透しはじめたころで、ベルーナドームでも「食を通して野球観戦の新たな価値を老若男女あらゆるお客さまに提供しようと、バラエティーに富んだグルメを展開するようになった」(広報担当者)という。


 2008年の大規模改修時には、それまで球場外周通路の売店と隣接するレストランのみだった飲食コンテンツを大幅に強化。シーズン途中から内野エリアに飲食スペースを、またスタンド3階、2階、1階、地下1階にそれぞれ飲食ゾーンを新設した。


 広報担当者は「『これまでの球場で食べるフードの概念を大きく覆すスタイル・テイストを提供する』目的で、カップにお好みのデリを選んでいくスタイルや、本格的なテーブルフードを召し上がれるスタイルなどをご提供しており、そのころから、“一番おいしいフードスタジアム”となることを目指しておりました」と、当時からグルメサービスの展開には相当な力を入れていたと振り返る。


 こうした施策の効果もあってか、2010年代前半にはすでにネット上の野球ファンの間では「西武ドーム(当時名称)のスタジアムグルメはおいしい」と評判を呼んでいた。


●大規模改修で多様なニーズに応える球場に


 さらに転機となったのは2017年オフ。福岡から所沢への移転40周年を迎えるのにあたり、約180億円を投じる球場施設の大規模工事が発表されたが、ここで球団が掲げたのは「野球場での楽しみ方を変えること」だった。


 「ボールパーク」の本場であるMLBの球場を視察した球団スタッフは、MLBでは「外への広がり」を重視したボールパーク作りがなされていることに着目。他のドーム球場と違い「壁がない」というベルーナドームの特殊な造りをうまく活用し、改修では外周通路に飲食店舗エリアを増床した。その他にも、1塁側新エリアにクラフトビールやこだわりのグルメが味わえる店舗や、3塁側に子ども連れ客も訪れやすい大型レストランを新設し、多様なグルメニーズに応えるスタジアムへと生まれ変わった。


 2021年には店舗の大幅入れ替えを実施。2024年も先述のメキシコ料理店「エルズメキシコ」など4店舗が新たに出店するなど、球場グルメは変化を続けている。


 重要視しているのはグルメの質だけではない。球団では年2回、球場に出店している店舗や、グッズショップ、警備員などのスタッフを対象に、接客に対する考え方などを学ぶ「ホスピタリティ研修」や、覆面調査員が店舗を調査する「ミステリーショッパー」を実施。接客のクオリティー維持に努めることで、よりよい顧客価値を提供しようと図っている。


 担当者は今後の球場でのグルメ施策について「野球観戦だけでなく『食』を通した球場での新たな体験価値や楽しみも提供していきたいと考えています。席について野球観戦をすることももちろん過ごし方のひとつですが、野球を観なくてもボールパークの雰囲気を楽しんでいただけるような、多様な楽しみ方を提案する球場として、これからもお客さまに喜んでいただけるようなグルメを展開してまいります」と語る。


 交流戦を終え、いよいよ再開するプロ野球。今夏は「食」を目当てにベルーナドームを訪れてみてはいかがだろうか。


【2024年6月20日修正】記事公開当初、2024年オープンの店舗名が誤っていたため、修正しました。おわびして訂正します。


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