ようこそ物知りな読者のみなさん。突然だが、この写真に写る道具の名称をアナタはご存知だろうか。記者が勝手にやっている「これ何クイズ」のシンキングタイムスタート!
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■工事や農業の現場で…
工事現場でよく見かける一輪の手押し車。資材や土などを入れ運搬する時に使うアレである。
記者の父方は山奥の農家で、現地に行ったらこれに土や農作物を入れて運んでいたのをよく見かけた。
日本国内では「手押し車」「手車」「孤輪車(こりんしゃ)」などの名称で呼ばれるが、じつは現場で使われる俗称として“とある生物”の名でも広く知られている。
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…ヒントは人懐っこくてキュートなあいつだ。
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■名前の由来がまたキュート
答えはネコ。
手押し車には「猫車(ねこぐるま、ねこしゃ)」という俗称があり、工事現場では「おい、『ネコ』持って来い」みたいな使い方をするそうである。
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公益社団法人・土木学会は「逆さに伏せるとその姿が丸まったネコの背中に似ていることからネコと呼ばれる説や、猫が通るような狭い場所を通ることができることからネコと呼ばれる説などがある」と、ホームページでその由来を解説している。
建設用語で狭い足場を「猫足場」と呼ぶこともあることからも、現場ではなぜか猫が愛されているようだ。
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■じょうろに関する問題
続いてもう一問出題しよう。
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花壇に水をまく際に使うじょうろ。漢字で「如雨露」と表記することもあり、語源はポルトガル語で水の噴出を意味する「jorro」だそうだ。カステラやバッテラ、コンペイトウなんかはポルトガル語がベースであると聞いたことがあったが、じょうろまでそうだったとは…。
ではここで問題。その先端にある「穴の空いた注ぎ口」を何と呼ぶだろうか?
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■ヒントは見た目に…
この部分に名前あったのか…と多くの人が感じただろうが、じつはちゃんとした名称がある。答えは「蓮口(はすぐち)」だ。
語源は見た目通りハスの花托(花の咲く部分)からで、蓮口があるから水を均等に広くまくことができるのである。
ちなみに、ハスの語源はこの花托が蜂の巣に見えたことから「はちす」→「はす」となったのが通説となっている。とんぼの語源がその外見から「飛ぶ棒(とぶぼう)」→「とんぼう」→「とんぼ」となった説同様、昔の人は名を呼ぶ際、アレコレ考えたんだろうなあと想像するとなんとも奥ゆかしい。
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■名前って大事だね!
今回のアイテム、じつは8月20日から28日まで東京・原宿で開催された「名前のわからないもの展」(主催・メルカリ)で展示されていた物だ。
同展では、“検索すらされない、かわいそうなモノ”を一挙紹介し、名前を知ることでそのモノについて改めて考えてみるというメルカリらしい思いが込められている。
名前があるのに、名前で呼ばれない…そんなちょっと不憫なアイテムたちと触れ合える好企画だった。同社の次の展示会も期待大である。
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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)