なぜワークマンは「ランドセル」市場に参入したのか こだわりは「8800円」と「防弾チョッキ」

2

2024年06月22日 08:51  ITmedia ビジネスオンライン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia ビジネスオンライン

ワークマンのランドセルが話題に!

 ワークマンのランドセルが話題になっている。同社は6月5日、ブランド初となるランドセル「ESスチューデントデイパック」(8800円)を発売した。初回限定生産で店頭販売は一部店舗のみ。ほとんどはECサイト経由の購入となるが、既に想定を超えた反響があるという。


【その他の画像】


 長年ワークウエアを中心に手掛けてきた同社が、なぜこのタイミングでランドセル市場に参入したのか。狙いや今後の展開を広報部の伊藤磨耶氏に聞いた。


●ワークマンが「ランドセル」を販売するワケ


 同社はここ数年、レディース商品を扱う「#ワークマン女子」や同店と併設する子ども服の「Workman Kids(ワークマンキッズ)」、ファッション性を重視した「Workman Colors(ワークマンカラーズ)」、靴専門の「ワークマンシューズ(WORKMAN Shoes)」など、次々と新業態を立ち上げている。


 ランドセルについては、#ワークマン女子やワークマンキッズを訪れる子育て世代の女性をターゲットにした商品だ。矢野経済研究所の調査によると、ベビー・子ども服の市場規模(2022年時点)は約8200億円。同社はランドセルを含むキッズ商品で、最終的に売上高200億円を目標に掲げている。


 「子ども服は買い替えが頻繁に起こるため、家計負担が大きい。大人向けの商品をリサイズすることで、高機能かつ低価格の商品を展開したいと考えた」


 ランドセルは本革素材を使ったものだと5万円を超える商品もある。そんな中、ナイロン素材で機能性に優れているにもかかわらず、1万円を切る低価格ランドセルで他社との差別化を図る。


 加えて、中高生向けに開発した「フォーミュラスクエアバッグ」(7800円)がヒットしたことも背景にある。近年は「ラン活」といわれるほど、小学校入学を控えた子どもや保護者にとってランドセルの購入は一大イベントになっている。


 フォーミュラスクエアバッグのターゲットよりもさらに若いキッズ世代が使うランドセル市場に参入することで、新規購入だけでなく買い替えを検討する人など、多様なニーズに応えていく。


●こだわりポイント


 ランドセル市場へ参入するに当たり、最もこだわったのは「価格帯」だ。近年はニトリなども低価格のランドセルを手掛けているが、機能性と価格のバランスには特に自信があるという。


 素材には、防弾チョッキにも使用される高い強度と耐摩耗性を誇るコーデュラ製の「バリスティックナイロン」を採用。ビジネスバッグや工具袋などの素材として使用しているもので、「気兼ねなく毎日使える」としている。


 背面部分内部には同社の登山用リュックでも使用しているアルミ製の細いプレートを入れることで、重い荷物を入れても背中に負荷がかかりにくく、疲れにくい構造とした。


 他のランドセルにはない機能として、防水カバーが付属する。雨の日でも安心して利用でき、長期的に使えるように配慮しているという。


 そのほか作業服でも採用している反射材や、タブレットも持ち運べる収納ポケット、体の成長に合わせて長さを調整できるショルダーストラップ、耐久性に優れたYKK製ファスナーなど、同社の強みを生かした機能を多数搭載している。


●新色も検討


 店頭やECサイトに商品が並んでから数日が経過しているが、発売前から予想を超える反響があった。「『いつから買えるのか』など、多くの問い合わせがあった。ワークマンがランドセルを手掛けたという意外性や、他社ではあまり見かけないタイプのランドセルであることや、低価格・機能性が評価されているのでは」と分析している。


 今後もECサイトを中心に展開していくが、実際に手に取りたい顧客に向けて販売店の拡大も検討しているという。「販売状況を見ながらカラー展開については2〜3色増やしていきたい」


(熊谷ショウコ)


このニュースに関するつぶやき

  • 防弾チョッキ素材使ってるならアメリカでも売ればいいんじゃね?
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ニュース設定