【前編】磯村亮太×鹿山拓真〜成長を実感できるセカンドキャリアの魅力。それはスポーツと同じ〜

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2024年06月25日 11:36  サッカーキング

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[写真]=野口岳彦
元アスリートに聞くファーストキャリアとセカンドキャリアのこと。磯村亮太と鹿山拓真は現在ともにマイナビに勤務し、アスリートの就職・転職を支援する『マイナビアスリートキャリア』のキャリアアドバイザーとして現役アスリートと向き合う2人に、現役時代からのセカンドキャリアに対する考え方、引退から就職までの流れやキャリアにおける展望について話を聞いた。

取材=細江克弥
撮影=野口岳彦

現役引退の決断と、セカンドキャリアを見つけるまで。

――おふたりとも2022シーズン限りで現役を引退し、現在は『マイナビアスリートキャリア』を通してアスリートのキャリア支援を仕事としています。まずは、セカンドキャリアについて現役中に考えていたことを教えてください。
磯村 プロとしてのキャリアは“太く短く”が理想だと思っていました。でも自分の場合は“太く”はできなかったので、“細々と”という感じになってきた時に「次」を考え始めました。ひとつの基準として設定していたのは、J1リーグでプレーすること。そこを目指せないのであればサッカー選手としての道はあきらめなければいけないのかなと考えていたんです。それが、ちょうど30歳くらいのこと。ただ、その時点で“次にやりたいこと”が明確にあったわけではないので、自分自身の気持ちを確認しながら少し様子を見る時間がありました。

鹿山 僕の場合、学生時代から自分がプロになることをはっきりと想像できたわけではなかったので、正直に言えば、プロになれたことが“ゴール”のような感覚がありました。ケガや病気に悩まされる時間が長かったこともあって、引退を決断した際にも他クラブからオファーをいただいていたんですけれど、同じ挑戦を“繰り返す”ことより次に進むことを決めました。

――プロスポーツの世界にしかない“勝負”の感覚を捨ててしまうことに対して、怖さを感じることはなかった?

鹿山 その感覚は、かなりありました。ただ、それって外の世界を“知らないからこその怖さ”でもあると思ったんです。だから自分の意志で飛び出すことが大事だと思っていたし、自分は大学時代から資格を取得したり、心の準備をしてきたつもりだったので、まだ冷静に向き合えたほうかなと。落ち着いて考えれば、それまでまったく知らなかった世界を知れることにワクワクしました。

磯村 そうやって心の準備を進めていたことがすごいし、うらやましい(笑)。自分なんて30歳を過ぎてからの決断だったので、心の中では「サッカーから離れたい」と思っていたけれど、「今さらサッカー以外の世界に行けるわけがない」という思いもかなり強くあって。指導者になることに対しての興味がなかったわけじゃないから、そっちの道も考えたんですよね。



――その道を選ばなかった理由は?

磯村 自分が指導者になったとしても、プロにならせてあげられる選手は本当にわずかしかいない。だったら、プロになれない“大多数”の選手たちに対して、生きていく上で大事なことを教えられる人になりたいと考えたんです。だから、一度サッカーの外の世界に出て、いろいろなことを学んで、もしもまたサッカーの世界に戻りたいと思ったら考えればいい。いろいろな経験を積むために、今しかできない経験を優先しようと。

――その時点で考え方が固まって、それからどのようにして『マイナビアスリートキャリア』にたどり着いた?

磯村 色々な方に相談する中で人づてにマイナビの社員を紹介してもらいました。「まずはその人に相談してみよう」と。それをきっかけに、マイナビのエージェントに力を借りながら一般的な就職活動をしました。全部で10社くらい受けたと思うんですけれど……正直なところ、自分がいったい何をやっているのか、当時はよくわかってなかった気がします(笑)。

――なんとなく理解できます(笑)。鹿山さんも就職活動を?

鹿山 イソくん(磯村)と同じで、はじめは知人に紹介していただいた企業の面接を受けてみました。でも、どうしてもそこで働いている自分をイメージすることができなくて。時間をかけていろいろな道を探っている中で、マイナビを紹介してもらったんです。僕自身は地元の長崎に戻ること、それから大学院に通いながら働きたいという希望がはっきりとあったんですが、ちょうどタイミングよく、長崎でアスリートのキャリアをサポートする今の仕事をやらないかという話をもらいました。本当にタイミングがよかったんですよね。



長崎でチームメートだった2人の現役時代。

――磯村さんは名古屋グランパス、アルビレックス新潟、V・ファーレン長崎、栃木SCと4つのクラブに在籍しました。10代の頃からU-18日本代表候補に選出されたり、試合出場はなかったものの2012年には日本代表に選出された経験もあります。

