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前回からの続き。私は山崎ノリコ(38歳)、子どもは小学生のユリカと年中のケントのふたりです。夫のマコトはメーカーの営業係長。わが家は夫がとても忙しく家事や育児はほぼ私のタスク。ワンオペ状態です。結婚当初から深夜残業や休日出勤、出張などでとても忙しい人でした。子どもが生まれてからも、それは変わることはありません。
長らく専業主婦として生活してきましたが、下の子が年中に上がったタイミングで仕事を始めました。そこで「中川タツヤ」と出会いW不倫の関係になったのです。しかし奥さんにバレてしまい……私は思い切って奥さんに直接「離婚してタツヤさんと結婚したい」と伝えましたが、聞き入れてもらえませんでした。その後……私は奥さんとふたりで電話をすることになったのです。
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何でこんな話を私にするのだろう……やり場のない悲しみを打ち明けずにはいられなかったのかもしれません。
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結婚式はそれはもうたいへんな祝福ムードだったのでしょう。私のせいだとしても、それを不倫をして反故にした彼に違和感を覚えずにはいられませんでした。
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「そんなところが前からあるんだよね」とつぶやく奥さんには私にはないものを感じました。
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私は現実が何も見えていませんでした。夫がイヤで離婚したかった……お金や生活、家族のことを考えず。目の前に現れた男に「一緒にいたい」と言われたら、現実から逃げて突っ走って……バカなのはわかっていましたが、自分を止められませんでした。
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そう、絞り出すのが精一杯でした。タツヤが私に見せてきた上辺だけの姿。私なんかよりはるかに強固な絆が奥さんとタツヤとの間に存在していました。
私なんかこれっぽちも入り込む余地などなかった。浮かれていた気持ちが夜風とともにすーっと冷めていくのが分かりました。
電話を切って、その日見上げた星と月の見えない夜空を一生忘れられない。いまでもこの日の景色は、鮮明に思い出すことができます。一生をかけた恋が終わりを迎え、彼の姿を見たのが最後になったあの日の夜のことを……。
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原案、脚本・編集部 作画・加藤みちか 編集・横内みか