世界貿易センタービルディング、鹿島建設、東京モノレール、東日本旅客鉄道が推進する「世界貿易センタービルディング本館・ターミナル」の建替えプロジェクトが、2027年に一部開業、以降順次開業することを発表した。
【写真】ラグジュアリーホテルや商業施設も…完成イメージ 21年に先行開業した南館に加え、今後開業を迎える本館・ターミナルには、日本初進出のラグジュアリーホテル(ラッフルズ東京)、商業施設(株式会社アトレ運営予定)、ワールドメディカルセンター、カンファレンス、観光プレ体験施設といった国際性・観光機能の特色がある施設が整備される。
また、浜松町駅と一体となった広場や、JR・モノレール・地下鉄・バス・タクシー等の交通機関をスムーズに繋ぐステーションコア、隣接した旧芝離宮恩賜庭園と視覚的に繋がった屋上庭園などの整備を通して、利用者の利便性を向上させ、街としての魅力につなげる。
かつて由緒ある大名屋敷や大名庭園、また演芸文化の栄える町人町があった浜松町は、江戸観光の中心的役割を果たしていた。明治期には迎賓館も整備され、国内外の賓客を歓待していた。
その後昭和期になり、当時東洋一の高さを誇る世界貿易センタービルディングが建てられ、高度経済成長を牽引するとともに、最上階の展望台は多くの観光客に親しまれてきた。
浜松町駅は鉄道(3駅5路線)・バス・タクシー等、建替え前から様々な交通機関が乗り入れる交通の要衝地だった。同プロジェクトでは、ステーションコアと呼ばれる吹き抜け空間を整備することにより、これらの交通機関相互のアクセス性を大幅に向上させるとともに、歩行者の憩いの空間も創出する。ステーションコアは浜松町を訪れた人々が様々な交通機関をスムーズに乗り換えられるよう、分かりやすい空間構成であると同時に、浜松町に宿るおもてなしの精神を感じられるデザインとなる。
初代世界貿易センタービルディングは日本の貿易振興を目的とし、陸海空の交通網を立体的に集約した超高層ビルとして1970年に建てられた。高さ152mの本館(地上40階・地下3階)と別館(地上5階・地下3階)からなるビルは、完成当時、東洋一の高さを誇る超高層ビルだった。
館内にはオフィス・商業施設・展望台・結婚式場・バスターミナルといった施設が集積し、そのブロンズ色の特徴的な外観は半世紀余りにわたり人々から愛される浜松町のシンボル的な存在だった。同プロジェクトを契機とし21年6月に惜しまれつつも閉館し、その後解体工事を完了したが、建替え後のビルでも初代ビルのDNAを継承しデザインモチーフに取り入れている。