企業の想定為替レートは平均1ドル140.88円、前年より13円27銭の円安想定

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2024年06月29日 06:30  ITmedia ビジネスオンライン

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企業の想定為替レートは平均1ドル140.88円、前年より13円27銭の円安想定

 日本銀行は3月19日に17年ぶりに政策金利の引き上げを行ったが、円安は続いている。帝国データバンク(東京都港区)は、企業の設定(想定)為替レートについて調査を実施した。5月時点での企業の想定為替レートは、平均1ドル140.88円(以下、1ドル当たりの円レート)となり、前年4月の127.61円から13円27銭安と、大幅な円安水準を想定していることが分かった。


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 中央値は145円、最頻値は150円。想定為替レートの分布をみると最も割合が高かったのは「146〜150円」で、企業の24.7%が回答した。次いで「156円〜」(13.9%)、「141〜145円」(11.4%)、「151〜155円」(11.1%)、「136〜140円」(11.0%)が10%台で、130円台後半以上を想定する企業が7割を超えた。


 企業からは「企業業績としては為替が追い風となる」(135円、ゴムベルト製造)、「インバウンド訪日客の増加でにぎわいがある」(150円、損害保険代理)など、円安の好影響を受けた意見がみられた。一方で、「円安による価格の高騰、販売価格の上昇にともなう販売数量の減少で利幅、売上高とも減少」(112円、家庭用電気機械器具卸売)といった、物価高騰が悪い方に作用したという声も挙がった。


●想定為替レートを業界別にみると?


 想定為替レートを業界別にみると、最も円安だったのは「農・林・水産」(147.59円)、次いで「卸売」(144.30円)、「製造」(141.09円)、「金融」(140.44円)と、これらが140円台を想定していた。一方、「不動産」は131.71円と130円台前半にみていることが分かった。最も円安水準の「農・林・水産」と、円高水準の「不動産」には、15.88円の差があった。


●輸出入別では?


 輸出入別にみると、事業として直接または間接的に「輸出」を行っている企業では143.11円、「輸入」を行っている企業では144.56円という結果になり、輸入企業は輸出企業より1.45円程度円安の水準を想定していた。特に「直接輸入のみ」(145.89円)の企業は、「直接輸出のみ」(141.98円)の企業よりも3.91円程度の円安の水準を想定しているようだ。


 企業規模別で見ると「大企業」は144.16円、「中小企業」は141.54円、中小企業のうち「小規模企業」は138.14円と、規模が大きくなるほど円安を想定する傾向が見られた。また「直接輸入のみ」を行っている企業では、「大企業」(146.22円)は「小規模企業」(142.98円)よりも3.24円の円安水準を想定していた。


●企業の規模別では?


 調査の結果、2024年度の想定為替レートは平均140円88銭だった。また、直接輸出のみを行う企業と直接輸入のみを行う企業では収益への影響が逆方向に働くこともあるため、直接輸入企業は3.91円の円安水準を想定していることが分かった。


 帝国データバンクは「2017年以降、実際の外国為替レートと想定レートに大きな差異はなかったが、2021年後半以降の実勢レートは想定レートよりも大幅に円安の水準が続いている。引き続き実勢レートとの乖離(かいり)による輸入物価を通じた企業収益の悪化を招くリスクに注視する必要があるだろう」とコメントしている。


 今回の調査は、想定為替レートを設定している企業2466社を対象に分析した。期間は5月20〜31日、調査対象は全国2万7104社で、有効回答企業数は1万1410社。


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