「子持ち様…」「繁忙期に休む人なんていないよね?」ママ社員に嫌味タラタラのお局が“大反省”したワケ

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2024年06月24日 08:50  女子SPA!

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女子SPA!

※写真はイメージです(以下同)
 男性育休や育児・介護休業法の改正が話題となる一方で、小さな子どもを育てている人を“子持ち様”と呼び、子育て世帯が職場や社会から支援を受けることに不満を漏らす“子持ち様論争”がSNSを中心に勃発。職場や社会の課題が浮き彫りとなっています。

 今回は、子育て中の人への不満から、産休や育休を取得しようとする職場の同僚たちにイジワルをしていたこともあるというヒデ子さん(仮名・42歳)に話を聞きました。

◆子育て中のママたちへの不満がポロリ……

「子どもがいる人は、繁忙期でも関係なく『子どもの熱が出て、保育園が預かってくれない』と休むので、出勤しているメンバーでなんとかしないといけない。複数のママが繁忙期に休むことも結構あり、正直イライラしていました」

 そのような状況が積み重なり、ヒデ子さんは子育て中のママたちに不満を募らせていったのです。そしてついには、心の中に溜めていた不満を職場で口に出してしまいます。すると、想像もしていなかった共感の嵐に包まれたのでした。

「口に出すまで、自分は心の狭い人間だと思っていたし、そういう自分に嫌気が差すこともあったほど。でも、『わざとかと思うぐらい繁忙期に休むよね』『こっちは忙しいのに』『少しはこっちの身にもなってほしい』と、みんな不満タラタラでした」

◆思わぬ共感を得て発言がエスカレート

 思わぬ共感を得たことで、日を追うごとに発言が過激になっていったというヒデ子さん。子どもを持たない職場の同僚から支持を受けたこと、そして年数が経って自身のキャリアが上がっていったことで、言動はさらにエスカレートしてしまいます。

「最初は同僚や部下たちと、今でいう“子持ち様”たちへの不満や悪口を陰で言って発散していました。でもそのうち、タイミングを見計らって本人にチクチク嫌味を言うようになっていたのです。思い返せば、私は最悪の上司だったと思います」

◆直接的な批判はしないが遠回しに圧をかける

 ヒデ子さんは、子育て中のママ社員たちとの会話途中に「あ〜あ、もうすぐ繁忙期だね。さすがにこの時期に休む非常識な人はいないと思うけど、子どもがいると大変そう。あ、でも、あなたのところは両親が近くにいるものね。頼りになるわ〜。期待してる」と、チクチク。

「子どもを理由にした欠勤について直接的に批判すると問題になったりするので、遠回しに圧をかけ、休みづらい環境づくりに力を入れていました。そういったこともあり、辞めていったママ社員もたくさんいます」

◆残業するのは自分たち。不満がわくのは当然

 それでも、胸が痛むのは一瞬だったとか。なぜなら、「繁忙期でなくても仕事が忙しいのに、休まれると全部こちらにのしかかってくるので、自然と不満や怒りがわいてくるのです。こちらは友だちや家族との約束も断って残業するしかないのですから」と続けます。

「そのせいで歴代彼氏からは浮気を疑われ、フラれたこともあります。いま思えば、そういった不満や彼氏が長い間できない僻みといった歪んだ気持ち、文句を言いたくても言えない同僚や後輩たちの代弁をしている自分に酔っていた部分もありました」

◆会社側は“ママ社員にやさしい職場”をPR

 そんなヒデ子さんの気持ちとは裏腹に、会社はママ社員たちにやさしい職場をPRした求人を打ち出すようになります。子どもが熱を出したときや学校行事などに寛容な会社だと強調していましたが、内情は違いました。

「子どものいない社員が残業や無理をして、仕事を終わらせるという状況が続いていました。そのため、『彼氏ができた』とか『結婚の話も出ている』と聞くと、結構大変なプロジェクトのリーダーに指名したりして、社員と彼氏が別れることを祈ったほどです」

◆ついに自分がママ社員側に

 けれど、期待もせずにはじめたマッチングアプリで日常に変化が訪れます。アプリで知り合った男性は、仕事が忙しいヒデ子さんにご飯やお弁当を作ってくれたり、マッサージで癒してくれたりと、とにかくやさしく接してくれる人でした。

「気がつけば心もカラダも許せる人になっていて、知り合って3か月ほどで妊娠。それを知った彼は、プロポーズしてくれました。すごく嬉しかったのですが、今後、職場の人たちからどんな反応や対応をされるのかと思うと不安しかなかったです」

◆自分のしてきたことを後悔するヒデ子さん

 これまでさんざん職場の人たちに意地悪をし、辞めた人もたくさんいたほど。今度は自分が意地悪をされる番だと覚悟したうえで、妊娠や出産について打ち明けました。ところが職場の人たちは、一気に祝福モードに突入。「おめでとう」の言葉が飛び交います。

「私の体調についても気遣ってくれ、『妊娠初期はつわりでしんどい人も多いから、無理せず言ってね』と、あたたかい言葉まで。さらに産休についても、『せっかくの制度だから活用して』と、会社にも掛け合って産休前の業務緩和や時短まで実現してくれたのです」

 その時点でもモーレツに反省したヒデ子さん。

「出産後に子どもが熱っぽいと話したら、『早く帰って様子をみてあげて』『子どもの体調はママのせいじゃない』と快く残業を交代してくれ、これまで自分がしてきたことを本当に後悔しました」

◆子育てを経験して初めて分かる大変さ

 忙しいときや休めないときに限って子どもの熱が出ることも体験したヒデ子さんは改心し、現在はママ社員が働きやすい職場づくりに取り組んでいるそうです。

 子育てをしている人の立場を体験してはじめてわかる大変さや悩みもあるもの。また、子どもがいるいないにかかわらず、想像力を膨らませてお互いを思いやることで新しい解決策がみえてくるかもしれません。
<取材・文/山内良子>

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