近所迷惑・噂になりたくないから「救急車のサイレン鳴らさないで」増えた!? 救命士が訴える「止められない」理由とは

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2024年06月25日 07:00  まいどなニュース

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近所迷惑だから、サイレンを鳴らさずこれますか?という声が増え…(moonrise/stock.adobe.com)

「救急車をタクシー代わりに利用」「車内で撮影」「#7119で軽症だから『自力で病院へ行って』と言われたのに要請する」…など救急車を利用する人のモラルを問う行為がたびたび話題になります。そんななかで、現役救命士からのお願いが…。

【写真】ためらわずに救急車を呼んでほしい症状とは…

「『サイレンは鳴らさないで来て欲しいです』っていう人結構いますけどかなりぶっ飛んだすごいこと言ってる自覚あるのでしょうか?日本は行政における救急医療システムについてもっと子供の時から懇切丁寧に教育していかなければならないと強く思います」

救急車内での任務を行うこともあるcube/日本一の救命士を目指す者さん(@cube_QQEMT 以下cubeさん)の提言に対して同意する意見もありましたが、「近所の人の安眠妨害になるから」「呼ぶ人にはその後の生活がある。噂になるようなことしてほしくない」と、鳴らしてほしくない派からの意見も続出。

救急車を呼んだのにも関わらず「“法律上止めて緊急走行はできない”と答えると、“じゃあ来なくて良い”と言われた」と、本当に緊急な状況だったのか疑いたくなる経験談もありました。

救急に関する問題や現実を世の中に周知させ解決したいという思いで日頃からSNSで発信しているcubeさんに、「サイレン鳴らさないで来て」についての思いを聞きました。

なぜサイレンを鳴らすのか

さまざまなコメントが寄せられましたが、「“サイレンは鳴らさないで来て欲しい”のどこがぶっ飛んだことなのかよくわかんないという発言が1番印象に残りました。救急車に関しての知識がなく、モラルが欠如していることを吐露しているような言葉ではないかと。だからこそ、『サイレンを鳴らさないで来て欲しい』と言えるのではないでしょうか」。

救急車のサイレンは安全かつ迅速な走行のために鳴らすこと、赤色の警光灯をつけることが道路交通法施行令第13条、第14条で定められています。止めてしまうと、緊急自動車の特例等の適用がなくなるのです。

しかし、そのことを知らず、「家の近くに来たら、サイレン音を鳴らさないで欲しいと訴える人が多い」とcubeさん。5年程前に消防を退職し、現在は病院で勤務していますが、「10数年間勤務した消防経験の中では、“サイレン鳴らさないで”というお願いが徐々に増えている印象で、その数は少なくはないと思います」。

救急車の出場途上では、情報聴取のため隊員が通報者に連絡しながら向かいます。「全力で急いで助けに行こうとしている我々にとって、その言葉は愕然とさせられるもの。懇切丁寧穏やかに、救急車はサイレンを鳴らしての緊急走行でしか向かえないこと、現場近くになったら出来るだけ配慮することを伝えています」。

近所の目や世間体云々を理解し、実際には現場近くや夜間住宅街で、現場の特定と周囲の安全を確保した場合は消したりすることもありますが「サイレンを鳴らす、鳴らさないは状況で判断すること。法律を知らなかったと言う方もいますが、法律以前にモラルとして広まってほしいと思います」と言います。

今回の反響について、日本の救急医療システムに対する認識不足の表れではないかと感じる一方で、救急車に関する問題への意識が高まっていることも感じられたともcubeさんは言います。

救急車利用する人のモラルが年々低下

昨今、救急車のタクシー代わりの利用や救急車内で撮影、軽症での救急車要請などが社会問題として取り上げられていますが、cubeさんによると「これらは全てあるあるです。年々救急車に対するモラル低下がひどくなっています」。

超高齢者社会が進むにつれて、ちょっとした症状や転倒などによる怪我の受診が増え、それに伴い安易な救急要請も増えていると話します。

日本の人口は減少傾向にあるにも関わらず、総務省の「令和5年版 救急・救助の現況(※1)」によると救急自動車による救急出動件数は約722 万(前年比103万増)、そのうち「軽症(外来診療)」と診断されたのが約 294 万(対前年比 19.5%増)。ちなみに、平成14年の救急出動件数が約456万と考えるといかに増えているのかがわかります。

cubeさんは、自分達が不適正利用しているという認識がないことがいちばんの問題だと指摘。このままでは事態はどんどん悪化の一途を辿るだけと見立てています。

「自分が救急車を利用しなければ、亡くならずに済んだ人がいるかもしれない。つまり、言葉はキツくなるかもしれませんが、安易に救急車を利用したせいで間接的に誰かを殺してしまっているかもしれないということを国民の皆さんに認識して欲しい。逆の立場だったら許せないですよね。間接的な殺人者とならないように、しっかりと不適正利用について考えて頂きたい」と語気を強めます。

実際、件数が影響しているのか現場到着の所要時間は全国平均で10.3分(前年は約9.4分、平成14年は約6.3分)、同じく病院収容時間も増えています(※1より)。一刻を争う状況で、時間がかかってしまえば命を左右される可能性は大いにあるのです。安易な救急要請で救急車が出払ってしまうことは、119番に繋がにりくい、なかなか救急車が到着しないなどの悪循環を招きます。それは、結局、自分達で自分達の首を絞めていること。

「安心安全な日本であるために、国民全体が協力して不適正利用は強く非難されるべきという風潮を作っていく必要があるでしょう」。 そのために、社会全体がこれを大きな問題として捉え、「幼稚園や学校などで子供の時からしっかりと教育するべきだと訴えます。大人はなかなか学ぶ機会がないため、今後は子供から親へ伝えてもらったり、免許証の更新時、入職時の講習、職員研修などで周知や教育ができる環境になればと思います」。

6月1日からは三重県松阪市内の3基幹病院において、救急搬送された患者のうち、入院に至らない軽症患者から選定療養費「1人7,700円(保険適用外)」が徴収されることになりました。もしも、今後も安易な救急車利用が減らず、この取り組みが有用とされれば、全国にも広がる可能性はあるでしょう。軽傷かどうか、タクシー代わりだと思っていないか改めて振り返った上で、心配な症状の際には、命のためにも躊躇せずに救急要請をおこなってください。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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  • 子どもの声もうるさい、お寺の鐘もうるさい、ついには救急車のサイレンまで?! どんだけよ。
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