おぎぬまXのキン肉マンレビュー【コミックス第34巻編】〜さらば、仮面の貴公子! 超人予言書の正体は『週刊少年ジャンプ』そのものだった⁉〜

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2024年06月23日 23:50  週プレNEWS

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『キン肉マン』大好き漫画家のおぎぬまXが、コミックス34巻を熱く語る

今なお語り継がれる珠玉の名勝負・ロビンマスクVSマンモンスマン戦を収録した第34巻!

『キン肉マン』全編通しても屈指のベストバウトと呼び声高いこの激動を、後世に語り継ぐため心に刻むべし!!

●キン肉マン34巻

レビュー投稿者名 おぎぬまX

★★★★★ 星5つ中の5

●ロビンマスクのすべてが詰まった珠玉の一冊!

さて、いよいよ始まりましたキン肉マンとフェニックス、両チームの最終決戦「イリミネーション・ルーレット・マッチ」。自身の存在そのものと連動した超人予言書のページをたいまつの上に糸で吊るし、いつ誰がその炎に焼かれて消滅するか知れないというまさにデスマッチなわけですが、ゆで先生の辞書に"様子見"という言葉はありません。試合開始のゴング早々ロビンマスクの予言書の糸が切れかけ炎の直上へ、さっそく下半身が黒ずみ始めます!

ほぼこの状態から試合が始まる緊張感ったらありません。そもそもが3対2のキン肉マン側に不利な闘いで、そのうちひとりがこんな様子で大丈夫なの?...というところで、やはり気になるのは前巻からずっとこの闘いを陰から見守り続けるとある男の存在です。

そしてここでとうとう、その男がキン肉マン・チーム最後の助っ人としてリングに飛び込んできます。その男の名は、ザ・サムライ!

ここで注目しておきたいのは、ロビンはその体に触れただけで、すぐさま彼の正体を確信したという点です。もちろん、彼は素性を隠したネプチューンマンなわけですが、思い起こせば夢の超人タッグ編でも、ロビンはネプチューンマンの正体が喧嘩男であることを誰よりも早く見抜きました。そして今回もまた...。それほどこのネプチューンマンという男は、ロビンにとっての忘れえぬ存在だったということでしょう。

しかも合流早々、再びピンチに陥ったロビンを救うべくザ・サムライが繰り出した居合い斬りボンバーのなんと豪快にして痛快なこと。この一撃で、拳を握りしめなかった読者はいないでしょう。

なぜなら、あのネプチューンマンが、仲間になったのですから!

前シリーズで主人公を散々に苦しめた敵のボスが仲間になる展開は、やはり心が踊ります。これぞ昭和のバトル漫画の王道、最高です!

さて、そうなると今、闘うロビンの後ろに控えているのはネプチューンマンとキン肉マン。つまり彼は生涯の2大ライバルともいえる男たちに見守られつつ、過去最強の難敵マンモスマンと激突しているわけで、まるですべてのお膳立てが整えられたかのようなこの状況...もう先に言わせてもらいます。この巻は一冊まるごと、ロビンマスクの引退興行だと心して読んでください!

そして魅力的なのは、味方だけではありません。敵のマンモスマンもまた溢(あふ)れんばかりの魅力を持つ超人でした。ただでさえ、作品史上最高のパワーファイターなのに、そこに凶器というより、もはや兵器と呼べる自慢の牙"ビッグ・タスク"が加わります。この牙、当たり前のように伸びたり枝分かれするだけでなく、なんとドリル回転から自動追尾機能まで搭載されています。まさに、ゆで先生の使用法アレンジの極致と言えるでしょう。

これまでもベア・クローやロング・ホーンなど超人特有の攻撃手段には驚かされてきましたが、ゆで先生はその集大成のような特徴を超人強度7800万パワーの男に与えました。実力だけならラスボスにも匹敵する強豪に死角はあるのでしょうか?

●終わらない試合の果てに見えた理想郷

やはり厄介なこのビッグ・タスク。中盤戦までロビンのことを散々苦しめるわけですが、その攻略のヒントをくれたのは、試合中に唐突に現れた少年が託してくれた幸運の青い鳥、ブルー・サンダーでした。

このブルー・サンダー、ロビンの危機にリングへ羽ばたきマンモスマンの攻撃を邪魔したことで、哀れパワフル・ノーズで天井に叩きつけられて哀れにも死んでしまうのですが、その死骸が血に飢えたビッグ・タスクの自動追尾機能を誤作動させ、絶体絶命のピンチを救ってくれたのです!

つまりは、それまで猛威を奮ったこのビッグ・タスクこそが、実はマンモスマンの弱点でもあった!? そこからロビンに「お前は弱いマンモスだ」と指摘され、マンモスマンは激しく動揺していきます。本当に強いマンモスは、己の牙がやがて自身の脳天を貫き絶滅したからです。

そもそも『キン肉マン』は、相手のストロングポイントを必ずぶち折ってから勝つというのが暗黙のお約束になっている作品で、ここにきてそれを見事に達成したロビンマスク。フィジカル最強の男の弱点は精神の脆(もろ)さにあったそれをロジカルで破る、寓話のような教訓めいたぶち折り方が見事です。普段ならこのまま決着へと突き進んでいく流れですが...この試合が多くのファンから作中屈指のベストバウト認定されている真の理由はこの先です。恐ろしいことにこの試合、なんとここからが本番なのです!

