突然のゲリラ豪雨に雷鳴、そんな日が多い気がする今夏。制作に煮詰まった漫画家の前に雷とともに日本語を話せない謎の美女が現れる漫画が『暑くて漫画が描けない!話』である。
アイデアがないだけでなく、突然の訪問者のせいでまったく漫画が描けないというシュールな本作を描いたのはもぐこん(@mogravity2)さん。単行本化されたばかりの『へそのお』で作画も担当した彼に、この不思議な物語の制作について語ってもらった。(小池直也)
――本作をXに投稿した反響はいかがですか?
もぐこん:本作は毎年夏の暑い日に投稿する作品なんです。毎回そこそこ見ていただけて、ありがたいですね。懲りずに上げていこうと思っています。
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――作品の着想について教えてください。
もぐこん:「漫画を考えろ」と他人から言われる経験が元になっています。特に出版社の編集者が担当に付くようになった頃のことですね。物語を考えなくてはいけないのに考えても考えても全く面白い話が思い浮かばず、長い時間が経ってしまう時がよくあったんです。
その焦りが言葉の通じない女の子という形になったのかなと。とはいえ、実際の編集者さんは無理に急かすようなことはせず、割と気長に待ってくれる方が多いですよ。
――物語についてはどのように考えられるのでしょう?
もぐこん:本作のような短編漫画は、まず少ないシーンで印象的な場面や会話を考えていきます。次にそのなかで表現できる「物語になりかけの何か」を提示するような描き方が多いのかなと思います。
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――ヒロインにモデルやイメージした人物がいれば知りたいです。
もぐこん:結構前に描いた漫画なのであまり覚えていないのですが、「とにかく白い印象にしたい」という1点だけでデザインした記憶があります。
――他に制作において意識した点やこだわった点があればお願いします。
もぐこん:非日常的な出来事に主人公の男の子の戸惑っている感じを描ければいいなと思っていました
――シュールな作画も物語のミステリアスさに寄与していたと思います。これについては?
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もぐこん:こうとしか描けないという絵柄なので、自分の考える話と絵がマッチして不思議な感じを演出できていたら、とても嬉しいです。
――今後はどんな作品を描くご予定ですか。
もぐこん:ありがたいことに最近2冊目となる単行本『へそのお』が出せたので、引き続き商業誌で、できれば2巻以上続く様な長めのお話を考えてみたいと思っています。まだお話の内容はまったく思いついていませんが……。
――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか?
もぐこん:おそらく漫画的に一番影響を受けたのは、つげ義春さんや楳図かずおさん、植芝理一さんなどでしょうか。物語的には小説家の保坂和志さんや今村夏子さん、福永信さんなど。舞台『チェルフィッチュ』や『ままごと』などの演劇を見るのも好きなので、漫画をシーンで考えるのはその影響が強い気がします。
――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。
もぐこん:今のペースを大きく変えることなく、淡々と描き続けられる地に足の着いた活動をしていけたらいいなと考えております。なんか偉そうですが……(笑)。
(小池直也)
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