「戦争とは何か」伝え続け30年=基地の目前に立つ佐喜真美術館―沖縄慰霊の日

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2024年06月22日 21:01  時事通信社

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時事通信社

普天間飛行場のすぐそばにある佐喜真美術館=21日、沖縄県宜野湾市
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の目の前にある佐喜真美術館が、戦後79年となる今年、開館から30年を迎える。戦争をテーマにした絵画や版画を中心に展示し、「戦争とは何か」を伝え続けてきた佐喜真道夫館長(78)は23日の沖縄慰霊の日を前に、「戦争と人間を深く感じ取り考える場として、地上戦の記憶を伝え続けたい」と語る。

 戦後、家族が沖縄から疎開していた熊本県で生まれ育ち、進学で上京した佐喜真さん。沖縄戦について友人らと話す機会があったが、壮絶な地上戦をうまく伝えることができず、もどかしい思いをした。「沖縄の地上戦の悲惨さは頭の中でははっきり分かっていた。でも、当時はどう説明すればいいか知識がなく、悔しさが募った」と振り返る。

 その後、ヒロシマの惨状を連作で描いた「原爆の図」の画家、丸木位里、俊夫妻作の「沖縄戦の図」に出合った。「俺の言いたいことが全部描いてある」と衝撃を受けたという。

 鍼灸(しんきゅう)師だった佐喜真さんは治療を通じ、夫妻と懇意に。米軍にも働き掛け、祖母から受け継いだ普天間飛行場内の土地を返還させ、跡地に夫妻の絵を展示する美術館を建設した。

 地上戦の惨劇を描いた「沖縄戦の図」は全14部の連作。妹の首に刃物を突き付ける少年、今にも息絶えそうな青白い顔をした少女、投降を試み日本兵に殺される住民―。戦争体験者から証言を直接聞き、モデルにもなってもらって描かれた絵は、戦争体験者が「全くこのままだった」「思わず兄を絵の中に探した」と口にするほどの力がある。

 終戦から年月がたち、直接の戦争体験者が減ってゆく中、佐喜真館長は、戦闘が続くパレスチナ自治区ガザに触れ、「報道で見る様子と沖縄戦が重なる」と話す。

 丸木位里氏が生前に語ったという「地上戦を知らない日本人は危ない。戦争の本質を取り逃がしてしまった」との言葉を紹介し、「世界中が戦争をしている今、この美術館の訴えるものの重要性は増している」と力を込めた佐喜真館長。「丸木さんの思いを伝える。それは、この美術館の祈りに近い」。鎮魂の日も、来場者を迎える。 

佐喜真美術館の佐喜真道夫館長=5月24日、沖縄県宜野湾市
佐喜真美術館の佐喜真道夫館長=5月24日、沖縄県宜野湾市


丸木位里・丸木俊《沖縄戦の図》1984年(佐喜真美術館提供)
丸木位里・丸木俊《沖縄戦の図》1984年(佐喜真美術館提供)

このニュースに関するつぶやき

  • 戦争とは何か?お前が殺さないと相手に殺されるっていう状況を「作る」ことだよ。エンジンかけっぱのクルマを鍵も掛けずコンビニの駐車場に置いたまま買い物することだよ。(笑)
    • イイネ!11
    • コメント 2件

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