まず、大将フェニックスもおそらく先の理由でマンモスマンの試合はもう終わったとみなし、ロビンマスクもろとも死ねとばかりに切り捨てにかかります。その裏切り行為に激怒したマンモスマンは再奮起、なんとこの期に及んでまだ隠しておいた超大技アイス・ロック・ジャイロで対戦相手のロビンのみならず、味方のフェニックスたちまでぶちのめそうと謀反を起こしました。

そして、その勢いのままなだれ込む伝説回のサブタイトル「真剣勝負の醍醐味!の巻」。

そもそものマンモスマンの悲劇は、あまりにも強すぎたことです。ゆえに闘いに価値を見いだせず、他人に敬意も持てず、明確な目標もないまま、自分の価値を最初に認めてくれたフェニックスに仕えることになります。やがては王になると信じた彼の求めるままに、武人に反する数々の汚れ仕事に手を染めてきました。

しかし彼は、ここで初めて、己を倒しうる力を持つと認めた好敵手とめぐり会えたことで、己の真の望みを知るんです。

それこそが、この回のサブタイトル"真剣勝負"!

マンモスマンの造反理由はただひとつ「真剣勝負の邪魔をするな」。これだけです。その理由のなんとシンプルにして痺(しび)れることでしょう!!

思えばこの王位争奪戦、地位、金、名声、復讐、そういった欲望を叶えるため参戦してきた者がほとんどで、主人公サイドのキン肉マンたちですら平和のため、正義のため、罪滅ぼしのため、そんな大義的かつ観念的な理由で参戦しています。

しかし、そのなかでマンモスマンだけが唯一"真剣勝負"という個人的かつ超人レスラーとしてもっとも純粋(ピュア)な願いを秘めていたのです。僕がマンモスマンを愛してやまない理由はここに尽きます。

●超人予言書の正体は『ジャンプ』である

そして、その純粋すぎる想いにロビンマスクも全力で応えます。まさに真剣勝負、ひたすら続く超絶難技の応酬合戦。こうなったロビンマスクはもう誰にも止められません。果ては己の存在そのものを示す予言書へとつながる糸すら、本気の技を出すためには厭(いと)わないと断ち切り、己の命より技の完遂を優先。まさに命を懸けた真剣勝負です。

その時、半身が消滅しながらもロビンが万人に向けて放った言葉「たとえ歴史から自分の名が消えようと、すべての人びとがこのロビンマスクのとった行動を心に刻みつけてくれればそれで本望」。この言葉を聞いて僕は、超人予言書という存在は何なのか、その正体にとうとう思い当たりました。これはあくまで僕の個人的憶測にすぎませんが...超人予言書とは、実はゆでたまご先生にとっての『週刊少年ジャンプ』そのものだったんじゃないでしょうか?

皆さんもご存じの通り『ジャンプ』には様々な作品が連載されては世を沸かし、しかしそれらもいつかは必ず消えゆきます。そして『キン肉マン』という大作品がまさに今、終焉に向かい最後の命の炎を燃やしています。今までは、たとえ好きなキャラが死んでも次の章がありましたが、王位争奪編を最後に『キン肉マン』の物語は完結するのです。しかし『キン肉マン』が『ジャンプ』から消滅しても、キミたちがこの作品で見たことを覚えていてくれたらそれでいい!

僕には、ロビンマスクのメッセージがいつからか、そう言っているように思えてならなくなりました。

そのロビンが両足のないまま繰り出した魂のタワーブリッジを代わりになって支えて完遂させたのが、人生最大のライバルふたり、キン肉マンとネプチューンマン。あまりにも綺麗、なんならこれで終わりでも十分よかった。しかしロビンの見せ場はここからまだ続くのです!

誰かに助けてもらったままでは終われない。最後は自らの手で決着をつける。なんと消滅の間際に"ロープワーク・タワーブリッジ"なる新技を編み出して、試合を決めて彼は消えていったのです...。

このロビンの姿勢こそ、まさにマンモスマンが求めた以上のものでした。ずっと人に抱けなかった敬意をマンモスマンは最後、ロビンに向けることができました。キン肉マンたちに形見を託して同じく消えていった彼はとても満足げでした。

今回は、あまりにも僕が好きすぎる巻のため、レビューがいつもより異常に長くなってしまったことをここまで読んでいいただいた皆さんにはお詫びいたします!!

そして、そんな傑物ふたりの想いを受け取ったキン肉マン、そしてザ・サムライことネプチューンマンの新たな闘いが次巻、始まります。

●『キン肉マン』4コマ

●こんな見どころにも注目!

本編でも少し触れました、試合中にロビンを危機から救った青い鳥ブルー・サンダー。ビッグ・タスクを機能不全とする、まさに試合の潮目を変える重要な役割を果たしてくれましたが...これほどの大仕事をやってのけたこの鳥の履歴、同じ話数内の10ページ前に初登場して、6ページ前に死んだばかり! 昨今、いかにじっくり伏線を固めていくかという作品の多い中、逆に読者についてこいと言わんばかりに...瞬間瞬間で様々な新しいドラマやイベントが起こり続けるこの疾走感! 『キン肉マン』の真骨頂ここにあり、です!!

漫画/おぎぬまX 構成/山下貴弘 ©ゆでたまご/集英社

このニュースに関するつぶやき

  • 同時期の北斗の拳でファルコが死にそうだったからクライマックス潰しでロビンとマンモスマンを先に消滅。そしてサムライが正体を現すおぎぬまXのキン肉マンレビュー【コミックス第34巻編】〜さらば、仮面の貴公子! 超人予言書の正体は『週刊少年ジャンプ』そのものだったexclamation & question
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