「株主はドコモの月額料金を半額にしてほしい」「NTTの社名変更は?」 NTT株主総会の質疑応答まとめ

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2024年06月21日 22:21  ITmedia Mobile

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6月20日に開催されたNTTの株主総会(写真提供:NTT)

 NTTが6月20日、第39回定時株主総会を開催した。1277人の株主が来場し、オンライン視聴数は9246件だった。総会では、余剰金の配当や取締役10人の選任について可決された。この記事では、株主との質疑応答について、一部を紹介する。


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●IOWNを世界標準にするための働きかけは行っていくのか


―― NTTはIOWNや6Gなど、次世代技術について研究を進めている。これらの技術はまだ、ITU(国際電気通信連合)での規格が決まったものではなく、各国で開発中だと思われる。NTTも6GやIOWNなどの技術を開発しているが、その技術を他の国に広め、世界標準にするための働きかけの戦略の準備はできているのか。


NTT 川添雄彦副社長 NTTグループの本業は通信事業。いかにして通信事業を発展させていくかは重要なテーマだと考えている。2019年5月にIOWN構想を発表した。今のネットワークはベストエフォート型のインターネットで、いかに品質を保つかが大きな課題。われわれは未来に向かって新しい価値を創造して、これを担う存在になりたい。そのためにIOWN構想を発表した。ただ、このIOWN構想はあまりにも大きく、NTTグループだけではできないので、世界中の方々と連携しないといけない。


 そこで2020年1月にIOWNグローバルフォーラムを立ち上げた。140社以上の方々と一緒に連携して進めているが、これだけでは足りない。この団体には、限られた方々しか入れないためだ。IOWN構想を広めていくにあたり、ITUの局長に日本として初めてに(NTTの)尾上(誠蔵)が就任した。世界にIOWN、新しいインフラを広げていきたい。


―― 外部から見たNTT最大の課題は?


NTT 廣井孝史副社長 取締役会で議論を活発にしているが、議論の中心は中期経営戦略の実践。データドリブンの社会を実現する、スマートライフ事業の拡大、データセンター事業の拡大、循環型社会への貢献など、さまざまな分野での事業拡大を議論している。こういった分野で、社外取締役の方々もさまざまな意見をいただいている。個別の課題については申し上げないが、いろいろな形で社外取締役から貢献をいただいている。


NTT 渡邉光一郎社外取締役 外から見る立場になったときに一番思ったのが、思った以上に大きな会社であるし、ポテンシャルがあること。中期経営戦略にあるような、新たな価値創造に向かって、国内だけでなくグローバルにも成長できるかどうかが課題だと思う。ただ、今までの議論を踏まえると、そういった方向に進んでいると確信している。将来、非常に期待できる会社になりつつあると感じる。


●株主のドコモ基本料金を半額にすれば株価の下落を抑えられる?


―― 使っていない回線が3本あることが分かった。全国ではそういう人がいらっしゃるので、そういうものを洗い出し、無駄な部分をなくそうという運動をやっていただきたい。全国だと結構な金額になるので、ローラー作戦をお願いしたい。ただ、支店がなく相談できない。電話も通じないので改善をお願いしたい。


NTT東日本 星野理彰副社長 多くの人がそういう状況にあるというご指摘をいただいた。長らく使っている電話やインターネットの回線を、引き続きお使いいただけるようしっかりやっていきたい。使っているか分からないという人がいらっしゃったら、問い合わせを受けてしっかり対応していきたい。電話で受けることもあり、昨今はWebを利用した問い合わせを24時間受けられるようにしている。ご指摘いただいたところもしっかりお返ししていきたい。


―― NTTの株価が下落して困っている人も多い。株価が下がらないように、株を売らないようにするために(提案をしたい)。ドコモショップで、株主の携帯電話を買い換える際に手数料を無料にする、ドコモ光を株主は50%割引する、ドコモの基本料金を株主は50%にするとか。ドコモショップで、うちの株主になればこういう魅力がありますよと勧めていけば、株主が増えると思う。


NTT 廣井孝史副社長 現在の株価水準について、皆さまの期待に応えられていない点は厳粛に受け止めている。今回の決算発表をして、来期の業績予想を発表して、さまざまな株主様からのご意見を頂戴している。何と言っても、株価に大きく影響しているのは業績の見通しが弱いところだと思う。


 実態を見ると、私どもの一時的な資産売却を除いた業績は、比較的堅調に推移している。ここをさらに向上させ、既存の事業分野で効率化を推進していくことにより、業績を回復して、株価上昇につなげていくことが、株主様の期待に応えていく最大の答えになるだろうと考えてる。


●NTT株が売却される? 社名変更の可能性は?


―― NTTの株が来年、30%売られるという話を聞いた。恐らく外資でしょうと。まさかと思ったが、有事の際に何かあったときに電話が止められたらどうなるのか。


NTT 廣井孝史副社長 NTT法の改正については、さまざまな論点について議論されている。国の安全保障という観点では、NTT株の政府保有の義務の見直しについても議論されている。本件については、政府が国益という観点から検討いただく課題で認識している。われわれとしても、国のインフラがきちんと守られる形で対策してほしいという考えは述べている。私どもの株価に影響がないよう配慮してほしいことも述べている。


―― 電電公社から民営化されてNTTという社名になった。グローバルに展開するということであれば、NTTという社名を広く使った方がいいと思う。NTT法が改正され、社名変更に関して検討されているのかをお聞きしたい。


NTT 関根万紀子執行役員 NTT法の改正で社名変更も可能になっている。社名の扱いの具体的な検討については未定だが、当社の取り組むべき事業の方向性も踏まえ、当社のブランドに寄与するものを検討して進めていきたい。


●電話加入権の考え方は? 「みえる電話」なぜ終了?


―― 29年前に電話加入権の業者にお金を払って電話回線を引いた。固定電話の電話加入権は昔は7万数千円だったが、税務上はまだ生きている状態であり、法的な位置付けが不明確。当時払った電話加入権の代金はどうなったんだろうという思いもないわけではない。電話加入権に対する現在のNTTの考えについて聞かせてほしい。


NTT東日本 星野理彰副社長 電話加入権については、電話加入の契約に伴い発生する権利として設定した。電話加入権は譲渡が可能なので、広く取引市場で売買されてきたが、NTTはこの取引市場に全く関与しておらず、価値を保証するものではない。この設置負担金は、お客さまに建設費用の一部を、いわば工事費としてご負担いただいてきたもの。電話加入権の財産価値をわれわれが保証するものではなく、他の工事費と同様に、われわれから返還する扱いにはなっていない。


 お客さまのようなご指摘を受けているたびこのようなご説明をしているが、なかなかしっかりお伝えし切れていない。もっとしっかりお伝えしていかないといけないと思っている。


―― ドコモが聴覚障害者を支援する「みえる電話」のサービスを提供していたが、3月29日に打ち切った。今後は、民間企業が提供するサービスを契約して、他のスマホに変更する必要があるが、その費用は7万円〜15万円といわれている。利用者に寄り添った企業になってほしい。


NTTドコモ 小林啓太副社長 忸怩(じくじ)たる思いで決定している。サービス終了の経緯は、決して効率が悪いからというわけではない。スマートフォン上で文字起こしサービスが普及している。そういった中で(みえる電話を)継続することが、設備が老朽化した中でつらい決断だった。お客さまに寄り添って、スマートフォンの使い方、安い料金プランや使いやすい端末を用意するなど、しっかり取り組んでいきたい。


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