「AYANEO Pocket S」は持っているだけでテンション上がる、至高のAndroidデバイス 実機でいろいろ検証してみた

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2024年06月24日 14:31  ITmedia PC USER

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ITmedia PC USER

見た目も美しい「AYANEO Pocket S」

 普段から持ち歩くデバイスは、できればカッコイイ方がいい。それは、服を清潔に保つことや靴を磨いておくことと同じで、人の目に触れる機会が多いからだ(例え誰も気にしていないとしても、自分のテンションがアガるからいいのだ)。


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 「AYANEO Pocket S」シリーズは、持っているだけで“アガる”と言っても過言ではない製品に仕上がっている。今回は同シリーズの「Unmarked Edition」について、概要や仕様の説明とともに、実際に使ってみた所感やベンチマークテストの結果をお届けしよう。


●「AYANEO Pocket S」とは?


 AYANEO Pocket Sは、6型ディスプレイやゲームコントローラーを搭載するポータブル型のAndroidデバイスだ。Google Playで入手したゲームはもちろん、Steam LinkやXbox Cloud Gaming、GeForce NOWといったクラウドゲームなどもAndroidアプリを通じてプレイ可能だ。


 Android向けゲームアプリの一部はコントローラー入力に対応しているが、タッチ操作を前提とした非対応ゲームも少なくない。AYANEO Pocket Sでは、独自の管理アプリ「AYA Quick Tool」内のボタンマッピング機能で、コントローラーの接続に対応していないゲームでも、コントローラーを使えるようにする機能がある。


 SoCはSnapdragon G3x Gen 2で、ディスプレイの解像度、メモリ、ストレージ、カラーが異なる計6モデルが用意されている。


1080Pモデル


・12GB/128GB/オブシディアンブラックまたはアイスソウルホワイト


・16GB/512GB/オブシディアンブラックまたはアイスソウルホワイト


1440Pモデル


・16GB/512GB/オブシディアンブラック(日本の代理店であるハイビーム限定でアイスソウルホワイトも用意されている)


 なお、今回試したUnmarked Editionは、カラーがオブシディアンブラック、ストレージは1TBのみとなっている。十字キーの方向を示す「▲」ならびにABXYボタンといった表記が無刻印であることから「Unmarked」というモデル名になっているようだ。


●段差のない全面ガラスディスプレイが美しい


 パッケージに含まれているのは本体の他、USB Type-C to USB Type-Cケーブル(データ転送と充電用)、クイックスタートガイドで、充電器は含まれていない。


 目を引くのは、段差のない全面ガラス張りのフロント部分だろう。ツルンとしていて心地よく、ホコリやごみなどがたまる段差がないので拭き取りやすい


 サイズ感も確認してみよう。Nintendo Switch、AYANEO SLIDE、iPhone 14との大きさの違いは次のようになった。


 重さは実測値で360g、サイズは約21.3(幅)×約8.3(奥行き)×1.2〜2.7(高さ)cmだった。Nintendo Switch(約404g)を携帯する人であれば、問題なく持ち運べるし、ゲームをプレイし続けられるだろう。


 インタフェースは、スマホと同じUSB Type-C端子を1基のみ搭載している。こちらはUSB 3.2 Gen 2規格で、最大10Gbpsのデータ転送とDisplayPort 1.4出力、最大40WのPD(Power Delivery)に対応している。


 左側のゲームパッドにはジョイスティック、十字キーなど、右側のゲームパッドにはABXYボタンとジョイスティック、AYASpace呼び出しボタン、ホーム画面表示ボタンなどが並ぶ。


 左側面にはmicroSDメモリーカードスロットが、右側面にはゲーム中でもパフォーマンスを即座に切り替えられるターボキーを搭載する。


 上部には両端にLT/RT、LB/RBボタンの他、各種機能キーや指紋認証センサーと一体になった電源ボタンなどが並ぶ。


 本体下部にはスピーカーや吸気口、マイク端子やUSB Type-C端子を搭載する。


 背面にはネジなどがなく、こちらもツルンとした印象だ。


 続いて実際のパフォーマンスやコントローラー(以降、ゲームパッド)のマッピング方法などを解説する。


●ゲームパッド非対応ゲームでボタンマッピングを設定


 今回、ゲームパッド非対応ゲームとして選んだのは、最近話題の「鳴潮」と、筆者が昔からプレイしている(しかし全然進められない)「CARAVAN STORIES」だ。


 まず、ゲームを立ち上げたら、何かしら操作の必要になる場面まで話を進めよう。移動、カメラの向きを変える、戦うといったシーンになったら、いったんAYAキーを短押しして「AYA Quick Tool」を立ち上げる。


 「Controller」タブの「Key Mapping」をオンにすると「Go to configuration」と表示されるのでタップする。


 すると、ボタンマッピングのためのツールバーが表示される。「Add Mapping Point」をタップして、画面上のコントローラーの位置までポインターの中心をドラッグしよう。


 「Extend」をタップすると画面上のコントローラーを操作するゲームパッドのボタン類がリスト表示され、選択できるようになる。


 同様にして、ボタンをどんどん割り当てていく。ゲームによっては、要素が多かったり、画面上に表示されるボタンの位置がまちまちだったりするため、新しいシーンが出てくるたびにボタンマッピングの設定が必要になるし、全てをゲームパッドで行えないこともある。


 設定が終わったら、忘れずにセーブしよう。


 ボタン名が画面にくっきり表示されていると、せっかくのゲームビジュアルが台無しになってしまう。慣れてきたら非透過度を下げて半透明、もしくは透明に設定しよう。この場合もボタンマッピングツールバーから行う。


