世界で20億回読まれたマンガ『喧嘩独学』、貧乏男子の成り上がり物語生んだヒットメーカーに聞く

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2024年06月25日 08:10  ORICON NEWS

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LINEマンガで配信中の『喧嘩独学』(C)PTJ cartoon company・金正賢/LDF
 昨今のマンガやアニメでは、一度死ぬ、または別の世界に転生して人生をやり直す「転生モノ」が人気だが、主人公が現世界にいるまま、“あるきっかけで身体や考え方が「新しく変わっていく」ストーリー”で話題を集めているのがLINEマンガ7のオリジナル作品『喧嘩独学』だ。弱者である主人公が不良やヤンキーと戦い成り上がっていく喧嘩ストーリーに、「一気に読み進めてしまった」という声が続出。4月からアニメ放送もしており、「おかわりしにきた」というファンも。世界累計閲覧数20億回を超えるヒット作を生み出した原作者のT.Jun氏と、作画担当の金正賢氏に話を聞いた。

【漫画】世界累計閲覧数は20億回! 恥ずかしい姿を動画に晒された貧乏男子高生、壮絶ないじめを乗り越え喧嘩で成り上がるまで

■世界で20億回読まれたマンガ、貧弱な主人公が「喧嘩動画」で人生を逆転

 母子家庭で育った高校2年生の志村光太が、あることを機に「喧嘩」をテーマとした動画で脚光を浴び、“ニューチューバ―”として人生を逆転させていく。喧嘩の知識がない光太が、『闘鶏』と名乗る男による喧嘩を教える動画を発見し、動画通りにトレーニングし次々に勝利を収める。次々と現れる格闘技の強者やライバルたちとの喧嘩シーンや、リアリティのある動画配信の裏側なども描かれ、「没入感がすごい」と多数の読者を獲得している作品だ。

――世界中で人気を集めている『喧嘩独学』ですが、貧弱な主人公が動画配信サイトで喧嘩を独学し成りあがっていく…というユニークなストーリーはどんなところからアイデアが生まれましたか?

【T.Jun】幼い頃から“学園モノ”が好きで愛読していましたが、「彼らはなぜ喧嘩するのだろう」という疑問がずっと頭の中にありました。そのため、喧嘩をする理由を明らかにしたいと思ったんです。そこで、本作は、貧しい生活からの解放、つまりお金に目的を置いたストーリにしたいと考えました。ちょうど当時、YouTubeが流行り始めたころで、「もし喧嘩するとお金がもらえる番組があったら、果たして自分は参加するだろうか?」と考えたことがありましたが、そんな私の妄想を描いたのがまさに『喧嘩独学』です。

――喧嘩シーンが多く登場する作品ですが、作画で心掛けたことや参考にした作品、動画(YouTube)などありましたか?

【金正賢】やはり「喧嘩」が重要な素材となっている作品なので、「喧嘩」の生々しさを表現することを意識していました。喧嘩中の臨場感や迫力はもちろん、キャラクターが感じている苦痛までしっかり伝わるのか考えながら描きました。これは私が今まで読んだすべての作品から様々な影響を受けていると思います。例えば、一人ひとり様々な感情が豊富に描写されていた、藤沢とおる先生の『GTO』(講談社)から、大きなインスピレーションを受けました。

――『外見至上主義』や『喧嘩独学』など、数々のヒット作を生み出してきたT.Jun先生ですが、読者の心を掴むストーリーを生み出すための独自の法則はありますか?

【T.Jun】法則というわけではありませんが、私の頭の中にあるアイデアが世の中に出た際に感動や衝撃を与えることを想像しながら作業しています。『喧嘩独学』は、動画配信サービス(作中では「ニューチューブ」)で喧嘩シーンを配信することでお金を稼ぐ少年が成長していくストーリーです。まずはそういったストーリーラインの構想からはじめ、その後に具体的な人物や状況、シーンなどを創作していきました。私自身が自分のストーリーに対する“確信”を持って作品を描くと、作業はとても楽しくなります。

■人気の“成り上がり”ストーリー、主人公の強さや劇的な成長を見せたい

――『喧嘩独学』は日本で5億回(2024年5月時点)、世界で20億回(2023年12月時点)の累計閲覧数を記録しています。ここまでのヒット作となるために、お2人がこだわった部分は?

【T.Jun】すべての作品に対して言えることですが、この作品は特に、キャラクターの特徴をいかに生かすか本当に深く悩みました。魅力的な悪役が必要だと考えましたが、だからといって悪人を美化するのではなく、喧嘩にも理由が必要であるように、彼らが“悪”にならざるを得ない理由を明確に表現することを、努力しました。そのため、悪人として登場した敵キャラクターが仲間になるような展開も可能でしたし、登場する様々なキャラクターが読者に愛されることができたんだと思います。

【金正賢】作画作業を行なう際、最も気をつけた点はやはり「この人物が生きているか」です。どんなに面白いお話でも、自分の手で描いた人物が「生きている」と感じなければ、作品の面白さは伝わらないと考えているからです。

――主人公がいじめに遭っていたところから成り上がっていくストーリーは、T.Junさんの『外見至上主義』にも通じるところがあります。こういった「人生やり直し」のストーリーがヒットする理由は読者のどんな心理があると思いますか?

