地方移住で「年収100万の豊かな生活」を手に入れたのに…30代女性が地方暮らしをやめた“残念すぎる事情”は

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2024年06月22日 16:00  女子SPA!

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由美さん(写真は本人提供)
こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。

今回は、かつての相談者でもある年収100万円だった女性に取材。なぜ彼女は年収100万円になったのか? どんな生活だったのか? 話を聞きました。

◆東日本大震災を経て、お金やステータスへの執着をはかなく感じた

取材に応じてくれた由美さん(仮名・39歳/福祉)は現在妊娠中。今年同い年の男性と出会って結婚相談所を成婚退会し、同棲してすぐに妊娠が判明しました。

今は幸せな新婚さんに見えますが、ここまでの道のりは決して、楽でも順調でもありませんでした。

ご自身で「ふらふらしてきた」と言うほど、由美さんの職歴は様々です。福祉施設、地方移住、リゾートバイト、事務職など様々な仕事をやってきました。社会人3年目に東日本大震災を経験し、お金や物にこだわる価値観をもろくはかないものに感じたそうです。しっかり働きコツコツ貯金するタイプだったのが一転し、資格取得やお菓子作り教室などの体験にお金をかけるように。20代の頃、結婚は特にしたくなかったといいます。

◆必要とされる仕事なのに「都内でも年収300万円前後がザラ」

数年後にミニマリストのブームがきて、さらに物やステータスへの執着を手放す生き方に影響を受けた由美さん。

そんな彼女も20代後半に友人が結婚して、焦りを感じます。30歳になった時に、広告につられて結婚相談所に入会してしまったことがあったそうです。

そこで1人だけ、IT企業勤務の36歳年収600万円男性とお見合いをしました。担当者からは「公務員が多いしっかりした家柄の男性で、ホワイト企業にお勤めよ」とおすすめがありました。

ですが会った時に、由美さんを置いてスタスタ歩いて行ってしまうことが失礼だと感じて断り、そのまま結婚相談所も退会しました。「こんな奴がお金を稼いで、立派な人ってちやほやされるのがおかしい」とも感じた由美さん。

当時彼女が働いていた福祉業界は、必要とされる仕事なのにも関わらず、東京でも年収300万円前後がザラなのだそうです。

◆新規事業のため無給で働き、1年ほどで辞めた

31歳の頃、以前から興味があった地方移住を叶えるため、観光地のホテルでリゾートバイトを始めます。バイト仲間は幅広い年代の人たちがいました。そこで気になる人ができたこともあったけれど、数カ月滞在して他に移るという生活の中で、付き合うという選択は考えられませんでした。

しばらくして、東京の知人からある介護施設の新規事業立ち上げで人手を探しているから働かないかと声を掛けられました。そこを手伝うことにしたのですが、参加して初めて、現場経験の乏しい人物が代表で、行政の認可取得に難航していた事を知ります。

人がどんどん辞め、由美さんはコールセンターのバイトなどを掛け持ちしながら無給で働きましたが1年ほどで辞めました。結局、その事業は立ち上がらなかったとか。

◆地方移住して手にした「年収100万円の豊かな生活」

東京にいると選択肢が多く、消耗した由美さんは、また地方の観光地のホテルで働き始めました。移住給付金で家賃補助制度があり、新築アパートに自己負担月1万円程度で暮らしていたそうです。

まもなくホテルを退職し、その地域の福祉施設で週3のパートで働き始めました。

「東京と違って着飾る必要もなく楽でした。同僚からピクニックに誘われて出かけたり、私が料理教室を開催したこともありました。繋がりが強い環境が居心地よかった」

当時の年収は100万円前後なのに、とても満ち足りた生活だったと語る由美さん。

ところが、その“繋がりが強い社会”の「裏」を知ってしまうことになります。

◆地方で暮らすのを断念した「事情」

のんびりした理想の暮らしを満喫したので、そろそろちゃんとしようと思って勤務先で正社員に昇格。年収は216万円で、移住給付金の受給期間も過ぎました。手取りは20万円未満なのに残業している人は多く、年間休日も少なくて、割に合わないと感じた由美さんは東京に戻り福祉施設に就職します。彼女のいた“繋がりが強い環境”では、仲の良さに甘えた無償の残業=タダ働きが横行していたのです。

