アートに出会い、新しい自分に出会う。大阪で開催中のへラルボニーによる展示をレポ

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2024年06月21日 20:10  CINRA.NET

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Text by 廣田一馬

展覧会『HERALBONY ART COLLECTION』が6月24日まで阪急うめだ本店9階 祝祭広場で開催されている。

主に知的障害のある作家とアートライセンス契約を結び作品をプロダクト化するブランド「HERALBONY」を展開する株式会社ヘラルボニーによる同展は、大阪エリアで開催中の周遊型イベント『Osaka Art & Design 2024』のコンテンツの一つとして開催。「そのアートは、あなたを表現者にする」をコンセプトに、原画約120点の展示販売や、新アイテムを含む約120種の商品販売、ライブペイント、トークショーなどを行なう。

今回の記事では、展示やライブペイントの様子をレポートする。

大阪で開催される同展では、関西在住の作家を中心に総勢25作家の作品120点が展示販売されている。

柳生千裕『2度寝するカピバラ』(上)と柳生千裕『密林ノ猛虎』(下)

神戸在住で今年高校に入学した若手作家の柳生千裕は、定規などを使用し緻密な幾何学模様を描くルーラーアートの作品を展示。はじめに動物の絵柄を描き、中を幾何学模様で埋めたあとに細い水性ペンで色を塗る工程でつくられた作品は、ステンドガラスのような美しさだ。

この日の会場では、京都在住の作家である衣笠泰介のライブペイントも開催。

写真や書籍などで見た情報を独自に解釈しキャンバスに描く衣笠。大量の絵の具のなかから使いたい色を瞬時に選び、母の珠美さんの息のあったサポートを受けながら制作していく様子を、多くのギャラリーが見つめていた。

会場では作品を使用したアイテムも販売。「責任あるものづくり」をテーマに掲げ、縫製工場の労働環境や素材のトレーサビリティ(原料の調達から製造、流通、販売までの各工程を記録し、追跡可能にすること)などにも配慮しているという。

アートが美しく映えるよう、アイテムによって生地の素材感を変えているのもこだわりだ。

新作のブラウスなどにはプラスチックが含まれない「糸ボタン」を使用。布地もオーガニックコットン100%でできており、日常に長く寄り添える商品を提供する。

アパレル以外のアイテムとして、新たにクレヨンが登場。全社員の70パーセントを知的障害のある社員が占める日本理化学工業の「キットパス」とコラボした商品だ。

巻き紙には、クレヨンの色にあわせたアートを使用。米ぬかからつくられる成分が主となっており、ガラス面にも描くことが可能だという。

今回の展示テーマである「そのアートは、あなたを表現者にする。」には、「アートと出会い、アートを身につけることで自分の知らない自分の異彩に気がつける、より自分を解放できる」というメッセージが込められているという。

アパレルの新シリーズ「HERALBONY ISAI」は、シャツに付けられた窓にシルク織りの「アートピース」を埋め込むことで、アートをコレクションし、キュレーションする感覚で着ることができるという。

会期は6月24日まで。ライブペイントに加えて、堀井美香らが出演するトークイベントやアートクルーズ、創作ワークショップなど、アートに出会うきっかけとなるイベントを開催予定だ。

大阪の地でアートに触れ、新しい自分に出会ってみてはいかがだろうか?

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