「私の会社の前を朝から晩までうろつく汗だくの男性。『ちょっとおかしい』と感じて...」(千葉県・60代女性)

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2024年06月21日 11:10  Jタウンネット

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「私の会社の前を朝から晩までうろつく汗だくの男性。『ちょっとおかしい』と感じて...」(千葉県・60代女性)

シリーズ読者投稿〜自慢になってすみません〜 投稿者:Tさん(千葉県・60代女性)

Tさんは10年以上前の暑い夏の日、素敵な軌跡を起こしたことがあるという。

その日の朝、彼女が会社に行くと、見慣れない男性が汗だくでウロウロしていて......。

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<Tさんの体験談>

10年以上前の夏の朝のことです。ちょうど「熱中症には気をつけましょう」という呼びかけが盛んに行われていた季節でした。

会社の鍵を開けている時に、背中いっぱいの汗をかいたグレーのシャツの見慣れない男性が、自転車を押して通り過ぎようとしているのが目に入りました。

いつまでたっても会社の前でウロウロ

こんな暑い日に、汗をかきながらもなぜ自転車にのらずに歩いているんだろう。

不思議に思って声をかけようとしたのですが、ちょうどその時に同僚が出社してきたので、そのままになってしまいました。

しかし、お昼のお弁当を買いに外に出たところ、同じ格好の同じ人が同じように自転車を押して歩いているのです。

ただ、パンクしている様子もないので少し変だとは思いながらも「偶然、またここを通っただけなのか」とその時もそのまま声もかけずにお弁当を買いに行きました。

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そして午後2時ごろ用事で外に出たところ、また同じ格好の同じ男性を見かけました。

さすがにこれはちょっとおかしいかもと思い、近くにある交番に捜索願いが出されていないか聞きに行きましたが、出されていないとのこと。

そこで朝からのいきさつを話し、近くを見回ってもらいたいとお願いしてそのまま職場に戻りました。

夜になってもまだ...

その後は仕事をしていても落ち着かず、時々外を見るようにしていました。

すると、会社の前の道路を挟んだコンクリートの塀に座っている男性を見つけたのです。

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その人のもとへ行き「大丈夫ですか?」と聞いたところ、「はい」という返事が帰ってきました。

他の人達にも何度か同じように声をかけられうんざりしているのかもとも思い、そのままそれ以上のことは聞けず、事務所に戻り仕事を続けました。

でも、やっぱり気になって会社から出たり入ったりウロウロ。同僚たちも知っていて「どうしたんだろうね」と言うだけでそれ以上のことは何もわからないままです。

その後、警察の方がきてくれたらしいのですが、「大丈夫」と言われてそのまま帰って行ったとのこと。

その内、私が退社する時間が近付いてきましたが、そのままでは帰れない気がして、勇気を振り絞り冷蔵庫にあった缶ジュースを持って外に出ました。

「いて欲しい」との願いが届いたのか、そこにその男性は座っていました。

断られるかもしれないと思いながらも「良かったらこれ飲んでください」とジュースを渡したら頭を下げて受け取ってくれました。

少しだけほっとして、その日は帰りました。

翌朝、あの男性の姿は...

翌日、もしそこに男性が同じような格好でいたら、警察に連絡しようと朝からドキドキしながら出勤。

その男性はいませんでした。

「中年の女性が訪ねてきている」と同僚から呼ばれて応接室に行ったのは、それから2か月ほどたったある日のことです。

あの時の男性のお連れ合いの方でした。

夫君はある日の午前中、近くの税務署に出かけて行ったきり、夕方になっても戻らなかったのだといいます。

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翌朝は捜索願いも出して探しても見つからずでしたが、その夜、出た時と同じ格好で戻って来て、そのまま入院したそうです。

その後、少しずつ回復し思い出しながら話したのは、「自分の家がわからなくなってしまい、ウロウロ探し回っていた記憶と、缶ジュースを飲んで我にかえった」ということ。

入院中も「缶ジュースを渡してくれた人にお礼を言いたい」と言って気にしていたこと。

その気持ちを思いやり息子さんが電話帳を調べてやっとここにたどりつけたこと。

彼女はそんないきさつを話し、手土産の和菓子を差し出しながら何度も何度もお礼を言ってくれました。

Tさんの会社の前に居た理由

私の会社を探し当てられたのは、息子さんの名前に入っている漢字2文字が私の会社名にも入っていたことが理由でした。

何も思い出せない中でも、無意識に息子さんの名前が入った会社の名前が気になって離れられず、私の会社の前を行ったり来たりしていたそうです。

私はそれを聞いて鳥肌が立ちました。

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あれからどうなったのか気がかりだった男性が無事に家に帰ることができていたこと。

ご家族に会えて、入院して治療が受けられていること。

それが分かって、素敵な奇跡を私が起こすことができたんだ、ととても嬉しく思いました。

そして、どちらかと言うと人見知りな私が、欲しがっているかどうかもわからないのに、「良かったら」と缶ジュースを手渡せた勇気。

自分自身を表彰したい気持ちでいっぱいになった出来事でした。


誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!

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(※本コラムでは、読者の皆さんに投稿していただいた体験談を、プライバシー配慮などのために編集している場合があります。あらかじめご了承ください)

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  • >警察の方がきてくれたらしいのですが、「大丈夫」と言われてそのまま帰って行った 警察が仕事してないだけでしょ。この段階で保護出来た案件。
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