ポーラHDが「化粧文化ギャラリー」を開設 歴史的価値が高い文献や資料を公開

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2024年06月26日 19:21  Fashionsnap.com

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化粧文化ギャラリー 展示室

Image by: ポーラ文化研究所
 ポーラ・オルビスホールディングスで化粧文化に関する研究活動を行うポーラ文化研究所が、南青山の新オフィス移設に伴い、「化粧文化ギャラリー」を開設した。1976年の設立以来、日本および海外の「化粧文化」にまつわる文献資料、作品、貴重なアイテムの数々を展示するほか、ワークショップなどを開催。古くから人々の生活に根ざしてきた「化粧」を文化的なものとして発信することで新たな視点を与えるとともに、開かれた議論の場となるよう運営していく。

 ポーラ文化研究所は、同社の2代目社長でアートコレクターでもあった鈴木常司氏が、1976年に設立。化粧を「人々の営みの中で培われてきた大切な文化である」と捉え、化粧文化に関わる収集保存、調査研究、公開普及に取り組んでいる。古代から現代まで、化粧道具や装身具、絵画資料、文献など約6500点のコレクションを持ち、「トルクメンの装身具」「コックス・コレクション」といった世界的に稀少性が高い資料も所蔵している。また、化粧品販売事業を活かし、現代の化粧に関する消費者調査などをも実施し、結果を公開することで近代の化粧文化の変容の豊富な資料も有する。2007年からはデータの一部を東京大学SSJデータアーカイブに寄託し、文化研究の発展にも貢献している。
 オフィス移転前から一般公開向けの展示企画は行っていたが、一般企業のオフィス内での展示ということもあり、研究者や学生などの来訪者が多かったという。オフィス移転を機に、より多くの人に化粧文化の面白さを伝え、興味を持ってもらうため、化粧文化ギャラリーを開設。期間ごとにテーマを変えた企画展を開催し、絵画や調度品、化粧道具など幅広いカテゴリーから厳選したアイテムを展示するほか、企画テーマと連動した切り口で選書した書籍や資料を揃える。また、以前からリアルとオンラインで行っていたレファレンスサービスを継続し、個人や企業、団体、研究従事者などを問わず、化粧文化に関する質問や相談に応える。そのほか、公式サイトで「デジタルミュージアム」も公開。これまで企画開催してきた展覧会をデジタル上で再現し、約1000点の所蔵品や絵画資料などを掲載している。
 開室は予約制の木曜日とフリーオープンの金曜日の週2日。木曜日はギャラリートークやワークショップ、レファレンスといった予約制プログラムを実施し、金曜日は誰でも予約なしで入室が可能。フリーオープンの場合も学芸員やポーラ文化研究所のスタッフが常駐し、作品や書籍に関する質問に答えてくれるほか、解説を聞くことができる。
 オープニング第1期は「化粧文化研究のはじまり」をテーマに、同研究所の創設期に収集した婚礼化粧道具や浮世絵などを展示。浮世絵からは当時の化粧の習慣や使用されていた道具、流行りの化粧などを読み取ることができる。また、婚礼化粧道具は実際に使われていたとされるセット(一部)で、お歯黒を施すための道具なども公開している(時期により展示品を変更する可能性がある)。
 関連した予約制ワークショップは、おしろい体験(人体に害を与えない成分で構成)やかんざしを再現した模型に触れるプログラムなどを用意。また、ワークショップ参加者は、歴史上の女性がたしなんできた化粧をバーチャルで体験できる専用アプリ「BEAUTY TRIP」を試すことができる。
 ポーラ文化研究所の富澤洋子 学芸員・司書は、「化粧文化の研究は、当時の生活や社会情勢とも深く関わっています。単なる“昔の化粧”というだけではなく、どんな化粧を誰がたしなみ、なぜ流行ったのかをひも解いていくと、当時の生活が鮮やかによみがえります。研究資料として訪れる方も少なくありませんが、親子や学生さんもいらっしゃいます。化粧というものが古くから人々に親しまれ、生活だけでなく心まで支えていたものとして、現代に通ずる点も多いです。化粧をする人もそうでない人も、古代から現代まで化粧というものがどのように変化し、また変わらずにあり続けるか、興味を持っていただけたら嬉しいです」と語った。

■ポーラ文化研究所「化粧文化ギャラリー」所在地:東京都港区南青山2-5-17 ポーラ青山ビルディング 1階開室日:木曜日・金曜日(祝日・年末年始は閉室)※木曜日は予約制開室時間:11:00〜17:00(最終入室は16:30まで)入場料:無料公式サイト
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