小回りコース向きの持続力感じさせる ラジオNIKKEI賞勝ち馬を血統面から解説

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2024年07月01日 20:00  netkeiba

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ラジオNIKKEI賞を制したオフトレイル(撮影:下野雄規)
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るラジオNIKKEI賞

【Pick Up】オフトレイル:1着

 今年に入りJRA所属の外国産馬が重賞を勝ったのは、ノーブルロジャー(シンザン記念)、エトヴプレ(フィリーズレビュー)、マッドクール(高松宮記念)に次いで4頭目。

 イギリス生まれのオフトレイルは、ヌレイエフ系のファーを父に持ちます。英チャンピオンS(G1・芝10ハロン)とロッキンジS(英G1・芝8ハロン)を勝った一流馬で、その父ピヴォタルはフランスの名種牡馬シユーニの父。シユーニといえば今年の日本ダービーで3着と健闘したシンエンペラーの父です。

 母ローズトレイルは不出走馬ですが、その兄弟にベニチオ(豪G1ヴィクトリアダービー)をはじめ3頭の重賞勝ち馬がいる良血。「ファー×キングマンボ×デインヒル」というパワーあふれる洋芝向きの血統構成で、小回りコース向きの持続力を感じさせます。気性が勝ったタイプで行きたがるところがあるだけに、1000m通過58秒4というハイペースとなって折り合いがついたのはラッキーでした。

 このところヌレイエフ系が盛り返しているのは、ピヴォタルという中興の祖が大きな役割を果たしています。もしこの先、シンエンペラーまたはオフトレイルがGIを勝てば、JRAでは2003年の朝日杯FSを勝ったコスモサンビーム以来、久々の戴冠となります。

◆血統で振り返る北九州記念

【Pick Up】ピューロマジック:1着

 新冠の村田牧場は、ローレルゲレイロ(スプリンターズS、高松宮記念など重賞4勝)の生産者として知られていますが、活躍馬はそれだけではありません。2020年以降のわずか5年未満で、ディープボンド、ノースブリッジ、モズベッロ、ソリストサンダー、フルデプスリーダー、ピューロマジックといった活躍馬が出現し、重賞タイトルの総数は「10」に達しました。2020年以降、JRAの平地重賞を10勝以上生産した牧場は、ノーザンファームや社台ファームなどの大手を含めて10しかありません。繁殖牝馬約30頭の個人牧場としては驚異的といえるでしょう。

 母メジェルダは現役時代にファンタジーSで2着と健闘しました。ピューロマジックの全兄メディーヴァルは芝1000mのオープン韋駄天Sの勝ち馬で、半兄バグラダスはGI朝日杯FS5着馬。

 ピューロマジックとメディーヴァルの父はアジアエクスプレス、バグラダスの父はマジェスティックウォリアーと、いずれもダート向きの種牡馬から誕生しています。にもかかわらず芝で活躍しているのは、ディープインパクトを父に持つ母メジェルダの適性が優越しているからでしょう。

 父アジアエクスプレスは、これまで芝15勝、ダート99勝という成績。ダートが圧倒的ですが、土曜福島のメインレース・バーデンバーデンC(3勝クラス・芝1200m)も同産駒のキタノエクスプレスが勝っています。配合はピューロマジックと同じく「アジアエクスプレス×ディープインパクト」。配合によっては芝もこなせる種牡馬です。

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