お迎え後にエイズ感染が発覚したサビ猫。飼い主さんに守られながら暮らす“現在の姿”にほっこり

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2024年06月26日 16:20  女子SPA!

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【今日のにゃんこタイム〜○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.146】

「りんご猫」とは、FIV(ネコエイズウイルス)に感染している猫のこと。FIVはHIV(ヒトエイズウイルス)とは違って人にはうつらず、一生発症しないまま、ニャン生を終える猫もいます。

 しかし、そうした情報は正しく広まっているとはいいがたく、FIVキャリアの子は里親が決まりにくいのが現状。cenzankou(@cenzankou)さん宅で暮らすサビ猫きなこちゃんも、りんご猫。

 飼い主さんは動物愛護センターから、きなこちゃんを迎え入れました。

◆動物愛護センターからの譲渡後に「FIV」が判明

 2017年、飼い主さんは里親募集サイトにて“命の期限”がついているサビ猫を探していたところ、動物愛護センターに収容されているきなこちゃんを発見。ボランティアさんの話しかけにお返事する姿を見て、引き出してあげたいと思いました。

 FIVであることが判明したのは、譲渡後。血液検査を行った結果、陽性反応が出たのです。

「検便ではマンソン条虫と瓜実条虫が出たので、外暮らしでカエルなどを食べていたようです」

◆警戒心強めかと思いきや……

 譲渡時から歯肉炎があり、前歯は3本。歯はFIVに罹患した時に顔が腫れて抜けたと考えられています。

 お迎え当日、きなこちゃんは脱衣所にある洗濯機の上でじっとしながら威嚇。そのため、飼い主さんは脱衣所に猫トイレを置き、洗濯機の上でご飯を食べてもらいました。

 警戒心強めな姿から家慣れには時間がかかるかと思いきや、お迎えから3日目、きなこちゃんの態度に嬉しい変化が。ご飯の後、飼い主さんの膝に乗ったり、ズボンで爪とぎしたりと、怖がりながらも甘えてくれたのです。

◆お喋り好きで謎の“パンチ癖”を持つ愛猫との日常

 ただし、人が立つ、座るなどするとベッド下へ逃げ込んでしまったそう。そこで、飼い主さんは「見えてません・構いませんアピール」をし、甘えてきた時にだけ撫でることにしました。

「しばらくはベッドの下が住処でしたが、迎えて1ヶ月半を過ぎた頃、初めて私のベッドに上がり、布団の上で丸くなってくれました。それから半月後には枕に乗り、顔に寄りかかってくれたんです」

 共に暮らす中で、飼い主さんはきなこちゃんの愛くるしさをたくさん知りました。お喋り好きのきなこちゃんは飼い主さんが話しかけると、かわいくお返事。サイレントニャーを返してくれることもあります。

 また、撫でていた手を引っ込めようとすると、なぜか猫パンチを繰り出してくるというかわいい癖も。

「空のフード皿を下げる時も、私の手をパンチします。あと、猫トイレのシーツ交換を始めると走ってきて、そばに座って見届けます(笑)」

◆FIVとうまく付き合いながらシニア期を謳歌

 現在、きなこちゃんは8歳。FIVと上手く付き合いながら、シニア期を謳歌。

 FIVの子が戦わなければならないのは、病気ではなくストレスなのかもしれない。一緒に暮らす中で、そう感じた飼い主さんは、ストレスを与えない生活を意識しているそう。室温は高めになるように心がけ、夏と冬にはエアコンを常時稼働させています。

◆体重の維持にも気を配る日々

 また、同居猫つみれちゃんが2022年に亡くなってから、きなこちゃんは特発性の膀胱炎を発症したため、体重の維持に気を配りつつ、療法食を与えているそう。

「尿路疾患には肥満も関係あるとのことなので、気をつけています。水分は白湯にチュールを垂らして補っています」

◆猫を迎えたことで“人間らしい暮らし”が送れるようになった

 きなこちゃんを迎えたことで、飼い主さんの生活には大きな変化が起きました。なんと早く帰宅できるよう、残業が多い会社から転職。社畜生活を卒業したことで、生き方が人間らしくなったと感じるようになりました。

「私のように、命の期限がある子を引き受けてFIVキャリアだった例は多いと思いますし、発症していなくてもFIVが発症することもあります。その時は絶望したり落胆したりするのではなく、病気ごと、その子の全て受け入れてあげてほしい。そうすれば、したほうが良い治療、しなくてよい治療も見えてくると思います」

 そうアドバイスをする飼い主さんは、FIVキャリアの子も「幸せにならなければいけない猫たち」と考えており、世のりんご猫たちに幸せなニャン生を全うしてほしいと思っています。

 人も動物も何か抱えているものがあると敬遠されたり、必要以上に距離を取られたりすることがあるもの。

 しかし、相手が抱えているものを正しく知ると、付き合い方や受け止め方が見えてきたり、愛しさが募ったりすることは多いはず。小さな命に対しても、そんな優しさを向ける人が増えてほしいと切に願います。

<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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