JA共済が「世界銀行防災グローバルフォーラム2024」に出展 各国関係者が大地震の揺れを体感

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2024年06月25日 16:20  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
6月16日〜21日にわたり、姫路市文化コンベンションセンターで開催された「世界銀行防災グローバルフォーラム2024(Understanding Risk Global Forum 2024 (UR2024))」にJA共済が出展。国内外の防災に関わる政府関係者やNGO、企業や専門家が来場した本フォーラムで、「ザブトン教授の防災教室」を実施した。



防災特別授業として全国各地の防災イベントなどで展開されてきたという同プログラムを実際に会場で体験してきた。

○■大きな揺れの中で人間は無力…大切な事前の備えは?



「防災グローバルフォーラム」は災害リスクやその削減について話し合うフォーラム。世界中から数百名の防災に携わる政府関係者、NGO、企業や専門家が集まり、自然災害のリスクをより理解するための新たな取り組みや防災・減災に取り組む上での最新の課題などについて議論される。



2年に一度、世界各地で開催されており、姫路市での開催はアジアで初めての開催となった。


安全で安心を実感できる地域社会づくりへの貢献を掲げ、共済事業を展開しながら、事前に被害を減らす防災・減災に向けた活動にも取り組むJA共済は、本フォーラムの会場にブース出展。防災に対する意識を高めてもらうための体験学習型プログラム「ザブトン教授の防災教室」を実施した。


「ザブトン教授の防災教室」は白山工業と東工大が共同で開発したイス型の地震動体験装置「地震ザブトン」を用いて、過去に発生した大震災の揺れを体験。災害が多様化・多発化する昨今、とくに甚大な被害をもたらす地震を想定して、日頃から地震に備えることの必要性を再認識できるというプログラムだ。

「サウジアラビアやオランダ、タジキスタンなど、さまざまな国の来場者の方に体験していただいています。地震が多い国・少ない国それぞれありますが、初めてこうした体験をされる方が多いようで、みなさん非常に驚いている様子でした。日本がこうした大きな地震が多い国であることも理解いただけているようです」(JA共済連ブース担当者=以下同)


2020年にJA共済のプログラムとして始まり、これまで全国各地の防災イベントなどで展開されてきた「ザブトン教授の防災教室」。とくに大切な地震対策として家具固定の大切さを伝えている。



「家具固定は最も費用が掛からず、確実な効果が見込めます。プログラム全体の流れとしては、まずQ&Aなどによって大地震について考え、『地震ザブトン』で過去の地震を体感することで、実際に地震が起きて大きく揺れている状況では何も行動できないことを感じていただく。その上で家の中の安全対策について学び、事前に『備える』という具体的な行動につなげていただくというようなプログラムになっています」


地震体験メニューは阪神・淡路大震災、東日本大震災、新潟県中越地震や平成28年熊本地震など主に7種類。そのほかにも能登地震では珠洲市や穴水町の地震計データなどもあり、近年の日本で起きた大地震はひと通り体験できるようだ。

○■実際の地震計データで精緻に揺れを再現

直下型・海溝型といったタイプや、震度・場所によって地震の揺れ方は大きく異なるが、「地震ザブトン」では実際の地震計の記録を活用することで、地面の揺れ幅の大きさ、加速度、動き方などを機械の中のモーターで精緻に再現しているという。


「地震ザブトン」は最大5m×5mの範囲を動くことができ、正確に水平方向の揺れを体験できるが、体験者の身体への負担を考慮し、それぞれの地震の揺れの再現時間は実際よりも短く約30秒〜90秒で再現しているそうだ。また、開発当初は縦揺れの再現も検討されたそうだが、同様の理由で垂直方向の揺れは再現していないという。


より幅広い年齢の人たちが参加しやすいプログラムとなっているようで、プログラム全体の一人当たりの体験時間としては2〜3分ほど。体験メニューとしてはスクリーンで映像を見るパターンと、VRゴーグルを装着するパターンを用意している。



本フォーラムの会場が姫路ということもあってか、震度7を記録した阪神・淡路大震災の揺れをリクエストする体験者が多いようで、ブースに訪ねる人が途切れず順番待ちも発生していた。


阪神・淡路大震災は、地盤が固い兵庫県神戸市中央区や地盤の柔らかい神戸市須磨区(JR西日本鷹取駅)の地震計のデータから、地震の揺れが再現されていた。地盤の柔らかい地点での揺れはゆったりとしたリズムで振幅が大きいことなどが特徴だという。



阪神・淡路大震災と同じくプレートがひび割れて起こる直下型地震で、「前震」「本震」ともに震度7を記録した「平成28年熊本地震」の揺れの再現には、益城町役場の地震計のデータを活用。より震源が浅い直下型地震の揺れの特徴を体感できる。


一方、東日本大震災に代表されるプレートが跳ね上がって起こる海溝型地震だが、3分以上揺れが続くと想定されている南海トラフの地震なども予測データによる体験できるとのことで、実際に筆者も体験してみた。



マグニチュード8.0の東海地震が起こった場合、震源から200km以上離れた東京都新宿区にある高層階(鉄骨造30回建てビル、30階)が、どのように揺れるのか計算した結果を再現したという。


両振幅2mを超える大きな横揺れは、机の下などに避難しても放り出されてしまいそうな揺れだ。80秒ほどの体験だったが、実際の計算では約6分間にわたって揺れが続くそうで、その継続時間の長さも全身で感じられた。



「やはり地震では事前に備えることが大事。このコンテンツを通じて、多くの人に自分ごととして地震を捉えていただき、立ち上がることもできないような大地震の揺れを体験することで、自分の身を守るための対策の必要性を伝えていきたいと思っています。防災イベントなどを中心に今後も積極的に本プログラムを出展していく予定です」(伊藤綾)
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