ノリスのスタート失敗の記録とチームの見解。ポールからは必ず後退、1周目に稼いだポジションはゼロ

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2024年08月30日 07:30  AUTOSPORT web

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2024年F1第13戦ハンガリーGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ランド・ノリス(マクラーレン)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
 F1オランダGPを圧勝したランド・ノリス。しかしスタートでは順位を落とし首位を失った。しかもそれは、今回が初めてではなかった。

 オランダGP終了後の控え室で、マックス・フェルスタッペンとノリスとの間で、こんなやりとりがかわされていた。「ちょっとホイールスピンしたってこと?」「アクセルを踏んだ瞬間だったよ」

 その結果、ノリスは、フェルスタッペンにコンマ3秒の大差でポールポジションを獲得していたにもかかわらず、2番手に後退してしまった。

「完璧なスタートを切るために何をしなければいけないか、僕らはもちろんよくわかっている」と、ノリスは言う。「でもスタートで起きていることは、ものすごくマージンの少ない世界なんだ。オランダでは僕とオスカー(・ピアストリ)が、揃ってスタートを失敗した。何か根本的な問題があるのではないかと思う。スタートセッティングが適切でなかったか、重視すべき何かを見落としていたか、そのいずれかだろうね」

■2024年オランダまで、1周目にポジションを上げた回数はゼロ

 ノリスのスタート失敗は、オランダGPが初めてではない。下の表で明らかなように、今季のノリスはスタートで一度も順位を上げることができていない。

グランプリ1周目終了時のポジションの変動失ったポジション数バーレーン7番手を維持0サウジアラビア6番手を維持0オーストラリア3番手を維持0日本3番手を維持0中国 - スプリント1番手から7番手へ6中国 - グランプリ4番手を維持0マイアミ - スプリントストロールと衝突-マイアミ - グランプリ5番手から6番手へ1エミリア・ロマーニャ2番手を維持0モナコ4番手を維持0カナダ3番手を維持0スペイン1番手から3番手へ2オーストリア - スプリント2番手を維持0オーストリア - グランプリ2番手を維持0イギリス3番手から4番手へ1ハンガリー1番手から3番手へ2ベルギー4番手から7番手へ3オランダ1番手から2番手へ1

 最初の9戦では、それほど深刻なダメージは受けていない。中国GPでのスプリントレースで6つ、マイアミでひとつ順位を落としたのが目立つ程度だ。

 ところがMCL38の競争力が向上し始めたスペインGP以降、事態は悪化して行った。


 バルセロナのノリスはポールポジションをフイにし、2つ順位を落とした。反応速度は悪くなかったが、フェルスタッペンにイン側から、アウト側からはジョージ・ラッセルに抜かれて行った。二度目のポールスタートとなったハンガリーGPも同様だった。

「スペイン、そしてハンガリーは、最初のコーナーまでに長いストレートがあった」とアンドレア・ステラ代表は説明する。「スペインでは、ラッセルはスリップストリームのおかげで(ターン1出口で4位からトップに浮上し)アドバンテージを獲得できた」

「そしてハンガリーでは、ギヤのシフトアップに問題があった。ギヤがスリップし、低いギヤに入ってしまって勢いを失った」とステラは分析する。

「ランドはもっとうまく、ホイールスピンをコントロールできたかもしれない。しかし問題は、我々のセッティングにあった。あの路面コンディションでは理想的なものではなかったことを、今は認識している」

■ピアストリには大きな失敗はなし

 スペインGP以降だけでも、ノリスは最近の4戦で順位を落としている。イギリスでひとつ、ハンガリーでふたつ、ベルギーで3つ、そしてオランダでひとつ、ポジションダウンしているのだ。

 対照的にチームメイトのピアストリは、スタートに関する限り彼よりはるかに優れた成績を収めている。確かにオランダではひとつ順位を落としたが、マイアミでは3つ、スペインで2つ、ハンガリーとベルギーで1つ順位を上げている。

「オスカーは現時点で、最高のスタートを切るドライバーの一人だ」とノリスは認める。「でも僕も、それほど引き離されているわけじゃない。今の失敗の連続は、本来の僕の姿じゃないと思っているよ」

「特にオランダのスタートは、今までとは違うものだった。では何だったのか。今までの失敗を受けて、スタートの改善に取り組んできた。手順的にもうまく行った。なのに失敗した。スタートでの一貫性を、絶対に見つける必要があるね」

■ポールから必ず順位を落とす憂慮すべき傾向

 F1でのノリスは、ポールポジションからスタートして首位を維持できたことがこれまで一度もない。オランダGPのスタート失敗を含めると、1番グリッドからスタートしたにもかかわらずレースをリードできなかったのは、これで実に6回目だ(2021年ロシア、2023年サンパウロ/スプリント、そして今シーズンの中国/スプリント、スペイン、ハンガリー、オランダ)。

 ステラ代表は、ノリスが自分自身を批判する傾向が強いことを認識しつつ、チームにもやるべきことはまだあるという。

「スタートはレースの基本的な要素であり、マシンパフォーマンスと同じくらい重要だ。ライバルたちが我々よりこの分野で優れているとしたら、その理由を注意深く検討する必要がある」

「つまりはスタート手順を実行するドライバーの観点と、チームの観点の両方から、何を改善できるかを考える必要があるということだ」

 ノリスのスタートを分析したところ、問題の多くは第2フェーズで発生していることが判明した。シグナルに対する反応時間と最初の発進は良好だが、その後の加速でスタックすることが多いのだ。それはなぜなのか。いずれにしてもこうしたエラーが繰り返される限り、たとえ最速マシンを手にしていても、タイトル奪還の可能性はますます遠のいてしまうだろう。

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