ワールドカップ最終予選、相手が「すべて中東勢」の可能性も…長すぎる“移動時間対策”を考える必要が

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2024年06月20日 16:11  日刊SPA!

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6月の試合はいずれも快勝を収めた日本代表の面々
 FIFAワールドカップへの出場を目指すサッカー日本代表。3月に開催予定だった北朝鮮戦の不戦勝が決まり、アジア2次予選の突破を決めたなかで挑んだのが、ミャンマー戦とシリア戦だ。単なる消化試合になるかと思いきや、新戦術を導入した森保一監督によって大いに見どころのある試合になった。
 その新戦術とは、「最終ラインに3人を配置した3バックのシステム」だ。これまでも3バックの配置を見せたことはあったが、試合開始から導入したのは前回のワールドカップ以来。そして、これまでは守備重視の意味合いが強かった3バックだったが、今回は攻撃を重視するためであり、最終予選対策のひとつとして採用されたのだろう。

◆新戦術の導入は成功だった

 アウェイでのミャンマー戦(6月6日)も、ホームでのシリア戦(6月11日)も同じく5−0で快勝。格下の相手といっても、この結果は攻撃的な3バックがうまく機能したことを示している。

 特に、左サイドのウイングバックを務めた中村敬斗の出来は大きな収穫。負傷で不在だったエース・三笘薫の存在を忘れさせるほどの活躍ぶりを見せた。一方の右サイド、ミャンマー戦の前半は橋岡大樹と菅原由勢が後ろ寄りで中途半端なポジショニングとなってしまい効果的ではなかった。しかし、後半には修正されてからは、チャンスメークができるようになっていた。

 相馬勇紀や前田大然、堂安律も攻撃的なポジショニングができており、それぞれ得点機会を創出。細かいコンビネーションやポジションチェンジ、守備時のプレッシングやカバーリングなどチームとしての連係を高めるべきところはあるものの、森保監督がシリア戦後に語ったように「ひとつのオプション」として組み込めるものになった。

◆9月からの最終予選、相手国は6月27日に決定

 新たなオプションを手に入れた日本代表は、9月から最終予選を戦うことになる。その最終予選は、2次予選を勝ち上がった18チームが3組のグループに分配されるリーグ戦だ。そこで2位以内になれば、ワールドカップの出場権を得られる。3位、4位の場合はプレーオフに回る。

 さて、最終予選はどの国と戦うことになるのか。その抽選は今月27日に行われる。抽選方法は3カ国ずつ6つのポットに分けられるのだが、ポッド分けは今月20日に発表のFIFAランキングによって決定。更新されるFIFAランキングを加味したポット分けは以下のとおりとなる。

【ポット1】
日本、イラン、韓国
【ポット2】
オーストラリア、カタール、イラク
【ポット3】
サウジアラビア、ウズベキスタン、ヨルダン
【ポット4】
UAE、オマーン、バーレーン
【ポット5】
中国、パレスチナ、キルギス
【ポット6】
北朝鮮、インドネシア、クウェート

◆相手の5チームが「すべて中東勢」の可能性も…

 アジアカップ準々決勝で敗れたイランや、隣国の好敵手である韓国と最終予選で対戦することはなくなったが、アジアカップで負けたイラクや、強敵オーストラリアとは同組になる可能性がある。さらに、前回の最終予選で黒星を喫したサウジアラビアとオマーンは両国とも同組になる可能性もある。

 あくまで仮の話だが、イラク、サウジアラビア、オマーン、パレスチナ、クウェートと同ポッドの相手がすべて中東勢になったとしたら、さぞ戦いにくいはずだ。

 アジア予選において、日本には移動という“足かせ”が必ずついて回る。戦術以外にも移動や時差の対策も最終予選には必要となってくる。極論ではあるが、ヨーロッパで活躍する選手が多くなったことを逆手に取り、海外組は中東集合にしてしまい、日本開催のときは国内組で戦うといったような柔軟な戦い方を考えていかなければならないだろう。

 実力差を考えれば普通に突破できるだろうが、油断や驕りがあれば負けてしまう相手がそろっているのも間違いない。まずは、戦術もしかりではあるが、考え得るすべてにおいて準備を怠らないように臨んでほしい。

<TEXT/川原宏樹 撮影/松岡健三郎>

【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる

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