新生「アッシュ・ペー・フランス」会社再編でどう変わる?復活に向けた2つの新戦略

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2024年06月20日 14:31  Fashionsnap.com

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 「アッシュ・ペー・フランス(H.P.FRANCE)」が、再び生まれ変わろうとしている。1984年に創業して以来、ファッションを中心に様々な事業を展開し、原宿カルチャーをけん引してきた同社は、業績不振を受け、苦境に立ち向かうために大手スポーツメーカーでDTC事業の統括責任者を務めていた人材を代表取締役として招聘。しかし、状況は好転せず、2023年2月には東京地裁に会社更生法の適用を申請し、保全管理命令を受けた。会社再編に際し、佐々木貞夫氏がトップに就任し新たなスタートをきったアッシュ・ペー・フランス。今後同社はどのようにして事業の立て直しを図っていくのか。

 新生 アッシュ・ペー・フランスの新戦略は大きく2つ。1つ目は、キッズ市場への進出だ。同社は、キッズセレクトの新業態「アンコー!(encore!)」をスタート。9月の本格始動に先駆けて、6月からアッシュ・ペー・フランス公式オンラインストアで一部アイテムの展開を開始しており、同社初のオリジナルブランド「アンコー!」のほか、日本初進出ブランドを含む国内外のキッズウェア、雑貨、知育玩具などを取り扱っている。ターゲットとなるメインの年齢層は0〜6歳で、Tシャツやリュックで8000円台など、キッズ用品としては価格帯は高め。今後徐々に取り扱いブランドを増やしていくという。アッシュ・ペー・フランスの広報担当者は「国内を見渡しても、高感度のキッズセレクト業態はかなり少ない。子どもにおしゃれしてほしいという親御さんの需要は感じているので、ここにビジネスチャンスがあると思う」と話す。

 2つ目は、「食」に関する事業の推進。同社は、新体制に移行してから顧客のライフスタイル全般に関わるアプローチとして、「衣・食・住」のカテゴリー提案を進めている。「衣」「住」はこれまでのビジネスでカバーできているが、「食」に関しては手をつけられていなかった。そこで、「食」に関する事業の第1弾として、アッシュ・ペー・フランスが拠点を置く南青山 小原流会館の地下一階に初のカフェ業態「CAFE CAVE」を3月にオープンした。

 「CAFE CAVE」は、エリアで高い人気を誇る中華料理屋「ふーみん」の向かいに位置。「CAVE」は英語で「洞窟」を指し、一見するとカフェとは分からないような、隠れ家的な佇まいで営業している。店内には、同社がセレクトしているフランスのジュエリーブランド「セルジュ・トラヴァル(SERGE THORAVAL)」の店舗を併設しているほか、国内外の本を取り揃えたコーナーも設置。利用者は、コーヒーを飲みながらショッピングや読書を楽しむことができる。現在はウガンダ産の豆にこだわったコーヒー(ホットとアイスの2種/ともに税込770円)のみの提供だが、今後はレモネードなどのメニューを増やしていく。

 今後は、9月以降にアッシュ・ペー・フランスの一部店舗を食を取り入れた業態にリニューアルするという。「食をエントリーとして、これまでアプローチできていなかった層にアッシュ・ペー・フランスのアイテムを知ってもらうことが、飲食事業をスタートする狙いだ」と広報担当者。
 会社再編前に45あったアッシュ・ペー・フランスの店舗数は、現在30まで数を減らしているが、不採算店舗をカットしたことで1店舗あたりの収益性は高まった。本部では、佐々木代表取締役社長が全社員と面談し、現場の声を吸い上げて事業改善に役立てているほか、これまでフロアを分けて業務にあたっていた体制を見直し、1フロアに集約することで活発な意見交換を促している。会社再編という大きな転換期を迎え、ビジネスのテコ入れに乗り出しているアッシュ・ペー・フランス。キッズや「食」にまつわる新業態は、同社の命運を左右する大きな挑戦となりそうだ。

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