 ボタンマッピングが終わったら、正しく動作するかを確認してみよう。


 「鳴潮」でも同様にボタンマッピングの設定を行った。新しい要素(特に戦闘シーン)が出てくるたびにマッピングを追加していく必要があるが、ある程度進めていけばゲームパッドだけで快適に操作できるようになるはずだ。


●ゲームパッド対応ゲームなら楽ちん


 ゲームパッドに対応しているAndroid向けゲームには「Towerof Fantasy(幻塔)」「崩壊:スターレイル」「俺だけレベルアップな件:Arise」などがある。今回は、崩壊:スターレイルを試してみた。


 崩壊:スターレイルはゲームパッドに対応しているものの、起動するごとに操作方法を選ぶ必要がある。


 そのままゲームを続けられればいいのだが、いったんタイトル画面に戻る必要がある。


 「数少ないゲームパッド対応ゲームだと思ってインストールしたのに、ゲームパッドで操作できない」ということがあれば、崩壊:スターレイルのように、その都度設定することで利用できるようになるものもあるので、試してみてもらいたい。


●クラウドゲームはしっかり遊べる?


 腰を据えてするほどではないけれど、PCゲームを進めておきたいということもあるだろう。そのようなときにAYANEO Pocket Sがあれば、リモートでPCゲームをプレイできる。ここでは、Steamで試してみよう。まず、Google PlayでSteam Linkを探してインストールする。


 起動すると、「付近のデバイスの検出、接続、相対位置の特定をSteam Linkに許可しますか?」と権限の許可が求められるので「許可」をタップしよう。


 ここで、同じネットワーク内にあるSteamアプリインストール済みでSteamを起動中のPCが表示されるので、タップする。


 PINコードの入力、ネットワークテストなどの後に、リンクが完了し、プレイできるようになる。あとはSteamのライブラリから選んでゲームをプレイしよう。


 画面を並べてプレイしてみたところ、AYANEO Pocket Sのゲームパッドの動きにPC側がしっかり追従しているし、画面を表示している“だけ”のAYANEO Pocket S側が遅れる、ということもなかった。ただ、1度だけAYANEO Pocket S側で4秒ほどコマ落ちし何が起きたのか分からなくなる場面があった。とはいえ、基本的に動作は良好だと感じた。


 Android向けゲームでは物足りない、ゲームパッドに対応しているゲームが少ない、PCゲームを手元で遊びたい、という人であればきっと楽しめるに違いない。


●スマホと一緒に持ち歩くメリット


 ゲームパフォーマンスをワンタッチで切り替えられるターボキーを使い、「Game」モード(電力の消費が2番目に激しいモード)で遊んでみたが、約2時間で40%ほど減っていた。これがWindowsを搭載したポータブルゲーミングPCだったら70%〜80%ほど減っていたことだろう。やはりAndroid向けゲームは電力消費が少ない。


 それに加え、AYANEO Pocket Sは6000mAhのバッテリーを搭載している。筆者が仕事用として使っているiPhone 14は3200mAhだ。日常的に使うアプリの他、ゲームをしたいという場合は、モバイルバッテリーのお世話になるほかない。


 しかし、AYANEO Pocket Sがあれば、バッテリー切れを気にせずゲームをし続けられる。長時間ゲームをしていると、左側のゲームパッド部分が熱を持つが、冷却性能が高いので、本体を持てないほど熱くなるということもない。また、ゲーム中にメールやMessenger、電話などの通知にじゃまされることもない。このサイズなら、スマホとは別に持ち歩くという選択肢もあるのではないかと思った。


●ベンチマークテストの結果は?


 最後に、ベンチマークテストの結果を見てみよう。使ったのは「Geekbench 6」と「3DMark」だ。


 まずはバッテリーの消費を抑えつつ、高めのパフォーマンスを保つ「Balance」モードで、次いでバッテリーを大量に消費し、ファンも最大限に回す「Max」モードでそれぞれテストを行った。


 BalanceモードでGeekbench 6のCPUテストをしたところ、シングルコアスコアは443、マルチコアスコアは1501で、いずれもベスト15にすら入らなかった。


 しかし、Maxモードに切り替えてみると、シングルコアスコア2075、マルチコアスコア5219となり、それぞれ3位という結果になった。


 なお、GPUではBalanceモードで3222の11位、Maxモードでは122275でぶっちぎりの1位であった。


 3DMarkでは、「Wild Life」でテストを行ってみたが、Balanceモードであっても「Maxed Out」と限界を突破してしまったので、より負荷の高い「Wild Life Extreme」を試すことにした。


 Balanceモードでは3606となり、iPhone 15 Proより若干高いスコアであった。


 Maxモードでは3951であった。これはSnapdragon 8 Gen 2を搭載している「ZTE Nubia Z50S Pro」より高く、Dimensity 9300搭載の「Oppo Find X7」より低いスコアであった。


 高負荷をかけることでパフォーマンスが落ちないかを試す「Wild Life Stress Test」をMaxモードで行ってみたところ、温度は36度から45度へ上昇したものの、フレームレートベースでいえば、最も良かった1回目と最も悪かった19回目では予想より幅が開かなかった。


 今回は、ボタンマッピングとターボキーを中心にレビューしたが、他にも振動に対応していないレトロゲームでもゲーム音声をAIが解析して音に合ったハプティクスフィードバックを行う機能や、ゲーム気分を盛り上げるRGBライトエフェクト、カーソルのあるアプリごとにホームに表示する壁紙を変える「Set App Wallpaper」などがあるが、機会があれば紹介したい。


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