「見出しの立たない」メンバーが並んだ理由は、日本の進化にある。海外挑戦が常となり、年齢制限のないOAや欧州組を招集する交渉の困難さが、想像を超えた。1年以上前からクラブと丹念に対話しても、五輪イヤーに夏移籍が浮上すれば交渉は白紙。JFAが欧州オフィスを置いても、大岩監督や山本昌邦NDが各クラブへ行脚しても、最終局面で思い通りに事は運ばなかった。OA候補の遠藤も、本人は望んだが、リバプールのスロット新監督から協会へ断りが入った。
「節目」。そう山本NDが観念した通り、OAだけでなく23歳以下でも海外組が10人を超える時代。松木には、関係者によるとドイツから獲得調査が届いており、A代表の正GK鈴木彩はパルマ移籍がイタリアで報じられた。18人に選んでも、新クラブから派遣拒否される可能性を捨て切れない。選出はリスクしかなく見送らざるを得なかった。
意識の変化も大きい。選手は今や、五輪好きな日本人ではなく、特別視しない欧州人のマインド。協会関係者によると、今回、クラブとの交渉より前の段階で選手本人からOA打診を断られるケースが多かったという。新時代を物語った。
もちろん協会の交渉力も欧州内で低いままだった。世代トップの久保は早々に破談。土壇場で選出の芽が復活していた鈴木唯も、招集「可」「否」両リストを作って粘ったが断念し、国内の別選手を呼んでいる。
一方、アルゼンチンは22年FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の優勝メンバー、FWアルバレス(マンチェスター・シティ)のOA招集に成功。スペインもOA3枠をフル行使した。日本は、できなかった。山本NDの力量不足を嘆いても仕方ない。それよりも今後、どう日本サッカー界は五輪と向き合うべきか。OAなしを選択したパリ五輪が、転換点の前例となりそうだ。【パリ五輪サッカー担当=佐藤成】
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。