【漫画】オタクな刑事がコスプレ現場の事件を解決――キャラとの「解釈違い」が鍵を握る『エルフ殺人事件』

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2024年08月06日 12:30  リアルサウンド

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『エルフ殺人事件』より

 刑事の小田のともに殺人事件の知らせが届く。彼がハマっているゲーム『プリティダンジョンパーティー』に登場するお気に入りのキャラクター、“エルフ”のコスプレをしていた田中桜子が何者かによって殺害された。容疑者がコスプレをしている異様な空間で、小田は事件解決に挑む――。


(参考:オタクな刑事がコスプレ現場の事件を解決? 漫画『エルフ殺人事件』を読む


 5月下旬にXに投稿されたミステリー漫画『エルフ殺人事件』。犯人は誰なのか、どんなトリックを使ったのか――という、ミステリーの王道をいく魅力とともに、ゲームのキャラクターと被害者・容疑者を重ね合わせ、「解釈の不一致」に悩む刑事の姿が楽しい作品だ。


 本作を手掛けたのは、就職活動をするなかで漫画家を目指すようになり、アシスタントも経験しながら精力的に創作を続けている村戸もみさん(@muratoamado)。オタク的楽しさを多分に含んだミステリー漫画を描いたキッカケなど話を聞いた。(望月悠木)


■“地味ハロウィン”から着想を得たアリバイトリック


――コスプレ会場が舞台のミステリー作品にした経緯は?


村戸:ゲームメーカー主催の配信生放送を見ていた時、公式コスプレイヤーさんが大々的にクローズアップされていて、そこでコスプレイヤーという存在に興味を持ちました。また、殺された人が遺したものがキッカケで残された人がラストに少し救われるドラマ『遺留捜査』(テレビ朝日系)が好きなので、「“オタク版遺留捜査”のような物語を描きたい」と思ってストーリーを練り上げていきました。


――そこからなぜ“コスプレ界隈”を軸にすることに?


村戸:理由は主に2つです。1つはインパクトのある事件名にしたかったからです。もう1つは私自身コスプレをしたことがないのですが、コスプレイヤーの友人からコスプレ界隈の事情をよく聞かせてもらっていました。そこで「華やかな中にもシビアな内情があるのだな」ということを知り、「コスプレ界隈の内側漫画として描いてみたい」と思ってからです。


――小田と城のバディのキャラデザの決め方は?


村戸:小田と城のビジュアルは完全に私の趣味の“見た目が若く見えるおじさんと大きめの女の人”です。また、コスプレイヤーたちを目立たせたかったので、少し地味めな容姿にしました。


――コスプレイヤーの中で村戸さんが特に気に入っているキャラは誰ですか?


村戸:ハーフエルフのコスプレをしている佐藤リンです。純粋で擦れていない雰囲気など、理想を詰め込んでいます。キャラデザとしてはバニーが気に入っています。


――小田の「解釈違いか」という口癖はどのようにして思い付いたのですか?


村戸:まず“オタクあるある”みたいなセリフにしたかったです。その中で、不特定多数のSNSの書き込みなどを漁りながら「これだ!」と決めました。


――犯行のトリック·殺害方法はどう考えたのでしょうか。


村戸:地味目な仮装をする催し“地味ハロウィン”の写真を見ることが好きだったので、そこから着想を得てアリバイトリックを考えました。それと連動して、アリバイを崩すのもコスプレ元のゲームがキッカケになるようにしています。


――ちなみにボツにしたトリックや設定などもあったのでは?


村戸:ボツにしたネタとしては、大雨などで「警察が来れない」という“クローズドサークルもの”にして、最終的に「実は生きてました」というオチの物語を考えました。ただ、殺人事件という題材から逃げてる感じがしたので止めました。


――続編がありそうな終わり方でしたが、続編の予定について教えてください。


村戸:正直あまり反応がなかった漫画です。「まだ私に事件ものを描く力量が足りてないのでは」と考えて一旦保留しています。ただ、ネタはあるので機会があればまた描きたいです。


――今後の漫画制作の展望は?


村戸:11月17日開催の『コミティア150』に『村戸雨戸(むらとあまど)』というサークル名で参加予定です。森林組合で薪やシイタケの原木を売っている日常のエッセイ漫画を描こうと思っています。また、『エルフ殺人事件』とモロッコ料理店を題材にした漫画の本も持ち込む予定です。興味があったらチェックしてもらえると嬉しいです。


(望月悠木)


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