【陸上】橋岡優輝「忙しい1カ月になる」“スプリンター並み”助走でパリ五輪メダルへ

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2024年06月30日 07:01  日刊スポーツ

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男子走幅跳決勝、優勝しパリ五輪代表を決め、記念ボードを手にする橋岡(撮影・垰建太)

<陸上:日本選手権>◇29日◇第3日◇新潟・デンカビッグスワンスタジアム◇男子走り幅跳び決勝



東京オリンピック(五輪)6位入賞の橋岡優輝(25=富士通)が、パリ五輪代表に内定した。追い風2・4メートルで7メートル95(参考記録)をマークして2年ぶり6度目の優勝。3月にパリ参加標準記録を1センチ上回る8メートル28をマークしており、優勝すれば内定の選考基準を満たした。


21年の自己記録8メートル36は、昨夏の世界選手権銅メダル相当で、パリでは日本勢同種目88年ぶりの表彰台入りが目標。22年秋の渡米後に磨いた全力で駆ける助走スタイルで、ビッグジャンプを見せる。


 ◇   ◇   ◇


橋岡の表情はさえなかった。


「自分でも言葉を失うくらい。(五輪)1カ月前でこれはヤバい」


全6回の試技で1度も8メートルに届かなかった。優勝を収めたが「手応えはなかった」と悔しさをあらわにした。ただそれは、高みを目指しているからこそ。この日もいつものように「スプリンター」と繰り返した。


東京五輪で快挙を遂げてから1年以上が過ぎた頃。22年11月に米国へ渡り、男子100メートルのサニブラウンら短距離界のトップレベルが集うタンブルウィードTCに拠点変更した。


レイナ・レイダー・コーチから「スプリンターになれ!」と言われる日々が始まった。従来のリズム感のある助走から、全力で駆け抜けるスタイルに着手。助走距離は約8メートルも短くなった。


チーム内で走り幅跳びの選手は1人だけ。練習では短距離選手たちと一緒に走り込んだ。男子選手に引き離さるたびに「9秒台って速いんだな」と思い知らされた。


ただ、渡米から1年以上が過ぎた今年の春先には「いい形で勝負できるようになった」と成長も実感。「強くなるためであれば、どれだけ苦しんでもいい」と地道に成長を続けてきた。


この日の試合の合間も、米国のレイダー・コーチと練習仲間のサニブラウンから「もうちょっと走ったほうがいいぞ」と連絡を受けながら、全力で駆け込んでいった。前半3回の試技では「別人」と納得のいく助走はなかったが、ファウルになった最終6回目は「最低限の最低限」と光も見えた。


パリ五輪まで約1カ月。自らに言い聞かせるようにつぶやいた。


「忙しい1カ月になる。人は関係ない。自分がどれだけ跳べるか」


スプリンターばりの助走を完成させ、1センチでも遠くへ跳ぶ。【藤塚大輔】


◆橋岡優輝(はしおか・ゆうき)1999年(平11)1月23日、さいたま市生まれ。岸中で競技を始め、東京・八王子学園八王子高から走り幅跳びに専念。高3時に高校総体、国体、日本ジュニア選手権で3冠獲得。18年世界ジュニア選手権で金メダル。21年東京五輪で日本勢37年ぶりに決勝進出し6位入賞。自己記録は8メートル36。身長183センチ。

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