由美さんのいろんな選択肢の中で、地方でずっと暮らすという未来が消えました。かといって東京は人との繋がりが乏しい。東京で福祉業界で働きながら生きていくのならば、「家族」という居場所が欲しいと感じるようになっていきます。

そして36歳の頃、マッチングアプリに登録しました。知らない男性から「いいね」が殺到しましたが、何の決め手もない中から選ぶのは無理だと感じてすぐに退会します。

婚活についても調べ、事前にメッセージのやり取りがなく会える結婚相談所の方が向いていると感じました。その中で、リーズナブルな「エン婚活エージェント」を選びます。婚活では外見が重要ということも知りメイクレッスンを受け、服はエアークローゼット(プロが選んでくれるファッションレンタルのサブスク)に登録して婚活服を借りることにしました。同僚にも婚活中であることをオープンにしていたそうです。

◆子どもを産める自信がなく、自己評価が低いまま婚活を始めたら

無事登録して、申し込み(結婚相談所における、会ってみたいという意思表示のこと)が来たのですが、ほとんどが40歳以上の年上男性でした。

あるとき「婚活する男性は子どもを希望する人が多い」という情報を目にした由美さんは、当時すでに30代後半。子どもを産める自信がない自分が同年代男性と会うのは難しそうだと感じて、申し込みがあった中から40代男性を選び、3人の男性とお見合いします。

1人目はゲーム会社勤務の男性。会話は積極的でしたが、歯が黄色くて汚く、清潔感もなかったそうです。2人目は初めて会った日に障害年金についての議論を始める変わった男性でした。3人目は同じ福祉業界の男性でしたが、視線が合わずこちらの質問に「はい」「いいえ」で答えるだけ。髪の毛がボサボサで服もしわしわ、隣にいるのが恥ずかしいほどだったと話します。

これを繰り返しても結婚できるイメージが思い描けないと、婚活コンサルの私のところへ相談にやってきました。

◆徹底して練り直した「会ったら楽しそうな自己紹介文」

由美さんには写真の撮り直しとプロフィール変更を勧め、自分の立ち位置と、婚活市場でどんな男性が人気かを理解すべきという点をお伝えしました。

彼女は「30代後半、都内在住で年収300万円未満」というところだけ切り取ったら、年収が低く自立していなさそうなイメージを持たれるのです。

そこで自己紹介文に以下のエピソードを足すことに。

・一人暮らし
・新規事業立ち上げに携わった経験
・地方移住経験
・ゲームが好き

会ったら楽しそうで、なおかつ中身がある女性に見えそうな要素を盛り込み、新しいプロフィールを作成しました。

◆30代・大卒・年収500万の男性は「普通」じゃない

結婚相談所の中で人気があるの男性というのは、30代・大卒・初婚・身長170cm以上・年収500万円以上の「NG要素がない男性」です。しかし、人気があるからといって自分に合う相手とは限りませんし、人気要素に人柄は含まれません。条件検索の出会い方では、年収とコミュ力が高くても、身長が160cmというだけで苦戦する男性もいるのです。

婚活では市場原理が働くため、自分が会える男性の魅力の総合点は、自分と同じぐらいです。自分が魅力的に見えるようにすることはもちろんですが、コミュ力と清潔感を優先する場合、他の条件をゆるめることを由美さんに伝えました。

幸い由美さんは相手に対して、身長にも学歴にもこだわりがありませんでした。こうして由美さんは婚活を再スタート。やがて、冒頭で登場した未来の結婚相手に出会うのでした。

男女ともに、婚活で相手の年収を気にするのは当たり前と思っている方も多いかもしれません。ですがその条件が、理想の相手との出会いを遠ざけている可能性もあるのです。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt

このニュースに関するつぶやき

  • そもそも年収100万の人が、同年代の年収600万の人に大事にされるわけないと思うのだが。住む世界、見る世界が違うんだよ。貧乏人同士でくっついておくのが気は楽と思うよ
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