中学部活動の「ヒップホップ禁止令」SNS上で議論に…「理由が納得できない」「説明が不十分」の声も

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2024年06月21日 20:20  TOKYO FM +

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中学部活動の「ヒップホップ禁止令」SNS上で議論に…「理由が納得できない」「説明が不十分」の声も
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。6月19日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「中学校の部活動で『ヒップホップ禁止令』SNS上で議論に」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆SNSで話題になった中学校の「ヒップホップ禁止」

東京都千代田区立・麹町中学校が、ダンス部に対して出した「ヒップホップ禁止令」が物議を醸しています。朝日新聞デジタルによりますと、同中学校のダンス部の部活動をめぐって、学校側による事実上の「ヒップホップ禁止令」に生徒や保護者らが反発しているということです。

ユージ:塚越さん、まずはこの問題の経緯を教えてください。

塚越:朝日新聞が保護者らに取材した記事によりますと、まず麹町中のダンス部ではここ数年、5月の体育祭と10月の文化祭でヒップホップダンスを披露していました。部員は週に2回、ヒップホップ専門のコーチから指導を受けていたということです。

それが去年になって学校側が「今年から体育祭でダンス部のヒップホップ発表の場は設けない」と決定。さらに今年3月には、秋の文化祭でもダンス部の発表はしないと決定しました。4月からは活動内容を「創作ダンス」に変更すると学校が決定したということです。

これにショックを受けた部員数十名が「ヒップホップを踊りたい」と訴えたが決定は変わらず、保護者たちが学校に抗議するということになりました。その結果、3年生が引退する一学期末の7月までは、ヒップホップの自主練習を週1回だけ認めましたが、その後は自主練習も不可となり、退部する生徒もいるということです。

朝日新聞によれば、麹町中学校の校長は取材に対して、「体育祭や文化祭でダンス部がヒップホップを踊ることに対し、さまざまな意見があった」。そして「ダンス部は運動部なので公式の大会を目指すべきだと思い、創作ダンスに変更した。ヒップホップは部活でなくてもいいと思う。方針を変更するつもりはない」などと答えたとのことです。

これに対して保護者の方々は、部活動は生徒の自主的な活動とする千代田区の「運動部活動ガイドライン」があり、学校の対応はこれに反するとして、千代田区の教育委員会に対して、7月12日までの回答を求めているとのことです。

ちなみに、ダンスが中学校の保健体育で必修になったのは2012年です。ヒップホップは創作ダンス、フォークダンスとともに「現代的なリズム表現のダンス」として新学習指導要領の「中学保健体育科」の資料にも掲載されています。

◆中学校は報道を否定、一方「実態と違う」という生徒からの反論も

吉田:この中学校は、一部、報道内容を否定していますよね?

塚越:そうですね、麹町中学校は6月13日(木)に学校のWebサイトで「本校ダンス部に関する報道について」という文章を公表し、学校の考えや活動実績と報道内容を異なると述べています。

保護者向けに経緯などが書かれていますが、簡単に言えばコロナ禍で活動が縮小したのですが、ダンスは運動部に位置づけられているので、今年度からは少人数ではなく団体活動、団体演技への挑戦を目指す方針になったとのことです。

自由演技は生徒と相談しながらおこなえるとのこと。また指導者は公式大会の指導経験があり、さらにヒップホップダンスの指導経験がある専門性の高いコーチが指導しているとのことです。

そして「5月より専門性の高いコーチが着任し、週2日の活動が始まっています。ヒップホップダンスに特化した練習および多様なダンスに対応できる基礎基本の練習を実施しております」とWebサイトに書かれています。

これを読むと週2日練習をしている点などで、朝日新聞の報道は間違っていると思うかもしれませんが、朝日新聞はこの文章の発表を受けて、さらに保護者に取材をした記事を書いています。

それによると、部員たちは実態と全然違うと言っており、保護者によれば毎週火曜と金曜のダンス部の練習日のうち、ヒップホップの自主練習が許されているのは火曜のみで、「部活が終わる前に自主練習の成果をコーチに見せ、アドバイスを少しもらう程度」とのことです。

ユージ:あくまで自主練習の結果なんですね。

塚越:2日間のうち1回、しかも自主練習です。金曜は創作ダンスの練習のみで、3年生の参加は認められていないということです。「ヒップホップを指導している」という文章と異なる気がしますので、保護者や何より生徒の人は、発表された文章を見てどう思うのか? と思います。学校のサイトには、今回の件について取材は一切受け付けないと書かれているのですが、私は取材を受けて、もっと丁寧に学校が説明してもいいと思いました。

◆ヒップホップ文化の精神

ユージ:この「ヒップホップ禁止令」はかなり話題になっています。SNS上ではどんな意見が出ていますか?

塚越:やはりSNSでは大きく議論になっています。私が気になったのは、朝日新聞の「コメントプラス」という識者が記事にコメントする機能で、友人でもあるラッパーのダースレイダーさんがコメントを書き込んでいました。

ダースレイダーさんの発言を簡単に言うと、まずヒップホップは世界中のヒットチャートの大部分を占めているということ。これを否定するように見える今回の件は、どういうことかを考える必要がありますよね、ということを話しています。

また、ヒップホップ・カルチャーにとって大事な言葉は「抵抗」。権力や圧力に対する抵抗の言葉が重視されているとも述べています。ヒップホップの歌詞が一人称なのも、「自分は戦う」ということを明示しているわけです。

こう考えれば、まさに生徒のみなさんが、ヒップホップの精神、主体性をもって抗議の声をあげて行動していると思います。僕は、生徒のみなさんが自主的にいろいろと考えて行動して、保護者もそれに乗っているのかなと思います。もし、この解釈がおかしいのであれば、学校側はやはり説明することも大切なのかなと思います。

ユージ:理由がいまいち納得できないというか説明が不十分かなと思います。

塚越:外からいろいろ言われていると思うかもしれませんが、それはこれだけ反対の意見があるということなので、ちょっと考えていただけたらと思います。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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6月19日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年6月27日(木) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/


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