今回は、総務省の統計「労働力調査」を手がかりに、非正規雇用で働いている人がどのくらいいるのか、男女や年齢でのどのような差があるのかなどを具体的に見ていきましょう。
20年間の正規雇用と非正規雇用の推移
まずは、2002年から2022年までの20年間で、正規雇用と非正規雇用の職員および従業員の数がどのように推移していったのかを確認します。正規の職員と従業員の数は、2002年では3489万人、その後2014年までは減少傾向にあったものの、その後増加。2022年では3588万人となっています。
一方、非正規の職員と従業員の数は、2002年の1451万人から2019年までは長らく増加。その後はやや減少傾向にありますが、2022年では2101万人となっており、20年間でおよそ650万人増えています。
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非正規雇用の内訳の推移を深掘り!
同じく2002年から2022年の間で、非正規雇用者の内訳がどのように推移しているのかを確認していきましょう。パート・アルバイトは2002年から2022年で1053万人から1474万人へ増加。ただし、非正規雇用者全体の割合で見ると、72.6%から70.3%へわずかに減少しています。
次に派遣社員は、43万人から149万人へ3倍以上増加しており、非正規雇用者全体の割合で見ても、3.0%から7.1%にまで増えています。
また契約社員・嘱託も、230万人から395万人に増加しています。全体の割合でも2002年の15.9%から2022年の18.8%へと増えていますが、2014年の20.9%をピークに、それ以降は減少傾向にあるという結果になっています。
性別ごとの非正規雇用の推移には違いがある?
次に性別ごとの推移を見てみると、男性、女性とともに2002年から非正規の職員・従業員の数は増えています。
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2022年の非正規雇用者は、男性が669万人、女性が1432万人。男性に比べて女性の方が2倍以上多いことがわかります。
ただし、雇用者全体のうちで非正規雇用者が占める割合に関しては、2002年から2022年で、男性は15.0%から22.2%と7%以上増えているのに対して、女性は49.3%から53.4%と約4%の増加率。また女性の非正規雇用者の数は、2018年から2022年で減少傾向にあり、今後の推移に注目したいところです。
年齢層が高いほど非正規雇用の増加率が大きい
では、さらに年齢層ごとの非正規雇用者の推移を確認してみましょう。まず全体(15〜24歳を除く)で見ると、年齢層が高ければ高いほど増加率が大きいという結果に。とくに増加が顕著なのは、65歳以上の高齢者層です。2002年の時点では95万人だったのが、2022年には4倍以上の405万人になっており、全体での割合も約20%にまでのぼっています。また55〜64歳の層に関しても、244万人から439万に大幅に増えています。
一方、25〜34歳と35〜44歳の年齢層に関しては、2014年から減少傾向にあることがわかります。とくに25〜34歳に関しては、この20年間で30万人近く減少しています。
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まとめ
最後に、今回見たデータをあらためて、まとめます。まず、非正規雇用者は2002年から2022年までで、およそ650万人増加しており、現在では全雇用者の36.9%を占めるまでに至っています。非正規雇用者の中でも、とくに増加しているのが派遣社員で、20年間で3倍以上増えています。
また、男女別の統計では、男性よりも女性の方が2倍以上多くなっています。男性・女性ともに増えているものの、非正規雇用者の割合で見ると、男性の方が増加率は大きいです。さらに年齢階級別のデータでは、高齢者の方が増加率が高くなっています。とくに65歳以上の伸び率は高く、2002年から2022年で4倍以上増加しているという結果に。
今回、具体的な数値をたどったことで、どのような性別や年齢層の人がどのくらい非正規で働いてるかということがより具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか。長らく右肩上がりに増加してきた非正規雇用者ですが、ここ数年では減少している年などもあるため、今後の推移にも注目したいですね。
(監修:酒井富士子/経済ジャーナリスト・オールアバウトマネーガイド)
(文:All About 編集部)