今回は専業主婦の妻が離婚後に、会社員である夫の厚生年金を分割してもらえるのかという疑問に回答します。
Q. 会社員の夫と離婚した場合、厚生年金を分割して受給できますか?
「私は30年間ずっと扶養範囲内のパート、専業主婦です。会社員の夫と離婚した場合、夫の厚生年金を分割して老後にもらうことはできるのでしょうか?」(北海道・53歳・専業主婦)A. 年金は分割してもらえます。「合意分割」と「3号分割」があります
専業主婦の方は老齢基礎年金しかもらえませんので、離婚すると老後の生活が苦しくなってしまいます。そのため、年金保険料は夫婦共同で納めたものとして年金分割してもらえる「合意分割」と「3号分割」という制度ができました。「合意分割」は、平成19年(2007年)4月1日以後に離婚をし、夫婦の話し合いによる合意や、裁判での調停によって年金の分割割合を決める制度です。この時に分割できる年金は、結婚期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)の最大2分の1となります。分割する割合が決まった後は、離婚をした日の翌日から2年以内に年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出して請求する必要があります。
「3号分割」は、第3号被保険者(会社員に扶養されていた配偶者)が、平成20年(2008年)4月1日から離婚するまでの第3号被保険者期間を、夫婦で分割できる制度です。相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、夫婦で分割することができます。
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夫婦で分割の話し合いをする場合は、分割できる期間や、標準報酬額について知る必要がありますが、請求すれば日本年金機構から「年金分割のための情報通知書」を送ってもらうことができます。離婚を検討し始めたら、取り寄せてみてはいかがでしょうか。
監修・文:深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)