日本が誇る世界的作家、安部公房氏は、卓越した写真家でもあった。その初の本格的写真集、『安部公房写真集―PHOTOWORKS BY KOBO ABE―』(新潮社、税込み1万5400円)が発売された。生誕100年を迎えた希代の表現者。活字で知る彼の世界を、写真という別の表現から眺めることができる貴重な一冊だ。
『箱男』『砂の女』『燃えつきた地図』『壁』『他人の顔』『方舟さくら丸』など、世界を挑発し、前衛のトップランナーとして走り続けた作家、安部公房氏は、自宅に暗室を作り、いつもカメラと共に行動していたという。撮影されたのは都市、廃墟、雑踏など。小説に取り入れられたカットをはじめ、都市に生きる孤独や不安を撮った多くの作品群から厳選、現代写真家としての足跡を明らかにする。ファン必携、そして写真史の新たな扉を開く傑作写真集だ。
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