【陸上】メダル狙える!村竹ラシッド今季世界6位タイの好記録で五輪切符獲得「12秒台出せれば」

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2024年06月30日 21:03  日刊スポーツ

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男子110メートル障害決勝 優勝でパリ五輪を決め写真に納まる村竹(撮影・垰建太)

<陸上:日本選手権>◇6月30日◇第4日◇新潟・デンカビッグスワンスタジアム◇男子110メートル障害決勝



村竹ラシッド(22=JAL)がパリ五輪代表に内定した。今季世界6位タイの13秒07(追い風0・2メートル)で初優勝し、自身6度目の参加標準記録(13秒27)突破。優勝すれば内定となる日本陸連の選考基準を満たした。自身が保持する日本記録13秒04は、23年世界選手権銀メダル相当の好タイム。パリ内定済みで同じく日本記録保持者の泉谷駿介とともに、五輪では日本勢初の決勝進出とメダル獲得が懸かる。


   ◇   ◇   ◇


「絶対にパリへ出てやる」。スタートラインに立った村竹は、心の中でつぶやいた。3年前の日本選手権決勝ではフライングで失格となったが「不安はない」と自分を信じた。ピストル音が鳴り、一直線に走りだす。中盤からぐんぐん後続を引き離し、あっという間に10台のハードルを越えた。今季世界6位タイの好記録でパリ切符を獲得。「やっとスタートラインに立てた」とほほ笑んだ。


あの失格が人生を変えた。順大2年時の21年東京五輪イヤー。参加標準記録を突破済みだった村竹は、日本選手権で3位までに入れば、五輪切符が手に入る状況だった。迎えた決勝。そこで人生初のフライングをおかした。五輪への道は、走ることなく閉ざされた。「今でも覚えてます」。なぜ失格したのか−。自らに問いかけ、1つの結論にたどり着いた。


「当時は自分が五輪に出ていいのかな? とずっと感じていました」


それまで五輪は「テレビで見るもの」と思っていた。それがいざ現実味を帯び始めると、地に足がつかなくなった。「俺って五輪に出れるの?」と心が揺れる毎日。陸上に人生を懸けているのか−。それまでの日々を振り返ると、堂々とうなずけなかった。


千葉・松戸国際高3年時には全国高校総体110メートル障害を制した時も、練習の苦しさから「やめたい」と思ってばかりだった。順大進学後も「社会人で競技をするなんて…」と将来を思い描けなかった。そんな最中のフライング。「もっと真剣だったら五輪に立てたかもしれない」。心に火がついた。体づくりから見直し、22年に80キロの負荷だったクリーンは今春に110キロへとアップ。「動きは本当に正しいのか」とハードル間の足の刻みも素早くした。今は「人生をかけて取り組んでいること。人生そのもの」と胸を張れるようになった。


あの失格から3年。この日は文句なしに、五輪切符をつかんだ。ただ、フィニッシュ後はあえて喜びをあらわにせず。「ここがゴールじゃなくて、ここからがスタート。本番はここではない」と言い切った。「12秒台をパリで出せれば」。日本人初の快挙へ。人生をかけて、パリへ乗り込む。【藤塚大輔】


◆村竹ラシッド(むらたけ・らしっど)2002年(平14)2月6日生まれ、千葉・松戸市出身。跳躍競技の経験があるトーゴ人の父を持ち、相模台小5年で陸上を始める。松戸一中1年時からハードル種目に専念。松戸国際高3年時に全国総体男子110メートル障害優勝。順大3年時の22年に世界選手権代表。4月にJALへ入社。身長179センチ。

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