【T.Jun】人気のある少年マンガのキャラクターの特徴は、「強い」もしくは「強くなる」の2通りがあると思います。『外見至上主義』と『喧嘩独学』は、生まれ変わりを扱った転生もののように、「人生を一からやり直す」というよりは、とあるきっかけによって主人公の身体や考え方が「新しく変わっていく」ストーリーのマンガです。このような新しい変化の過程のかなで、先ほどお話しした人気キャラの特徴である強さや劇的な成長を見せるために努力しました。読者の方々はこのような部分を気に入ってくださったのではないかと思っています。

――世界中の読者を魅了している本作ですが、横読みマンガの歴史が長い日本でも、webtoonである本作がヒットした要因はどこにあると思いますか?

【T.Jun】「学園モノ」という親しみやすいジャンルの作品なので、まずは気楽に見てもらえたのではないかと思います。縦・横といういったマンガの形式は関係なく、読者を惹きつける力が「学園モノ」にあると強く感じるのですが、「学校生活」や「学生時代」は、世界の多くの人々が直接経験する共通の思い出ということもあるのではないでしょうか。そのような観点で学生時代を扱っている『喧嘩独学』も多くの読者の方々の共感を得ることができたと思います。さらにそれだけでなく、時代に合わせて動画配信サービスを活用するというコンセプトも、面白いと思ってもらえた要素ではないかと思います。

――原作は先日完結を迎えましたが、描き終えてのお気持ちをお聞かせください。

【T.Jun】何よりも、4年以上『喧嘩独学』を手掛けることができて幸せでしたし、いただいたたくさんの応援と励ましに感謝の気持ちでいっぱいです。大変だった瞬間ももちろんありましたが、愛情を込めて育てたキャラクターが特に多い作品なので、その分完結に寂しさもありました。これからも、より面白い作品を通じて読者の方々にまたお会いできるよう努力していこうと誓います。

【金正賢】私は、200話を超える長編作品の連載が初めてだったので、大きな山を越えたと思いました。作家としてステップアップできたという思いで胸がいっぱいです。

■アニメ化は「仲の良かった友だちと卒業後に再会したかのような気持ち」

――連載時から映像化が期待されていた本作。今年4月からはアニメ放送されています。出来上がったアニメを見た感想を聞かせてください。

【T.Jun】すでに連載が終了した作品だったからか、まるで仲の良かった友だちと卒業後に再会したかのような気持ちで、アニメを見たときはとても嬉しかったです。動くキャラクターたちは、webtoonよりもさらに躍動感に溢れていて、登場人物一人ひとりがもう一段階成長したようにも感じました。構成や作画、吹き替えなどの演出を通じて、作品とキャラクターの特徴をしっかり表現し制作してくださり本当に感謝しています。webtoonとは一味違うアニメだけの面白さを感じることができますので、たくさんの方々が『喧嘩独学』のアニメもぜひ楽しんでいただければと思います。

【金正賢】創り出したキャラクターが、私の頭の中だけではなく、映像の中で動いたり声を出しているのを見てとても不思議でした。

――アニメから原作マンガを読む人も増えるかと思います。これからマンガを読む人へ向けて、注目のポイントやお2人が面白いと思う部分をお聞かせください。

【T.Jun】全体的なストーリーやキャラクターは、webtoonとアニメで大きく変わらないため、webtoonで『喧嘩独学』をご覧になる際は、作品の中の「ニューチューブコメント」など、細かい部分に注目していただくことをお勧めします。webtoonとアニメではメディアの性質が異なるため、アニメの制作や視聴時には意図的、もしくは意図せず見逃してしまう部分があると思います。このような小さな部分にも、思いがけないユーモアや笑いがあるので、webtoonでご覧になる際はじっくりと、その面白さをぜひ感じていただければと思います。

【金正賢】アニメでは分量の関係上、省略されてしまったストーリーのなかにも面白い場面がたくさんあります。ぜひwebtoonでも、光太の成長を最後まで見守っていただければと思います!

――今先生が注目しているwebtoon作品やジャンルがありますか?

【T.Jun】正直なところ、最近は他のwebtoonをあまり読めずにいます…。webtoon以外のマンガでは、忙しくなってしまう前に『チェンソーマン』や『SPY×FAMILY』(ともに集英社)を楽しく読んでいました。実は最近、次の作品のために少し慌ただしく過ごしています。以前から構想していたファンタジーアドベンチャージャンルで、年内の連載を目標に作業しています。これまで挑戦したことのない新しいジャンルですし、ストーリーやキャラクターのスケールが大きいため、たくさんの時間をこの作品の準備に割いています。一生懸命描いているので、ぜひご期待ください。連載が始まりましたら、みなさんのたくさんのご関心と応援をお願いします。

【金正賢】私も最近は新連載で慌ただしい日々を送っているので、webtoonはあまり読めていません…。私がストーリーを務めている新作『コードネーム:バッドロー』がLINEマンガで配信中ですので、こちらもぜひ応援してください。

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