【陸上】“二刀流ハードラー”豊田兼、初の五輪切符獲得へ好発進「こういうレースができたのは初めて」

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2024年06月28日 04:46  日刊スポーツ

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日本陸上選手権 男子400メートル障害予選、1位でゴールする豊田(中央)(撮影・垰建太)

<陸上:日本選手権>◇27日◇第1日◇新潟・デンカビッグスワンスタジアム◇男子400メートル障害予選



“二刀流ハードラー”が初の五輪切符獲得へ好発進を切った。慶大4年の豊田兼(21)が48秒62で予選トップ通過し、自身3度目の参加標準記録(48秒70)超え。195センチの長身を生かしたストライドの大きな走りで、2着に0秒40差をつけた。今日28日の決勝で優勝すればパリ代表に一発内定。3位以内でも代表入りが濃厚となる。今大会は29日に予選を迎える110メートル障害にも出場予定。日本人初のハードル2種目での五輪出場へ突き進む。


   ◇   ◇   ◇


豊田が息を切らしながらほほ笑んだ。リラックスして走り切り、予選で唯一の48秒台。「こういうレースができたのは初めて」。余裕を持って前半を駆け、後半でも体がブレない。軽やかにハードルを越え、最終10台目以降は流しながらフィニッシュ。「力はついてきている」とうなずいた。


今大会はハードル2種目に臨む。ともに10台のハードルを越える点は共通するが、障害の高さとインターバルの距離が異なるため、国内ではどちらかに絞る場合がほとんど。ただ豊田は「新しいロールモデルを目指したい」と高校時代から両立を貫いてきた。それを可能とする一因が、身長195センチの体をコントロールする力。高野大樹コーチは「大きな選手は体が動かない場合も多いが、うまく操作している」と評価する。


体だけでなく、自分をコントロールする力も身についてきた。昨夏からは「この試合でタイムを狙う」「連戦になると足が不安」と、自らコーチへ意見を伝える場面も増えた。その姿勢は結果にも表れ、8月に学生の世界大会で110メートル障害を制し、10月に400メートル障害で参加標準を突破。今は「想定プラン通りに走れば勝てる」と自信も口にする。


今日28日の決勝は、優勝で代表入りが決まるが「48秒1〜2台を狙っていきたい」と自己記録48秒36超えを目指す。「片方の種目ならもっとスキルを極められたかもしれないが、両立するほうが相乗効果を生むかもしれない。今回の結果でそれが分かる」。名前の通り、屈強な心身と自信を“兼”ね備えたハードラーが、日本初の両種目でのパリ切符をつかみにかかる。【藤塚大輔】


◆豊田兼(とよだ・けん)2002年(平14)10月15日、東京都生まれ。フランス人の父、日本人の母を持つ。小学生から陸上を始め、偏差値70を超える進学校の桐朋高で本格的にハードルに取り組む。21年に慶大へ進学。23年ユニバーシアード110メートル障害で金メダル。自己記録は110メートル障害が日本歴代6位の13秒29、400メートル障害が同5位の48秒36。身長195センチ。

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