磯村 名古屋グランパスのアカデミーに在籍していた10代の頃は、それほど強い野心を持っているタイプではありませんでした。高校生になってからようやく「プロになれるかも」と思い始めた程度で、自分の中は「ついていくのに必死」という感覚だったんです。だから、肩書ほどの順調さは、実はそれほどなかったというか。

鹿山 いや、でも僕から見ればイソくんは“超エリート”ですよ(笑)。

磯村 いやいや、そんなことないから。

鹿山 僕なんて普通の小学校でサッカーを初めて、普通のレベルの中学で挫折して……。高校でもプロになれる可能性を感じたことなんてほとんどなかったので、大学に行って、普通の社会人になるんだろうなと思っていました。



――そこからどうやってプロの道に?

鹿山 元プロ選手の方に出会う機会があって、その方があまりにもカッコよかったので「自分も目指したい」と思ったんです。それから真剣に練習に取り組んで、少しずつ力が評価されるようになって、少しずつプロへの道が開かれていったという流れでした。

――で、その後、ふたりは2018年からV・ファーレン長崎でチームメイトになるわけですよね?

鹿山 イソくんのことで強烈に覚えているのは、2019年の天皇杯準決勝、鹿島アントラーズ戦です。自分もイソくんもスタメンで、僕はめちゃくちゃ緊張していたんです。J1リーグの強豪である鹿島アントラーズと対戦することもそうだし、「勝てば決勝」という緊張感もあって。でも、イソくんは経験があるから平然としているんですよね。で、みんなで円陣を組んでいる時に、こう言ったんです。「この試合を楽しめなかったらプロサッカー選手じゃねえよ」と。普段はそういうことを言うタイプじゃないのに、急に。かっこいい。

磯村 まったく覚えてない……。

鹿山 僕自身がその試合でそれほどいいプレーを見せられたわけじゃないけれど、あの言葉のおかげで僕自身が楽しむことはできたんです。そのシーンが自分のキャリアの中でもものすごく印象的で……だから、イソくんのファンみたいな感じでした(笑)。

磯村 僕は2018年の夏に長崎に移籍したんですけど、その最初のミーティングの時に、当時まだ大学生だった鹿山が特別指定選手としてチームに合流しますという挨拶をしていて、それを今でも覚えているんです。次の年から正式にチームに加入して、期待されていたけれど、プロの世界はそんなに簡単じゃない。あの天皇杯準決勝は、そういう状況の中で鹿山がスタメンを掴み取った試合だったので、「頑張れよ」という気持ちが強かったんだと思います。

――なるほど。じゃあ、現役時代にかなり濃い時間をともにした先輩と後輩という間柄だったわけですね。

磯村 本当に。まさか同じ会社で働くことになるなんて、思ってもみなかったですよ。ほとんど同じタイミングで入社したこともあって、聞いた時はかなりびっくりしました。

【磯村亮太プロフィール】
株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部 キャリアアドバイザー。名古屋グランパスU-15、U-18を経て、2009年に名古屋グランパスのトップチームへ昇格。名古屋グランパス在籍期間には、J1リーグ制覇や、日本代表への選出も経験するなどトップレベルで活躍。その後、アルビレックス新潟、V・ファーレン長崎、栃木SCへと移籍。2022年シーズンをもって現役を引退。Jリーグ通算189試合8得点と結果を残す。2023年、株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部に入社。現在はキャリアアドバイザーとして、競技と仕事を両立させる「デュアルキャリア」の支援や、引退後の働き先となる「セカンドキャリア」の支援、体育会学生の就職支援などに従事。

【鹿山拓真プロフィール】
株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部 キャリアアドバイザー。小榊サッカースポーツ少年団、長崎南山中学校、長崎南山高校を経て、東海学園大学へ進学。大学3年次の2018年3月7日に、V・ファーレン長崎へ加入することで仮契約。同年3月29日に特別指定選手に承認され、V・ファーレン長崎に選手登録された。同年4月4日のルヴァンカップ・グループステージ第3節サガン鳥栖戦で、公式戦初出場・初得点を記録した。2021年7月24日、カターレ富山へ期限付き移籍。シーズン終了後に完全移籍。2022年11月28日、現役引退を発表。2023年、株式会社マイナビ アスリートキャリア事業部に入社。同年、大阪体育大学大学院に入学。元・Jリーガーであり、現在は「マイナビアスリートキャリアのキャリアアドバイザー」、「大阪体育大学大学院の学生」、「実業団チームのサッカー選手」という3つの顔を持つ。

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