「ラーメン8万杯売らないと資金回収できない…」券売機新調、値上げ、個人店に重くのしかかる負担…新紙幣対応は各業界でどれくらい進んでいる? 専門家が解説

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2024年06月23日 06:10  TOKYO FM +

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「ラーメン8万杯売らないと資金回収できない…」券売機新調、値上げ、個人店に重くのしかかる負担…新紙幣対応は各業界でどれくらい進んでいる? 専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。6月12日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「新紙幣7月3日(水)に発行 企業の対応は進んでいるのか?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆来月に20年ぶりの新紙幣発行

およそ20年ぶりの新紙幣の発行が始まる7月3日(水)まで、1ヵ月を切りました。企業は自動販売機や券売機などの機器の改修を急いでいます。

吉田:塚越さん、まずはこの新紙幣について改めて教えてください。

塚越:7月3日(水)から新紙幣が発行されます。紙幣にはそれぞれ3人の肖像がデザインされています。

10,000円札は「渋沢栄一」。近代日本経済の父と呼ばれ、日本初の銀行の設立に関わったことなどで有名です。

5,000円札は、日本で最初の女子留学生の1人としてアメリカで学び、津田塾大学の創始者で有名な「津田梅子」。

1,000円札は破傷風の治療法を開発したことなどで知られる、細菌学者の北里柴三郎の肖像が描かれています。

紙幣のデザイン変更は2004年以来20年ぶりです。変更の目的は偽造防止の強化と、誰でも利用しやすい「ユニバーサルデザイン」の導入となっています。キャッシュレスも普及しつつありますが、やはり偽造の技術も進んでいくので、偽造防止のためにこれまでも概ね20年ごとに紙幣は変更されてきました。

◆ATMの対応は9割完了、一方で対応が進んでいないところも…

吉田:新紙幣に対する企業の対応は、どのぐらい進んでいるのでしょうか?

塚越:財務省が各業界を対象として今年の5月に実施した調査によれば、発行開始までに新紙幣が使えるようになる機械の割合は、金融機関の「ATM」では9割以上でした。また、小売店のレジや交通機関の切符の発券機も8〜9割ほど準備が進んでいます。お客さんが機械に紙幣を入れるコンビニの「セルフレジ」も、対応はほぼ間に合いそうです

一方、対応が遅れているものとしては「飲み物」の自販機。現状の対応済み機械の割合は2〜3割程度です。業界団体の「日本自動販売システム機械工業会」によれば、自販機は全国でおよそ220万台あります。

大手飲料メーカーの担当者によれば、新紙幣に対応させるには1台あたり数万円かかるということで、使用頻度の高いところから手をつけているものの、このメーカーでは2025年度末になっても対応できるのは8割程度とのことです。お金も時間もかかるということですね。

吉田:自動販売機には、新500円玉がまだ使えないものがありますよね。

塚越:飲食店の発券機や駐車場の精算機も、今のところ対応できているのは5割程度。とりわけ個人店や小規模チェーンの飲食店は厳しい状況です。そもそも人手不足等への対応で食券を導入している店舗が多いのですが、昨今の食材高騰など、どんどんコストが上がっているなかで、新紙幣に対応する余裕はなく優先順位も低いということです。

◆個人店に重くのしかかる負担

ユージ:発券機を新紙幣に対応するものに替えるとしたら新たな出費になるので、特に個人経営のお店は影響を受けそうですね?

塚越:そうですね。共同通信が取材した都内のラーメン店の経営者は、およそ800万円かけて経営する店舗全店(4店舗)の券売機を新調したといいます。国の補助金を考慮しても半分の400万円は持ち出しで、ラーメンを一杯50円値上げしたのですが、ラーメン8万杯売らないとその資金は回収できないということです。人手不足の影響もあり、発券機は店にとって必需品ですが、値上げによる客離れと板挟みの状態にあるということです。

同じく共同通信が伝えているバス業界も、人手不足や燃料費の高騰で大変な状況にあります。日本バス協会の担当者によれば、バスの運賃箱は1台100万〜200万で、新紙幣対応は、事業者によっては億単位のお金がかかる可能性があるといいます。

お金がかかるので無理という場合は、運転手が手作業で新札を旧札に交換しなければならないので、こうなると時間的なロスを含めて労働コストがかさみます。

◆「新紙幣対応の券売機」導入より、費用が安いキャッシュレス対応を進めるところも

ユージ:新紙幣の発行によって、キャッシュレスが進むという見方もありますよね?

塚越:これだけコストがかかるので、事業者や特に個人店の場合は、もう両替機や自動販売機の新札対応は諦めて、導入費用の少ないキャッシュレスに切り替える可能性が考えられます。

日本は来年の6月までに(クレジットカードやQRコードを利用する)キャッシュレス決済の比率を全体の40%にする目標を掲げているのですが、去年の段階で39.3%まで増えており、この流れを促進すると見られます。

ただしキャッシュレス決済の比率は、韓国は9割、中国も8割、アメリカでも5割を超えています。これにならって日本もどんどん進めていきたい狙いです。新紙幣が登場するのにキャッシュレスが増えるというのも皮肉な話ですが、副産物としてキャッシュレスが普及するという可能性は考えられます。

◆「旧札が使えなくなる」と呼びかける詐欺に注意!

ユージ:新紙幣の発行について、塚越さんはどうご覧になっていますか?

塚越:日銀は来年3月末までに現在発行されている紙幣の46%を印刷する予定なので、思ったよりも新札の普及が速いです。そうなると、ビジネスのことを考えると(新紙幣に対応した機械の導入よりも)キャッシュレス決済に切り替えるという判断は理解できます。

一方で、特に公共交通機関などでは現金派の人も根強く、全部を一気に変えるのはなかなか難しいところです。そして、一番気を付けていただきたいのは詐欺です。20年前と比べてSNSが発達しています。財務省も注意喚起をおこなっていますが、今まで通り旧札が使用できるのに、SNSで「旧札が使えなくなるので新しいものに交換する」といった詐欺が広がる可能性があります。怪しいと思ったら近くの人に相談し、新紙幣発行に乗じた詐欺にはみなさん気を付けましょう。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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  • 知り合いのラーメン屋は券売機止めてレジを引っ張り出してきました。「処分しなくて良かった」って
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