パチンコ経営社数はコロナ禍を経て約4割減 「新紙幣発行」「スマスロへの転換」が次の試練に

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2024年06月20日 17:51  ITmedia ビジネスオンライン

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パチンコ経営社数はコロナ禍を経て約4割減 「新紙幣発行」「スマスロへの転換」が次の試練に

 帝国データバンク(東京都新宿区)は、2018〜2023年の業績が判明している「パチンコホール経営法人」を抽出し、法人数や売上高合計、損益について調査・分析した。2023年の総売上高は11兆1525億円と、対前年比で1.9%減少したことが分かった。


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 コロナ禍の2021年は、休業要請など、通常通りの営業活動ができなかったことで対前年比23.6%の大幅減少となったが、徐々に経済活動が回復し減少幅は縮小している。


 2023年に売り上げが判明した法人数は1336社で2022年より172社(11.4%)減少、2018年の2192社から5年間で856社、約40%減少した。


 社数が大幅に減少する一方、総売上高が微減にとどまっているのは、店舗の売却・買収が進み運営法人の淘汰が進んでいること、コロナ禍の収束やスマスロ(遊技メダルを電子データ化して物理的な遊技メダルを使用せずに遊技できるパチスロ機)のヒットで売り上げを回復させている業者が一定数あることがうかがえる。


●黒字法人が半数を超えるもコロナ禍前には戻らず


 2023年の損益が判明したパチンコホール経営法人の損益状況を分析したところ、黒字企業の割合が52.5%だった。コロナ禍で業績が悪化した2021年には約6割の法人が赤字となっていたが、業績は徐々に回復し、3年ぶりに黒字法人が半数を超えた。


●2024年のパチンコホール経営業界は


 2023年は集客力の回復や事業譲渡などが進み、パチンコホールの倒産件数は24件(前年は34件)と、前年比で30%減少した。一方で、パチンコ経営大手のガイアが負債943億5500万円で倒産するという事態が発生するなど、コロナ禍で赤字に陥った上、新台入れ替えなど設備投資資金をまかなえず、廃業を決断する業者も散見された。


 2024年のパチンコホール運営業界は「廃業が増加、淘汰が進む可能性がある」と帝国データバンクは指摘する。スマスロだけでなくスマパチでも話題の台が多くリリースされ、7月には新紙幣の発行が予定されている。事業者はサンド(貸出機)識別機の交換、新しいサンドの購入を迫られて多額の設備投資が不可欠となるため、手元資金の有無が業績の明暗を分け、二極化が鮮明となる一年になると予測している。


 帝国データバンクは「長年にわたるパチンコ・パチスロ需要の減少によって資金繰りに余裕のあるホール運営法人は少なく、ガイアの民事再生を契機として金融機関の中には『パチンコホールに対する見方をさらに厳しくする』といった声もあり、新たな資金調達の可否が鍵となりそうだ」とコメントした。


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