地方への電動キックボード展開加速 Luupが新サービス CEO「営業活動はしないスタンス」

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2024年06月20日 18:41  ITmedia NEWS

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LUUP for Communityを導入するホット沖縄総合研究所の白石亮博さん(左)、Luupの岡井CEO(中央)、芳賀町の大関一雄町長(右)

 電動モビリティーのシェアリングサービスを手掛けるLuupが、地方への展開を本格化する。同社は6月20日、地方自治体・企業・団体向けの電動モビリティーシェアリング導入支援サービス「LUUP for Community」を開始。これまでは東京23区など都市圏で貸出拠点などを整備してきたが、同様の環境構築を地方向けサービスとして展開する。主に地方自治体やホテル、観光施設による導入を見込むという。


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 顧客となる自治体や企業は、電動キックボードや電動アシスト自転車、その貸出拠点となる“ポート”を月額制で導入できる。月額料金は顧客と協議の上「冬季はサービスを停止したい」などの要望に応じて柔軟に検討するという。1カ月単位での導入も可能。ユーザー向けの利用料金も調整でき、例えば地元住人や従業員には低額で、観光客には高額でモビリティーを提供することも可能という。


 エンドユーザーは、料金を除きLuupが都市圏で提供する電動モビリティーシェアリングサービス「LUUP」と同様に電動キックボードなどを利用できる。ヘルメット着用や保険加入についても同様で、事故発生時はLuupのカスタマーセンターが対応する。


 当初はLUUPと同様に電動キックボードと電動アシスト自転車を提供するが、高齢者の利用も想定し、将来的には3〜4輪のモビリティーも追加する方針。時期については「5年10年先ということはないと思うが、(具体的な)約束は難しい」(岡井大輝CEO)


 人手不足によるバス・タクシーの減少や、訪日観光客の増加によって観光地での移動手段が不足する問題を踏まえた施策。Luupは2023年7月の道路交通法改正をきっかけに地方での実証実験を進めており、一定の手応えが得られたとして、正式なサービス化に至ったという。サービス開始時点では、栃木県芳賀町や西武ホールディングスなど計13の自治体、企業、観光協会が正式導入を決めている。


 提供数や売上の目標は定めていないが「数年以内に日本全国に展開したい」と岡井CEO。ただし展開に向けて営業の強化などはせず、自治体などからの“引き合いベース”で進めていくという。


 「(LUUP for Communityは)引き合いに対して回答するための機能を作った形。営業マンを増やすと、営業組織を食わせるために1自治体当たりのコストを上げなくてはいけなくなる。コストを上げると『タクシーチケットを配ったほうが早い』といった状態になりかねない。何もしなくても月数十件の問い合わせをもらえる状況なので、コストを限りなく下げるという意味でこちらからの営業はしないスタンス」(岡井CEO)


 LUUPは、電動キックボードや電動アシスト自転車を街中にあるポートからレンタルできるサービス。手続きは専用のスマートフォンアプリで完結する。都市圏では短距離用の移動手段として浸透しつつあるが、一方で交通違反も相次いでおり、危険性を問題視する声もある。


【訂正:2024年6月20日午後6時35分】サービスを正式導入した組織の数に誤りがあったため訂正しました。


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