「老害」と「若害」の狭間で悩まされるオジさんゴルファーの嘆き【木村和久連載】

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2024年06月25日 07:30  webスポルティーバ

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木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第39回

 前回"老害ゴルファー"の話を書いたら結構な反響があって、いろんな方面から共感のお言葉をいただきました。

 年老いたオジイさんゴルファーが叩いてキレる様を見るのはしんどいです。自分も歳を取って醜態をさらしたくない――そんな自戒を込めての話だったのですが、今やゴルフ場の"害"はそれだけにとどまりません。近年では、ルール&マナーをさほど知らない若者ゴルファーがコースに大挙進出。多くのゴルフ場で"若害"が起こっているようです。

 もしかすると、うちら世代の平成ゴルファーはゴルフ場において、団塊世代のオジイさんたちに威張られ、令和の若者たちに蹂躙されるという"サンドイッチ的迫害"を受けているのかも......。

 というわけで、今やコースで目立ち始めている"若害ゴルファー"の振る舞いを見てみましょう。

(1)グリーンを傷つける人
 今の時代、スパイクもソフトスパイクとなり、グリーンにひっかき傷をつける人はほとんどいません。けど、デビューラウンドとなる新人くんがいたりすると、興奮しているのか、グリーン上を擦って歩いたりして傷つけることがあるんですよね。

 これは本来、同伴メンバーが注意すれば済む話なのですが、一緒に回るメンバーも同じようなレベルの人ばかり。だから、足を擦って歩いていることに気づかないんですな。

 ほか、雨上がりの時に靴の底に泥をつけたままパットをすると、グリーンに茶色いシミがポツポツとつきます。これも注意が必要です。

 こうしたことを含めて、グリーンでの所作は繊細なことが結構あります。それは我々にとって常識でしたが、令和の若者たちにとっては違うようです。

 たとえば、これもそうです。グリーン周りの寄せで使用したウェッジを数本持ち込んで、パットを打つ時にそのウェッジを放り投げる人がいます。

 大谷翔平選手のホームランじゃないけど、確信パットを打つんですか? そこはやっぱり、丁寧に置いてほしいものです。

 それ以上に驚くのは、グリーンの外までウェッジを運ぶのが面倒くさいのか、グリーン上にそのままウェッジを置く人がいること。これにはびっくりです。ウェッジの先端は重くて鋭利ですからね、グリーンを傷つけますよぉ〜。

 そういった感覚の鈍い人は、自分がつけたピッチマークもまったく気にしません。というか、ピッチマークをつけたことに気づいていないのかも......。たまにナイスオンしたもんだから、興奮して我を忘れているのでしょうね。

(2)真面目にボールを探す人
 ボール探しの時間は従来5分でしたが、ルール改正で3分に短縮されました。最近、プロの試合で3分間のボール探しを3分半くらいやって、失格となった選手のニュースが飛び込んできました。あれには、びっくりしたなもう、です。

 いわんやアマチュアなんて、誰も時計で時間を計測していません。だから、いつの間にか3分間なんて過ぎているんですよね。

 アマチュアのプライベートラウンドでのボール探しは、前後の組の流れをよく見て、臨機応変になさるのがよろしいかと。つまり、前が詰まっていたり、後続との間が空いていたりしたら、そこそこ時間を使って探しても問題ないと思います。

 ですが、前の組のプレーが終了していて、後ろの組が迫っている場合は、さっさと諦めてロストボールにするしかないです。自分だったらそうしますが、ボールを探している本人はテンパっていますから、ボール探しをなかなか諦めきれないんですよね。

 そういう時は"枯れ葉ルール"のような超拡大解釈したローカルルールを発令して、妥協案を提案したいです。「後ろの組が迫ってきたので、ここはワンペナ(本来ロストは2ペナ)でいいから、プレーを進行しないか」という感じです。大概の方は、それで納得して進行してくれます。

 結局のところ、昔はボール探しの名人であるキャディさんがいて、しかも5分も探すことができました。それが今は、セルフプレーでボール探しは3分。そのうえ、2サムだったらボール探しの協力者はひとりしかいません。そんなんでボールが見つかるわけがないのです。

 それなのに、ボールをロストしたら、従来どおり2ペナ。そのルールが厳しすぎるってことです。アマチュアのプライベートルールは、もっと甘くしてもいいと思うんですけどね。

(3)ボールがフェアウェーに飛んでくる
 初心者が多いと、打ったボールがあちらこちらに散らばって、隣のホールまで飛んでいくこともしばしば。そこで問題になるのは、隣のホールにボールが行ってもセーフだった場合です。

 OBやワンペナならボールを拾って、ペナルティーを課して自分ホールに戻って打ち直せばいい話。でも、セーフの場合はその現場から打ち直さなければなりません。

 まあ、うまい人ならいいですよ。けど、今しがたミスショットをしてボールを曲げたばっかりの人でしょ。そんな人間が林越えなんか、リカバリーできるのでしょうか?

 しかも、頭も心もテンパっている――さてこの問題、どう解決すべきでしょうか。そこは、ワンペナ扱いにしてボールを回収するのが一番懸命な方法です。

 こういったことは、ゴルフ雑誌には書いていません。だって、ルールが絶対ですから。

 でも現実的な対応を見ると、半数以上の初心者がリカバリーショットを打たずにボールを回収しています。それで、いいと思います。

 知らないオヤジに睨まれながらリカバリーショットを試みても、ほとんど失敗します。そして、だんだんゴルフが嫌いになってしまうんですよ。それは、寂しいことです。

 要するに私が言いたいのは、ゴルフはレジャー的要素の強いスポーツですから、もっと楽しくやればいいと思うんですけどね。こういうことを書くと、インチキだとか、ズルだとか文句を言う人がいますけど、初心者は周りに迷惑をかけなければ、さほど厳密にやる必要はないと思いますよ。

(4)真面目にパットをやる
 真面目にパットをやるのは大事ですが、これも周りの進行を見ないと、です。初心者のパーティーは平均スコアがダボ以上になりがち。そうなると、打数が増えてプレースピードが遅くなってしまいます。さらにそこで、短いパットを外して微妙な距離が残ると、どんどん進行が遅れてしまいます。

 そういう時は、オーケーを甘くして進行を早め、態勢を立て直すのも大事です。

 ゴルフって、上級者にとっては打数が少なく、打つ場所も常に平らでラクに感じます。片や初心者は、いつも変な場所から打たされて、打数も増えて疲れるばかり。上級者と初心者との差が激しいスポーツだと思います。

 もうこの際、初心者ルールというのを作って、そのなかで楽しくやってもらう。そういう仕組み作りは大事だと思いますよ。そうすれば、"若害"と呼ばれるゴルファーも少しは減るんじゃないでしょうか。

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