マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、チーム代表であるアンドレア・ステラとの契約を延長したことで、人材確保に関する長期計画に長けていることを示した。
ドライバーのランド・ノリスとオスカー・ピアストリの契約についても早々に延長を決めている。それは、以前の契約の終了間際に他のトップチームが彼らを獲得したいと熱望していたことを踏まえてのことだろう。
最有力はレッドブルだが、フェラーリとメルセデスの両チームもふたりのいずれかを起用することに関心を持っている可能性があった。
ブラウンは「ランド(・ノリス)、オスカー(・ピアストリ)、そして今ではアンドレア(・ステラ)ともすでに複数年の延長が合意に達したため、自信を持って世界チャンピオンになるための探求を続けることができる」と、契約を急いだ理由を説明する。
これまで何度も指摘されてきたように、過去10年ほどでチームの運営方法は大きく変化した。
メルセデスのチーム代表を務めるだけでなく、チームの株式の3分の1を所有しているトト・ウォルフと、設立以来レッドブル・レーシングを率いてきたクリスチャン・ホーナーのふたりは別として、次に長くチーム代表を務めているマイク・クラックは、2022年1月にアストンマーティンでその役割を引き継いだ。
つまり、F1チームの代表の80%は、30カ月未満しかその職に就いていないことになる。それほど遠くない過去には、各代表は数十年にわたりチームを率いたものだったが。
メルセデスについては、近いうちに指導者が交代する気配はない。ただクリスチャン・ホーナーの運命については、レッドブルの従業員が彼に対して起こした訴訟の結果にかかっていることは周知の事実だ。
そして、この問題が終結するまでにかかる時間は決まっていないが、裁判の結果がホーナーにとって有利でない場合、彼が職を断念せざるを得ない可能性は充分にある。
レッドブルが新しいチーム代表を見つける必要に迫られた場合の有望な候補者は、姿を消してしまった。チームのスポーティングディレクターであるジョナサン・ウィートリーが、アウディF1のチーム代表になるために離脱することが最近発表されたのだ。
もちろんレッドブルは、RBのローレン・メキース代表かピーター・バイエルCEO、もしくはそのふたりともを内部で昇進させることもできるだろう。しかし、マクラーレンがフィールドのトップに復帰するにあたってステラが及ぼした多大な影響を考えるとどうだろうか。
だからこそ、ステラに新しい長期契約を提示するというマクラーレンの動きは先制的であり、ブラウンが彼の貢献を真剣に評価していることが示されている。
ブラウンはステラについて、新しい契約を結ばないまま既存の契約が終了間近になれば、ライバルチームにとって魅力的な候補になることを認識しているのだ。