年金のプロに聞いた!年金の繰上げ受給の手続きと注意点
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができますが、希望すれば60〜65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることもできます。ただし、年金を繰り上げて受け取る場合、請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりません。今回は、富山年金事務所お客様相談室の中本室長に、年金を繰上げ受給する際の手続き方法と注意点を教えてもらいましょう。
老齢年金を繰上げ受給するときの減額率は「繰上げた月数×0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの方は0.5%)」
――老齢年金の繰上げ受給をすることで、どのくらい年金が減りますか?お客様相談室の中本室長:年金を繰り上げて受け取る場合の年金額は、本来受け取る年金額に減額率を乗じて計算されます。減額率は繰り上げを申し出された月から65歳に達する月の前月までの月数に0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの方は0.5%)を乗じて計算され、最大で24%(昭和37年4月1日以前生まれの方は30%)となります。
昭和37年4月2日以降生まれの方の「繰上げ減額率早見表」
次の図は「昭和37年4月2日以降生まれの方が繰り上げ受給をした場合の減額率の早見表」です。
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昭和37年4月1日以前生まれの方の「繰上げ請求早見表」
昭和37年4月1日以前生まれの方は減額率が異なります。図は「昭和37年4月1日以前生まれの方が繰り上げ受給した場合の減額率の早見表」となります。老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げ請求をする必要がある
――老齢年金の繰上げ請求をするときの注意点にはどんなものがありますか?お客様相談室の中本室長:特別支給の老齢年金を受給している方が老齢基礎年金を繰り上げて受け取る場合を除き、老齢基礎年金と老齢厚生年金はあわせて繰り上げの請求をする必要があります。
また、繰り上げの請求をした後は、請求を取り消すことはできません。その他の注意事項につきましては、お近くの年金事務所にご相談するか、日本年金機構のホームページをご確認ください。
――老齢年金の受け取りを60〜65歳になるまでに繰り上げしたいときの手続き方法を教えてください。
お客様相談室の中本室長:繰り上げて年金の受け取りを希望される場合は、60歳から65歳までの期間で受け取りを希望される時期に、繰上げ請求の手続きをお近くの年金事務所または街角の年金相談センターで行ってください。
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まとめ
年金の繰り上げを希望する方は、お近くの年金事務所等で手続きができます。繰り上げ請求をした後は、取り消したり変更したりすることはできません。心配な方は、年金の繰り上げ手続きを行う前に、お近くの年金事務所で注意点などを確認するようにしましょう。文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))